朝起きて、熱いシャワーを浴びながら女子プロも真っ青のアクロバティックな体位で割れ目を刺激する。
ああ、いい、うう、サイコー!
全身が激しく痙攣してオルが スムスを迎えた。
学校に行きたくないわ。でも行かなくちゃ。
私は玄関を開ける。
もしここに全裸の亀田興起くんが来たらどうしよう。
ど、どうしよう。
ドギマギドギマギ。
どないしょ、私の胸は高鳴っとうよ。
ミスド事件の時に握らせてもらった亀田興起くんのジョイ棒。
思い出していたら女の陰が湿ってきたわ。
ああンまた満をズリズリしたいわ。
道の真ん中で私ったら恥ずかしい。
太陽も見てるわ……ダメ、見ちゃイヤぁ! そんな目で見ないでくれたまえ!
ああどうか亀田くんの亀の頭にまた会わせてください神様仏様興起様!
「おーい、ミチコー!」
え、この声は亀田くん!? ウソ!?
私が左手をパンチィに突っ込んだままギョロギョロすると、道の向こうから走ってくる影が。
あれがもしや亀田くん?
目をこらすと、どんどん近づいてくるその姿は確かに亀田興起くんだった。
「きゃあ、亀田くん! って全裸かよ!」
亀田興起くんは生まれたままの姿で、己のバナナリパブリックを鋭角に尖らせており、それがぶりんぶりんとたわわに揺れてゐた。
ごくり、私は生唾を飲み込んだわ。
……きっとこれは夢よ! 私は夢を見ているのよ! こんなときは思いっきりつねればいいの。
私は目の前の教師ビンビン物語をつねった。
「いてててて」
「ウソ、痛いなんて! これは現実なの? 教えて大宇宙意思様」
その時、太陽の裏から中電磁波を使い私に語りかけてきた。
「感幕飲み込んださっきあったね来年ダイヤ赤黒いやってるよ膵臓」
ああ大宇宙意思様! ありがたいみ言葉、大切にしてダイエットに励みます!
大宇宙意思様は迷える衆生には水しか与えないが、使徒には麦茶を与えてくれる。
世界の仕組みについて完全に理解したところで、私は眼前の亀田興起くんに向き直った。
「おいミチコ、さっきすげえ揺れへんかったか?」
さっきって……やだ、コイツ私の手マ◯見てたの!?
「きゃあ興起さんのエツチ!」
私は亀田興起くんの四肢にロープをくくりつけ、四台の車で四方向に引っ張った。
「いてててて。ちゃうわ、さっきってのは、お前が風呂場で手慰みをしていたときのことや」
「なーんだ、私ったらドジっ子ね」
「さっきすごく揺れたやろ?」
「え、私、体がビクンビクン痙攣してたから分からないわ」
「ったくもう、ミチコは生まれた時からそんなやもんなあ。恐らくマグニチュード9.0ぐらいあったと思うんや」
「そんな! だから周りの建物が崩壊してるの?」
「そうや……」
その時だった。
ばごぉぉぉん。
近くで激しい爆発音がした。
「興起! 大変じゃぞ!」
見たことのない白衣の老人が現れた。
「えーっと、興起くん、この方は? はっ、まさかお父様!? 私興起くんの妻になる者です。ふつつか者ですがどうぞよろしくお願いします。興起くんが留守の時は遊んでね性的な意味で」
「この人はキスミント博士や。どうしたんや?」
「……原発が爆発した」
「そっ、そんな!? あんなに安全だと言われていた原発が!?」
「ああ、ただちに健康に害はないそうだ」
「ああよかった! じゃあミチコ、劇団四季のライオンキングを見にいこうやないの」
「ばっきゃろー!」
キスミント博士は亀田興起くんの体を水車にくくりつけ、激しく回転させた。
「うぷっ、お、溺れる」
「お前は世界チャンピオンだろ? 影の顔は亀田ライダーだろ? 困ってる人がいっぱいいるんだ! ここで人を助けなければ、何のためのチャンピオンベルトだ!」
「で、でもワイは自信がないんや……」
「自信なんてなくていい! 世の中にはエレクトロ時に30cmを超える男もいるんだ!」
「なんやって!? ワイ、やったるわ! 世界チャンピオンとして、亀田ライダーとして、汚れきった地獄の世界からみんなを助け出してやるんや!」
「そうだ、それでこそ亀田ライダーだ」
私は二人のやり取りを聞きながら愕然としていた。
まさか亀田興起くんが亀田ライダーなんて!
亀田ライダーが何だか知らないけど。
「おい、そこの乾杯お嬢さん」
「は、はいお義父さま!」
未来の私の家族に急に話しかけられて勃っ乳してしまったわ。
「亀田ライダーの秘密を知ったからにはタダでは帰せん」
「解ってます、お義父さま……」
「違うってのに」
「私もスーパーボランティアニートとして世界を救うために、亀田ライダーと闘います! だから私のこともやさしく改造してネ」
「おお、そうかそうか! それならばさっそくロボトミー手術を始めるぞ!」
私たち三人は博士の研究室へと消えた。
遠くではキノコ雲が胞子を撒き散らしていた。
そして電柱の影でボンバイエの妻ランダイエが三人を睨みつけていた。
強く食いしばった彼女の口から呪いの言葉が漏れた。
「わ、た、く、し、夜咲くネオンをねぐらと定め、度胸一途の喧嘩渡世。並み居る高校番長抑えましてのスケバン。大阪は梅田で番を切ります学ラン摩耶、で、す」
ランダイエはいつも独りだった。


