浩平と達也 ある兄弟のお話し | フラワーエッセンスナビゲーター☆☆チョンボン

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フラワーエッセンスおとぎ話

 

 

                       *人名その他はすべてフィクションです

 

 

 

 

浩平と達也は

二つ違いの兄弟です。

 

 

体格のよい兄の浩平は

幼いころからぱっと目立つ子でした。

 

顔立ちがはっきりしていて

全身エネルギーにあふれ

いつも明るく活動的。

 

いつだってクラスの人気者、

彼の口癖は「オレって最高!」

 

 

一方、

弟の達也はおとなしい

目立たない子でした。

 

口数少なく

家でも教室でも

振り返るとそこにいて

だまってにこにこ

笑っている、

そんな子供でした。

 

気の優しい子なので

いじめの対象に

なりかねませんでしたが

 

兄の浩平が

いじめっ子たちににらみをきかせ

「タツをいじめる奴は

オラ絶対許さんけんね」

となにかにつけ

公言していました。

 

浩平は正義感も

腕っぷしも

負けん気も強かったので

 

納得がいかなければ

上級生だろうが、大人だろうが

腕に物を言わせて

挑みかかっていました。

 

 

 

 

 

実際浩平は運動神経抜群で、

野球からテニス、柔道まで

あちこちの部から

助っ人に試合に呼ばれては

大活躍していました。

お勉強のほうは少々難あり、

でしたが

鬼のように勘が良く働くので

うまくやりすごしていました。

 

 

 

達也は勝敗事は苦手で、

スポーツを楽しむということもなく

お勉強もそれほど熱心でなく

特に趣味や特技もなく

とにかく印象の薄い子供で、

 

そして

そのままの大人になりました。

 

 

 

浩平は高校を卒業するとすぐに

世界をバックパック一つで旅して歩く

冒険家になりました。

 

 

いかにも浩平らしい仕事で

発信するサイトや写真集は

大人気でした。

 

いつもノープランで

当たり前のように窮地に陥るのですが

浩平は、どんな危険な目にあっても

ネガティブを

速攻ポジティブに変える達人で

 

ドラマでもそんなことはないだろう

というほどの奇跡の旅を

発信し続けていました。

 

映像の中の浩平は子供のころのまま、

キラキラ輝く目をして

はつらつとしたエネルギーに

満ちあふれていました。

 

thelifeofriley.c

 

 

ある年の春

久しぶりに浩平は

故郷に帰ってきました。

 

達也の結婚式に参列するためです。

 

世界的な冒険家の帰郷に

実家はもとより、同窓生や

冒険家の彼を知る町の人たちは

湧き上がっていました。

 

 

披露宴で浩平は

祝辞を述べる約束でした。

浩平の方から申し出たのです。

達也はあいかわらずの笑顔で

「ありがとう、兄さん」と

感謝しました。

「来てもろただけで嬉しい。」

 

 

いよいよその日

ラフなスーツ姿の浩平が

日に焼けた満面の笑顔で

マイクの前に立ちました。

 

 

「達也、おめでとう。

洋子ちゃん、おめでとう。

 

洋子ちゃんは俺たち兄弟とは

小学校からの付き合いじゃね。

 

俺はきっとこんな日が来ると

わかっとったよ。」

 

会場の誰しもがこぞって

浩平を撮影していました。

口笛やら歓声やら

主賓を差し置いて大騒ぎです。

 

 

「洋子ちゃんなら俺が言うこと

わかると思う。

 

俺は達也がうらやましかった。

俺は達也みたいになりたかった。」

 

どんな冒険話が聞けるかと

かまえていた参列者たちは

一気にシンと静まり

意外そうに互いの顔を見合わせます。

 

「みんな承知のとおり俺は

スポーツならなんでもできた。

 

ちょっと練習すれば

すぐにコツをつかんだ。

相手がどう動くかがわかるし

相手の動きがゆっくりに見えた。

 

だから、正直に言うと

周りのみんながすごく

くだらないやつらに見えてた。

特にミスをしたときなんかは

本気で切れまくった。

 

あんだけ練習しとるのに

なんじゃぁ、ってね。

 

才能もないのに、

無駄な努力をして

何になるんじゃ。

 

こいつら何が面白うて

やっとるんじゃ。

 

そんな風に思ってた。

 

