今はフィリピンも新型肺炎の話題一色である。

嫁はんはマスクとエチルアルコールを買って来た。

さすがに過剰反応だとは思うのだが、フィリピン人はパニックに陥りやすく、高く売るための買い占めも多いので、まあしようがないか。

タール火山噴火の時も距離的にどう見ても影響がないミンダナオでさえマスクが売り切れたという。

 

新型肺炎と言えばSARSを思い出す。

あたしは当時香港に住んでいて、毎日テレビのニュースで今日も何人が感染した、何人死んだという情報を見ては暗い気分になった。

それでもあたしは特に対策もせずマスクをしだしたのは会社が社員に配布して着用を強制してからで、既に流行が終息に近づいている時だった。

かなりの人数の医師や看護師が長期休暇を取って海外旅行に逃避したと言うのが週刊誌の記事になった。

香港は元々大陸から逃れて来た人たちを中心とする国だ。

自分の身は自分で守るという意識が非常に高い。

これはこれで一つの立派な生き方かとも思うが、逃げることなく死の恐怖(実際大勢の医療関係者が感染した)と闘いながら最前線で戦った医療関係者のコメントが胸を打った。

ほとんどの人たちが医療は自分の仕事であり、職業の責任を全うするのは当然でしょと言う感じで、淡々と答えていた。

あたしは香港人のプロフェッショナル意識の高さは好きだ。

あたし自身が会社や上司に対する忠誠心はないが、自分の職務に対する忠誠心は絶対に譲れない点だと思っているので、この辺は共感する。

 

今回は最初から大陸で発表があった点は評価できる。

SARSの時はあたしらが不謹慎にも広東省の友人を訪ねて遊びに行った時に、飲み屋のお姉さんたちが、あたしらが香港から来たということで怖がっていたのが納得できなかった。

恐らく情報統制が敷かれていて、自分たちが大本だということは知らされていなかったのだろう。

こういった経験があるので、今回も最初の発表があった時点で、その百倍は感染者がいるなと思っていた。

中国はどうしても隠し切れないほど感染者が出るまでは公表しない国だ。

それでもSARSの時に国際社会から散々叩かれたので、今回はかなりましになっていると思う。

現時点でも実際の感染者は発表の10倍は居るのではないかと思って居るが、今はもう隠ぺいなどなく、ただもう数が増え過ぎて誰も正確な数を知ることができない状況なのだろう。

こうなると隔離もできないので、どんどん感染が広がって行く。

SARSと違って症状が軽い人が多いのも制御を難しくしている。

SARSは大半の人が物凄く重篤な肺炎を起こしていた。

流行当初はすべてが手探りで、感染=死と言う感じだった。

今回は重症率が低いために感染の広がりが大きく、結果として死者の数は多い。

早くSARSの時のように治療法が確立されて死者の増加を抑えることができればうれしい。