(Tsuduku)

おおう、ワイや。
浪速の博多っ子こと亀田興起や。
ミスド事件も無事解決してワイは束の間の休息を7ヶ月ほど堪能してたんや。
エロトピアdeシコシコも飽きたんで、「漫画がなけれは漫画喫茶に行けばいいのでごわす」という格言に従ってブックオフにレッツ裸GO。
(鼻歌タイム ドラゴンボールの歌)
♪ちゃーらーへっちゃらー
麻酔が効かないけどへのへ…うぎゃーいたいー♪
その時、通行人と肩がぶつかったんや。
ズゴっ。
あいたたたたた。
レントゲンで読影したところ大腿骨複雑骨折やった。
ワイは怒髪と股間が天を衝いた。
Enjoy天狗や。
「おいお前、人の肩にぶつかっておいて何も挨拶ないなんて、ありがとウサギの糞を喰わせるぞボケぇ」
「ああン?」
ワイの声に振り向いたその顔は明らかに強面の小学生やった。
「あ、ああああ、ごごごごめんなさい、ごめんなさいでした!」
ワイはションベンちびりそうになって必死に土下座をした。
実際700mlほど漏らした。
「なんだ、亀田興起じゃねーか。てめえ、世界チャンピオンのくせに平気で土下座すんだな。最悪すぎてウケルー」
小学生は凶悪なツラをゆがませてゲラゲラ笑う。
そうや、ワイは世界チャンピオンや!
ワイは瞼をぎゅっと強く閉じた。
そこにはいろんなヤツの顔が浮かぶ。
ローソンの店員……、セブンの店員……、ファミマの客……。
そうや、みんな仲間や。
ワイはひとりじゃないんや!
そう呟くとワイは瞼を開けた。闘志の炎はメラメラメラニンと燃えておった。
「おおう、さっきから聞いてれば花屋の店先に並んだいろんな花を見ていたヤツのような戯れ言をほざきやがって。ワイを誰だと思ってんや。イノキボンバイエー。元気ですかー」
「おちこんだりもしたけれど、 私はげんきです」
「よし、ワイと漢同士の闘いや。どっちが真の世界チャンピオンか決めちゃるぜ」
「やれやれ、仕方ないな。頭皮に降りかかったピノ粉はフリフリだぜ」
ワイらはにらみ合うと、お互い服を脱いだんや。
生まれたままの姿になると、お互いのトマホークを屹立させた。
「おう、ガキ、お前いくつや」
「俺は12だぜ」
「12にしちゃいいのを持ってんやないの。頭もしっかり覗いとるで。せやけどワイにはかなわん」
「はっ! それはどうかな。四の五の言ってないで、いくぞ!」
「おう、望むところよ」
かきーんかきーん!
ワイらの男のシンボルが激しくぶつかり合う。
これが漢の聖戦、マーラdeチャンバラや。
あまりの刺激にぬるっとした汁を先走らせていたところ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
激しい揺れがワイらを襲う。
「な、なんや!?」
あまりの揺れに二人とも立ってられへん。
ワイの対戦相手の小学生は四つん這いになり必死に耐えているが、全裸なので見えちゃいけない穴まで見えてワイは大興奮!
今ならドサクサに紛れて挿入できるんとちゃいまっか?
……いかんいかん、そんな状況ではないんや。
あまりの揺れに周りの建物は崩壊を始め、浦賀沖には黒船がやってきていた。
こ、これはマズいかもしれん。
揺れが収まるのを見計らい、ワイは走り出した。
まだ見ぬ明日へ……。


