ちょっと寄り道なので、今回はテーマ「歩け歩け」ではなく、テーマ「千葉県のご近所」の記事とします。

佐倉市の臼井地区は私の母の故郷であり、今も叔父が祖父母亡き後の母実家に住んでいます。

なので少々知っているこの場所、しかし実は一度も行ったことのない場所がありました。

ユーカリが丘駅から歩いて来たこの日、ちょうどいいから祖父母のお墓参りも兼ねて、その場所へ行ってみようかと思い立ちました。

よかったら、お付き合いくださいませ。

こちらは明治天皇が寄ったんですよ～♪ということを示す碑ですね。

これが目的ではないのですが、せっかくなので載せてみる。

明治２２年に町村制施行が行われ、近隣の６つの村が集まって臼井町（うすいまち）ができました。

千葉県北部のほぼ中心にあり、成田詣での途中にあるということで、宿場町でもあったそうです。

だから皇室の方が通りかかることもあったそうな。

母の小学生の頃の思い出に、天皇が学校の近くを通るので、児童全員が表の道に出て両脇に整列し、黙礼してお出迎えするということがあるそうです。

お出迎え、といっても、車で通り過ぎる天皇とその一行をただ待って、下を向いているだけということです。

絶対に頭をあげて、天皇陛下を見てはいけない、と言明されていたそうな。

お顔を見るなど恐れ多いからと。

もちろん、母の時代は昭和天皇でしたが、今みたいな皇族の皆様へカメラを向けたりする行為は罰則もの。

天皇が神様だった時代のことです。

私の今回の目的は、その明治天皇の碑ではなくて、こちらです。

丘の上に向かう道。

この先に目的地がございます。

看板が出ているのですが、そこには「臼井城址公園」とあります。

目指すのは、お城跡でございます。

けっこう高さがあったもので、ゼーゼー言いながら画像撮ったら見事にぶれましたが・・・。

この階段が面倒で、今まで登ったことがなかったんですわ～。

しかし、中央線の旅で小仏峠を越えた私にとって、これっくらいはなんてことないわ～あッはッは～～高笑い～

とか思ってなめていたら、すでにユーカリが丘駅から丘越えしてきた後の身には、けっこう堪えた。

やっぱり日ごろ鍛えないとダメだなあと、何回思ったことか。

でもサボる。

まあとにかく百段以上あったんじゃないかという簡素な階段を上っていきますと、目の前が拓けました。

わーい、お城跡～～・・・・って、なにもないですわっ！

「上がって行っても、何もないよ～」と、親戚には言われていたのですが、や～、ここまで何もないとは。

ここはすでに滅びた城なのです。

臼井城（うすいじょう）とは、１４世紀中頃に城としての基礎が置かれたもので、天守閣は無く平城だったそうです。

京成本線の線路から北に、１～２キロ離れたここは、臼井田（うすいでん）と呼ばれる場所です。

当時、治めていたのは臼井氏の一族でした。

戦国時代、千葉県内では千葉氏、里見氏などの強豪がおりましたが、臼井氏も名を連ねていたそうです。

１５６１年に上杉謙信が小田原攻めをいたしまして、その際、上杉氏に呼応した里見勢の上総大多喜城（かずさおおたきじょう）の城主・正木信茂によって臼井城は落城します。

大多喜城はいまも残っていて、観光地になっておりますよ。

落城時、臼井氏は滅亡するのですが、生き残りの一族がいました。

臼井氏は縁戚である原氏に城を乗っ取られた後、原氏の手中に納まったとの説があります。

原氏は千葉氏の家臣だそうな。

このあと、１５６６年に城主となった原胤貞らは上杉と里見に攻められますが、落城寸前になりながらも上杉謙信を大敗させたという「臼井城の戦い」という歴史的な出来事があったそうな。

原氏がそのまま治めた、戦国時代の臼井。

城跡から東を見ると、印旛沼（いんばぬま）が見えます。

臼井は、印旛沼とともに生きてきた地域です。

ここは印旛沼の西のはずれになり、ここから東へ、大きく広がっているのです。

原氏は１５９０年に徳川氏に敗れ、臼井城には酒井家次が入ってきます。

ところが３年後に城内からの出火で、お城が燃えちゃうのですね。

その後、城主だった酒井家次は１６０４年に、いわば転勤しまして、臼井藩は廃藩になり、臼井城は廃城となりました。

室町時代から安土桃山時代にかけて、かなり歴史上で重要な役割をした臼井城と臼井藩なのですが、世の中にあんまり知られてないですね。

臼井町が合併で佐倉市になってからは、「佐倉といえば堀田氏の佐倉城」というイメージの方が強くて。

あちらのほうが観光名所として整備されてますしねえ。

江戸時代のものだから、資料もいっぱい残っているようですし。

臼井城の跡地は、今はご近所の皆さんの散歩コースとして親しまれているようです。

私がいた十数分の間、数人の地元の方がほっこり歩いてらっしゃいました。

ここで、無敗と言われた上杉謙信が一度敗れたという、歴史的なことがあったというのも信じられないほどに穏やかな夕暮れ。

さて、ではそろそろ現代に戻るとするかな、と、臼井城址公園から降りて駅へ向かったところ、こんなすごい雲が出ていました。

エビに見えたんだけど・・・どうだろう？

なんか、縁起がよさそうな。

臼井の街はあまり高い建物もなく、城下町らしく細い路地が張り巡らされた住宅地となっています。

空も広く見えますねえ。

では、明日から京成本線の旅、再開いたします。

♪　防人の詩　　さだまさし