お正月休み中、随分前に買っていたまま、ずっと本棚に寝かせていた本をやっと読むことができました。
その本とは、村上春樹さんの新刊「1Q84 BOOK1」「1Q84 BOOK2」です。

久しぶりに、本を読んでいて、続きが気になって読むのを止められないという体験をしました。
風変わりなストーリーと魅力的な登場人物、リアルな描写に引き込まれ、グイグイ読み進んでしまいました。

BOOK2まででは、まだ謎がすべて明かされているわけではないのですが、読んだ甲斐があったと思わせてくれる作品です。
久しぶりに“小説を読む楽しみ”を味わわせてくれました。

今まで「村上春樹? そんなのミーハーな人が読む小説でしょ」なんて斜に構えて、「ノルウェイの森」くらいしか読んだことがなかった自分が恥ずかしい。。。

1Q84 BOOK 1 1Q84 BOOK 2

<STORY>
予備校の数学講師・天吾は小説家志望の29歳。編集者の勧めで17歳の女子高生・ふかえりの書いた小説「空気さなぎ」のリライトを担当することとなった。天吾は最初はその仕事を拒んでいたものの、「空気さなぎ」とふかえりの魅力にひかれ、だんだんとのめりこんでいく。スポーツインストラクターの青豆は、暗殺者と言う裏の顔を持っていた。女性に暴力を振るう男性のツボを鍼で刺すことにより、心臓発作に見せかけて殺していくのだ。


<Cheeseの感想>
小説家志望の予備校教師の天吾、暗殺者という裏の顔を持つスポーツ・インストラクターの青豆(あおまめ)。
このふたりが物語の主人公です。

別の場所で展開していくこのふたりの物語に、17歳の“ふかえり”と、宗教団体「さきがけ」が絡んで、物語が展開していきます。

ふかえりが語った(「さきがけ」を牛耳る)リトル・ピープルの存在を、天吾が物語として広め、そしてそのリトル・ピープルの傀儡となる男を青豆が殺そうとします。
リトル・ピープルがどういったものなのか、最後まで読者にはよくわかりません。

「さきがけ」の教義も結局は不明ですし、カルトチックであったりオカルトチックであったりします。


タイトルの「1Q84」とは、もうひとつの「1984年」のこと。
ふと気付いた時に、世界は1984年から1Q84年に変わっていたのです。誰も気づかない内に。
1Q84年には月がふたつあり、リトル・ピープルがいます。
そのことに気付いているのは、青豆、天吾だけ。


この小説の登場人物、設定にはあまり現実感がありません。
でも、その描写には、ものすごくリアリティがあります。
青豆のファッションの描写や、バーで男をひっかけるやり方、天吾が手早く作る料理や人妻とのセックス描写など、このふたりの生活の様子が、目に浮かぶようにリアルに描写されているからです。

オウム真理教を思わせる「さきがけ」や、エホバの証人を思わせる「証人会」、NHKの集金人と言った描写も、わかりやすく、リアル。
架空の世界の中に「知っている(ような)団体」が出てくることにより、リアルさが増しています。


また、青豆、天吾、ふかえりには、ひとつ共通点があります。
それは、「10歳の時、自分の意思で親と決別し、新たな人生を歩きだした」ということ。

親と決別するというのは、大人でも難しいことですし、世間的にも良いと見なされないことです。
それを、自活の手段も持たない10歳の時点で決行し、その生き方を貫いてきた3人には、揺るがない強い意志があったのだろうと思います。
そんな意思を持った同士だからこそ、共鳴し、求めあうものがあったのだろうなと…。


個人的にはとても面白いと思い、大好きな小説なのですが、なかなか難解で説明の難しい小説です。
好き嫌いもはっきり分かれるのだろうと思います。

ただ、2010年の4月に続きが刊行される予定だということで、本当の評価はそこからなのかもしれません。


そうそう、この物語のテーマとして何度も描かれる音楽、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」
思わずAmazonでポチっとしてしまいました。

4月の続編刊行までに、この音楽を聞きながら、村上春樹の過去作を読み漁って行きたいと思います。


Janáček - 'Sinfonietta' final movement




【参考リンク】
【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(上)
村上春樹氏インタビュー 僕にとっての<世界文学>そして<世界>


 

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