(Tsuduku)

ゲホっ。

“筆者”は自らの吐血で目を覚ました。

そうだ、すっかり気絶していた。

今度は何ヶ月経ってしまっていたのだろう。

青い血を飲み込み、パソコンの電源を入れ、アメーバの自分のブログに接続をする。

すると、一部の記事が削除され、このようなメッセージが記されていた。


「この記事には一部、Amebaの健全なサイト運営にふさわしくない言葉・表現が含まれている可能性がある為アクセスすることができません。」


な、なんだと。

“筆者”は焦った。

このブログは最終的には人類に生き延びる道標を伝える大切な手段となる。

今はまだ序盤で、読者には何も伝わらないかもしれないが、いずれは未来への出来事へと確実に収斂されていくのである。

“筆者”は実際に未来でそれを体験してきたのだ。

それを伝えなければ。

その一心でボロボロの肉体を酷使し、ブログを書いていたというのに。

何が悪かったのだろう。

“筆者”は20世紀で売れた小説には目を通していた。

村上龍も春樹も、花村萬月も、ノーベル文学賞の大江健三郎も、遊人も、自由にのびのびと性表現をしていた。

確かに隠された部分であるのでインモラルな感は否めないかもしれない。

それが規制の理由なのか。


“筆者”は怒った。

ここにも「検閲」が生きていたなんて。

いや、すでに「検閲」が生まれつつあったなんて!

未来、人類を恐ろしく苦しめるひとつのシステム「検閲」。

その魔の手が21世紀にも来ていたとは。


しかし記事を削除されたままにはしておけない。

“筆者”は記事の直截的性表現を暗喩や伏字に置き換え、再度投稿をした。


そして“筆者”は決意した。

「検閲」に少しでも刃向かうため、筒井康隆のように断筆宣言をすることを。


次の投稿まで断筆します。


口に出してみるといい響きだった。

“筆者”はパソコンの電源を切り、塩を舐めた。

「あたいの名前は……」

「あ、それよりあそこを見て! ミスドの店内から火が!」

「か、火事やあ!」

火事であることは火を見るまでもなく明らかだった。

火はあっと言う間に店全体を囲み、もくもくと燃やし続ける。

中に閉じこめられていた千人近い客たちも逃げ遅れて死んでしまったことだろう。

「出火原因がとんと想像つかんな」

「そうね。まるで天ぷらを揚げているのをそのまま放置していたような火事ね」

「いやいや、店内で天ぷらを揚げるようなバカな奴はおらんやろ」

「そうね。少なくとも私は天ぷらを揚げていないし、興起くんも何も見ていない。ね、そういうことね」

「ああ、そういうことや。ほな早く車に乗りんしゃい。海までドライブや」

「すてきっ。私、あなたの子供産みたいな……」

オープンカーに乗り込む私たち。

助手席の私は、興起くんの腿に手を乗せる。

ゆっくりと移動させていって、そして熱くなったそれを握る。

車は湾岸線をカーブする。

夏はまだこれからよ。

私たちは大人の階段を上る。

きっと興起くんとなら怖くない。

だって未来は無限なんだもの!



空を覆い尽くすほど巨大なのび太が、二人をじっと見つめていた。

(ミスド・完)

霧は45分経っても晴れなかった。

「もういや! おうちに帰りたい!」

「ああ、ベッドで眠りたい……」

「家族とはどのくらい顔を合わせてないんだろう……」

店内のフラストレーションは爆発寸前であった。

「みんな! よく聞け! ワイや、ワイはチャンピオンなんや! ここで閉じこめられてても、なんも始まらん。人生っつーもんはチャレンジや。英語で言うと挑戦や! 花*花や! あーよかったなーあなーたがーいてー」