中にはすごいやつもいたけど

たかがゲームに

そこまで熱くなれる気持ちが

俺にはわからなかった。

 

そのくせ、

俺はルールとか作戦とか

決まりごとが嫌いで

ワンフォーオールとか

チームプレーにも

全然気持ちが乗らなくって

 

結局どのスポーツも

続ける気にならなかった。

 

 

みんな白けた顔してるね。

そりゃそうだ。

どんだけ勝手なやつなんだよ。

話してて俺が恥ずかしくなる。

 

 

でも俺は、

うすうす気がついてはいたんだ。

 

自信の塊な顔をして

斜め上から見下ろしながら

 

のめり込むものがある友達が

実のところ

うらやましかったんだ。

 

俺は何にも続かない

やりたいこともない

中途半端なやつだ

俺自身が一番情けないやつだと

どっかでわかってた。

 

わかってたけど認めたくなかった。

そんな弱気を見たくなかったから

気づかないふりしてた。

 

中身がないくせにカッコつけて

俺はすごいんじゃって

ふりをしてたんだ。

 

 

だから達也の生き方は

俺には納得できた。

 

自分には

才能がないってわかってるから

カッコつけたりしない

最初から無駄な努力なんかしない。

 

自分を大きく見せようとか

あがいたりしない。

いさぎよいって言うか、

無駄がないって言うか。

 

すまん達也、

これもまた

どんだけって話だよね。

 

 

 

 

 

でも俺はすごい勘違いをしてたって

ある日気づいたんだ。

 

いろんな意味でね。

 

達也は覚えてるかな。

 

俺が高校どこにしようか

むだに迷ってた夏休み。

 

あちこちの学校から

スポーツ推薦の誘いが来てたけど

どこにも興味が持てなかった。

 

今までは遊び半分でいけたけど

一つの種目にしぼって

それだけのために

筋トレしたり走りこんだり

考えただけで嫌になった。

 

夏休みだけど

友達はみんな受験勉強で

遊ぶ相手がいなくて暇してた。

 

玉ころがしよりボクシングとかが

まだましかなぁ、って

朝からアイスかじりながら

二階の窓から下を見ると

達也が家の前の階段に

座り込んでた。


あんまり長いこと動かないんで

降りて行って

何だろうとのぞいたら

蝉の幼虫が脱皮してるところだった。

 

でも

つかまりどころが低すぎたんだか

羽がきれいに伸びきらないでいた。

 

達也はすごく優しい子だったから

俺はすごく意外だった。

 

「それ、場所変えてやったら

どうじゃろう?」

俺がそう声をかけると

「僕が見つけた時は、

もう羽が固まっとったんよ。」

達也は静かにそう答えた。

 

正直ちょっと不気味だったよ。

もがいてるセミをじっと見てるのか?

なんてね。

 

でもオレのそんな思いを

察したのかどうなのか

ふだん余計なことは言わない達也が

珍しく言ったんだ。

 

「僕は、この子はもう飛べんのやと

わかっとるけど

この子は知らんのよ。

もしかしたら

わかっとるかもしれんけど

そういうのは関係ないんよね。

 

今せんといけんことを

一生懸命やっとる。

 

ほやけん

最後まで見よってあげたいんよ。」

 

それが何になるんじゃ、

って一瞬思ったけど

達也は俺を見上げて言ったんだ。

 

「お兄ちゃんもぼくのこと

そやってくれとるけんね。」

 

達也の目を見た途端

言葉では説明できないけど

俺の中で

何かがはじけて割れたような

パーッと溶けてなくなったような

そんな感じがした。

そして

今までのいろんなことが

俺の中に湧き上がってきた。

 

 

俺が下手をした仲間の話を

ぐだぐだ愚痴るような時は

何も言わずただ笑って

聞いてくれた。

 

調子に乗った俺が

できもしないほらを吹いてた時は

凄いね、と話に乗ってくれた。

 

おれが暴走しそうな時は

「お兄ちゃん、どこ行くん?」と

達也の笑顔が、まなざしが

俺を引き留めてくれた。

 

実際やらかしちまった時は

おふくろが菓子折りもって

謝りに行ってる間

悪態ついて熱くなってる

俺の手やおでこに

にこにこ笑いながら

バンドエイド貼ってくれた。

 

 

洋子ちゃんもいつだったか

話してくれたね。

 

