ネグレクトという言葉がある。その言葉には「育児放棄」という意味もあるようだが、私の母親も部分的にネグレクトをしていたと思う。

 今でも忘れられない思い出なのだが、幼稚園の時、親が迎えに来なかった事があった。

 その日、親がいつもの時間に現れなくても最初は気にしないで他の子と楽しく遊んでいたのだが、そのうち一緒に遊んでた子もお迎えが来て1人帰り2人帰り、とうとう私1人になってしまったのだ。私の母親だけいつまで経っても来ず、私は会議室みたいなところに移動させられ、1人で待たされた。だいぶ経ってから母親は来たが、子供にとっては長い時間だったのだろう、心細くて大泣きした事を覚えている。母親はヘラヘラしていたのでやむを得ない理由で遅れた訳ではなさそうだった。幼稚園を無料の託児所位に思っていたのかもしれない。

 また、小学生の時の給食費滞納も忘れられない。

 給食費は毎月封筒に3000円を入れて先生に渡してたようだが、母はお金の入った封筒を私に渡す代わりに、連絡帳に「今は持ち合わせが無いので少し待ってください」と書いて渡す事がしばしばあった。
 その件で特に印象に残ってるのは小学校2年生の時だ。担任の先生は「川上先生」という若い男性の先生で、すぐに体罰をする怖い先生だった。 
 ある時、給食費の事で連絡帳を先生に差し出した。私は怒られるのでは?とビクビクしていたが、先生は連絡帳を読み、私の目を見て「致し方ないな」と意外にも優しく言ってくれたのだった。

 また、小学生時代、同級生の親がやってるうどん屋からよく出前を取っていたのだが、その支払いをたまに「ツケ」にしたりしていたのだ。百歩譲って、電話で注文する際にその旨伝えて了承を得ているならまだしも、持って来て貰って支払いをする段になって「ツケ」宣言するのだからたちが悪い。てゆーか、子供の同級生の親がやってる店で「ツケ」とか普通はしないだろう。

 そんな非常識な母親だったが、彼女はさらに途方も無い学歴コンプレックスの持ち主で、姉と私は後に苦しむ事になるのである。

 長くなるので続きます