興起の必死の演説に、誰もが耳を傾けた。

「そうね、最近花*花見ないわね」

「そうだそうだ! 0930もどこ行った?」

店内の心が一つになった。

「よし! それではこれから、いたずらに隣の薬局を襲おうと思うんや。参加者を募るべ!」

別に何の用もないのに、薬局への出向を希望したのは三人だった。

一人は私、ことミチコ。

二人目は井上陽水。

三人目はあやしげな女。

「おい、女。なんて名前なんや」

「私? ミチコよ」

「あ、そうだったな。幼なじみのミチコや」

なんで私の名前を聞くのかしら。

あやしげな女の名前を聞けよ興起、と思ったり思わなかったりパイオツを揉んだり揉まなかったり。

「よし、”ピザポテト”のかけ声で外に出んべ。みんな、準備はええんか」

「待って! 今、天ぷら揚げてるの」

私は必死の形相で興起くんを止めた。

「天ぷらなんかどうでもええんや! ミチコ、ワイはお前だけが必要なんや」

「興起くん……」

私はパイオツを激しく隆起させ、興起くんもパイオツを激しく隆起させた。

まさしく仮面ライダー隆起だった。

「ピザポテト!」

興起くんのかけ声で私たち四人は店のドアを飛び出た。

ドピュッ。

外は思った以上でも以下でもない霧だった。

すると向こうから走ってくる男が見えた。

短髪・ヒゲ・ガチムチ・タンクトップだが、下半身はネイキッドで、ギンギンに仮面ライダー隆起させていた。

「きゃああああ!」

私は絶叫した。

「おい、おっちゃん! なんやそれ!」

「これは長い自然薯です」

「ちゃう、そんなこと聞きたいんじゃなくて」

「あ、怒張時のサイズは15cm、仮性です」

「そう、それが聞きたかったんや!」

「ああ、私も安心したわ」

場の緊張の糸がプッツンと切れ、なごやかな雰囲気となった。

ワイワイガヤガヤ。

「俺は譲二と言います。32歳です。175×85、ジムで体鍛えてます。バックを優しく攻めてくれる人が好きです。もちろんセーフで」

「そうやな、今はセーフが基本や」

セーフの意味がわからない人はお母さんや先生に聞いてみよう!

「で、相方と道路の真ん中で青缶しようとしていたら霧が出てきて……はぐれてしまったんです。でっかい自然薯がチャームポイントの彼氏なんですが、見ませんでしたか?」

おそらくそれはミスドに駆け込んできたあの男のことだろう。

私はその男のモッコリを思い出して割れ目がうずいた。

私はこう見えて腐女子なので、男×男に目がないのよ……。

「その男ならコイツのことやな!」

興起くんはなぜか井上陽水を彼に差し出した。

「誰ですか、このもじゃもじゃ」

「井上陽水です」

「きゃあサインしてー!」

ガチムチ男と井上陽水が盛り上がっているところで、興起くんが私の耳元でツイートした。

「おいミチコ、こいつらから逃げるぞ。あそこに車があるから乗り込むんや」

「うんわかった興起くん。あなたの言うことはどんなことでも従います。それが愛だから」

するとそこに一台のバキュームカーが!

「興起くん危ないっ!」

私は興起くんの背中を押してバキュームカーの前に飛び出させた。

キキキーッ!

激しいブレーキ音でバキュームカーが止まった。

急停車した車体の前に両手を大きく広げた姿の興起くんが。

「僕は死にましぇん! 穴が好きだから!」

興起くん、そんなに穴が好きだったのね。

いつもちくわの穴にきゅうりを入れたりしてたものね。

私の視界が急に滲んだ。

温かい涙が頬を濡らした。

「ちょいと待ちなあ!」

大声を上げてバキュームカーを降りてきたのは、薬局襲撃に立候補したあの謎の女だった。

「逃がしゃしないよ、興起。お前は今日、ここで、死ぬんだ。あたいに殺られてね!」

「お、お前は誰だ!?

興起くんは服を脱ぎはじめていた。

もうすでに白いブリーフ一丁だ。

豆腐や出前のように、ブリーフも数えるときはなぜか一丁だ。

「あたいかい? あたいの名前は……」

女の口から出たその衝撃の名前とは!?

翻弄される運命、興起とミチコの愛の行方、盗まれた遺骨、痩せた老婆!

次回『彼女の名前は』をお楽しみにしろ。



(続く)