こんなやんちゃな兄を持った

おとなしい弟だから

目につかないやり方で

ちょっかい出すやつも

いたんだって。

 

そんな時、心配した洋子ちゃんが

「達也君、先生に相談する?」

と言うと

「ううん、かまんよ」

と達也は笑って答えたんだと。

 

「僕は全然平気やけん。」って。

 

その笑顔と言葉で

ホントに大丈夫なんだと思えた。

自分の心配が

溶けてしまったんだって。

 

洋子ちゃん

ずっと達也を大事にしてくれて

ほんとにありがとう。

 

 

 

 

そうなんだ。

うまく言えないけど、達也は

大丈夫なんだって思わせてくれる。

でもって

 

自分を大きく見せなくても

自分の一番ダメなところを

さらけだしてても

達也には自分の一番いい所を

見てもらえるんだ。

 

「ほやけど、お兄ちゃんは

しんからすごいんじゃけん。」

って。

 

 

 

夏休みのあの日から俺は

達也みたいになりたいと

思うようになった。

 

俺がどれだけ達也に支えられてたか

ようやくわかったからね。

思い知ったと言ってもいい。

 

そこにいるだけで

安心させてくれて

自分もいけるって

思わせてくれる、

そんな人になりたかった。

 

 

でもどうしてもなれなかった。

 

俺にはできなかった。

俺は達也のような見方はできない。

 

こいつはどう動くか

何を欲しがってるか。

大事にしてるのは何か。

弱みは何か。

敵か味方か。

危険か安全か、

そんなところで人を判断する。

分析とかそういうんじゃなくて

ただわかるんだ。

 

 

達也と真逆で

俺は相手の一番弱いとこ

一番悪いとこを

見極めるのがうまいんだ。

 

そうなんだ。

そこさえ押さえといて

俺が、根は真面目な日本人で

しばらく付き合う分には

面白そうなやつだって

わかってもらえたら

世界中のだれでも

喜んで遊んでくれる。

 

 

そういうサバイバル能力が

俺の天性の才能ってわけだ。

 

 

それも達也が教えてくれた。

 

俺は俺にしかなれない。

俺は俺であっていいんだ。

俺が俺でいるから

誰にも負けない俺でいられる。

 

だから今の生き方も達也が

導いてくれたようなもんなんだ。

 

いやいや、

おまえは何も言ってないよ。

人のアドバイスとか

俺が聞くわけないだろ?

 

 

 

いつか誰かに言われたよ。

 

お前ら兄弟やけど

月とすっぽんじゃのうて

月と太陽くらい違うわいって。

 

その時は

うまいこと言いよるって

そいつと一緒に笑ったよ。

兄貴風ふかしまくって

俺がおらんとタツはだめだ

なんて本気で信じてたからね。

 

 

 

今は別の理由で

納得の話になってる。

 

太陽はさ、

強烈に明るく熱いけど

エネルギーの元は自分自身なんだ。

 

自分を燃やして

俺はここにいるぜって

どうだ、

熱いだろ、まぶしいだろって

思いっきりアピールしてる。

 

そりゃ相手の影もくっきり黒く

あぶりだされるってもんだよ。

 

月は自分からは光を出さない。

光を浴びて輝いてる。

だから太陽と違って

熱くないし、じっと見てられる。

 

凄く元気をくれるって

わけではないけど

 

じっと見つめていると

なんだか懐かしいような

不思議な気持ちになる。

 

自分の中の

一番静かで神聖な部分が

じわじわっと広がっていく

そんな感じかな。

 

月にも俺がいて

俺を見てるんじゃないかとか

月は見てる人の光を

鏡のように反射して

見せてるんじゃないかとかね。

 

 

サハラの夕焼けなんかは

そりゃ感動もんだけど

 

一人で見る満月は

孤独で冷たくて、

でも満たされていて

この俺でさえ

泣けるくらいきれいなんだ。

 

 

 

まぁさ、結局

太陽と月、両方あって

幸せってことなんだ。

 

言葉で表すのは苦手だな。

やっぱり俺は

ボディランゲージのほうが

得意らしい。

 

 

俺は俺の生き方を

これからも貫いていくよ。

 

達也も、

言われなくてもだとは思うけど

お前らしくいてほしい。

 

 

 

長年来の感謝を込めて

達也、洋子ちゃん、

ありがとう、そして

おめでとう!」