5月13日~15日の3日間、世界お茶まつりの春の祭典が開催されています。
会場は富士山静岡空港・石雲院・島田市お茶の郷の3か所に加えて、今回は原子力防災センターで蘭字展を見ることができます。
西洋の文字という意味をもつ「蘭字」とは、輸出用の日本茶に貼られたラベルのこと。茶関係資料としてだけでなく、美術的にも関心が高まりつつある蘭字は華やかな木版多色刷り。
様々な蘭字(ラベル)が展示された会場はまるで美術館のよう。
一枚の絵のように見える蘭字ですが、この中にはブランド名・お茶の種類やランクなど大切な情報も記されています。
輸出が伸び始めた明治10年代頃から昭和30年頃まで使われていたのだそう。最終期は英語の他、フランス語・アラビア語の文字も見られます。
欧米の消費者にとって浮世絵風の多色摺木版画がついているのが日本緑茶の魅力だったそうで、鮮明なカラーとエキゾチックな浮世絵は欧米で人気があったといいます。
茶猫がいちばん好きだったのは黒ネコをあしらった蘭字。こんなラベルがついていたらやっぱり魅力的。
蘭字以外にも興味深い様々な文献が展示されていました。どっぷりと日本茶の歴史に惹き込まれそうなスペースで、スタッフの方の説明からもお茶に対する愛情が伝わってきます。
多田元吉(ただもときち)氏による紅茶の作り方の資料など、歴史を感じさせる文献がたくさん。多田元吉氏は日本茶の輸出先の嗜好と生産事情を調査するため、1875年に中国、1876年にインドに派遣された人物。
多田元吉氏が持ち帰ったインドの種子は「多田系インド雑種」と呼ばれ、その交配種から「べにふうき」が生まれたといわれています。
四角く固められた磚茶というお茶は中国茶ではよく知られているけれど、日本産のものもあったとは知りませんでした。
世界お茶まつり春の祭典は、会場が数か所に分かれているので遠方から出向く人にとってはちょっと周りにくいのですが、会場から会場へ移動する時に見える萌木色の茶畑が目に眩しい季節です。
蘭字展の会場で入手した「蘭字 輸出茶ラベルの100年」という冊子を見ながら、日本茶の歴史に想いを馳せる週末となりました。
3年ごとに開催される世界お茶まつり秋の祭典は10月27日(木)~30日(日)。前回は秋の方が会場も見やすく内容も充実しているような印象だったので、興味のある方はぜひ。
▼世界お茶まつり 2016
http://www.ocha-festival.jp/2016/
~ご訪問ありがとうございます~

にほんブログ村













