六道の中における天(てん)


天道は、六道の最上位である(この文脈では天道と訳すことが多い)。そのすぐ下位がの住む人道である。

天人は長寿で、空を飛ぶなどの神通力が使える。また、快楽に満ち、苦しみはない。

ただし、天道はあくまで輪廻の舞台である六道の1つであり、天人も衆生にすぎない。天人は不死ではなく(天人が死ぬ前には天人五衰(てんにんごすい)という兆しが現れる)、死ねば他の衆生同様、生前の行いから閻魔が決めた六道のいずれかに転生する。

天人は悟りを開いてはおらず、煩悩から解放されていない。悟りを開いたものは仏陀であり、輪廻から開放され六道に属さない涅槃浄土極楽)へと行く。

現在の大乗仏教では人道の下に阿修羅が住む阿修羅道が位置するが、初期仏教では六道のうち阿修羅道がなく五趣とされ、阿修羅は天に住んでいた。

天台宗では六道の上に仏陀が属する仏界などの四聖を加え十界とするため、その上から第5位が天界となる。