2024年シーズンのブエルタ・ア・エスパーニャ。サイクルロードレース・ファンの皆さまにおかれましては、存分に堪能しておられますか? 今年は、この競技の特徴と面白さを楽しめる3週間になるんじゃないかと、個人的に感じています。つまり、個人の勝利でも勝負はチーム単位という特徴、そして、大自然相手のスポーツであることや、個々の実力差が明確に現れる面白さです。ただひとつ、オバさんの想いとして、もう少し穏やかな気象条件の中で、みんなが走れたらよかったのにと感じています。

「これがブエルタだよ」と言われればそれまでだけど、暑さに強い・弱いは本人が持って生まれた体質です。暑熱対策が進化しても、努力や練習ではどうにもならない部分で勝敗が決まる状況に、なんとも微妙な感情を抱いてしまいます。

 

さて、2024年ブエルタのマイヨロホの行方に衝撃が走った第6ステージ。オーストラリア人ライダーのベン・オコーナーが、2位に5分近いタイム差で総合首位に立つなんて、誰が予想したでしょうか。これは、大変な大差です。しかも、本人はジロで総合表彰台を獲得する実力の持ち主ですからね。このレースでオバさんが痛感したことを、あくまでド素人の個人的感覚と前置きし申し上げます。

第6ステージ時点で総合リーダーを擁していたドイツのワールドチームの、レースマネジメントがあまりにお粗末でした。最後の「激坂ドッカーン!」はなく、3級山岳が3つ連なってゴールするコース設定。スタート前から「逃げ屋向き」と言われたレースで、オコーナーら総合系ライダーが入った逃げ集団に対し、7分差をつけてはいけません。残り距離30㎞を切ったあたりから慌てて追いかけても、完全に手遅れですよ。最大に見積もっても3分台を維持すべきでした。これ、観戦したとき痛感したんですよ。見始めたころは、理想的なタイム差でプロトンを引っ張っていたレッドブル・ボーラが、あるタイミングで引きをやめ、一気に7分差になりました。なぜ、あそこでプロトンのコントロールをやめたのでしょう? オバさんは今も、その理由が解りません。予定通りマイヨロホを譲ったはいいけど、その結果が5分差。去年のユンボ・ヴィスマや今年のツールのUAEならば、絶対こんなレースマネジメントはしないよなぁ…というのが、オバさんの素直な感想です。

 

では、圧倒的なタイム差で総合首位に躍り出たベン・オコーナーは、ブエルタ最終日まで赤ジャージを守り切れるでしょうか。ここらへんに、今年独特の面白みがあります。

本人はやる気満々だし、総合系ライダーとしての実力も申し分ありません。ただ、わたしたちファンが今後レース観戦する場合、頭のスミに残しておくべき重要な事実があります。第6ステージ終了後の2位とのタイム差4分51秒は、ライバルとのガチンコ勝負で得たモノではない、という歴然たる現実です。今後、オコーナーが考えるのはこのタイム差をどう守っていくかだけ。実際、総合系のガチンコ勝負が展開した第9ステージで、オーストラリア人ライダーはタイム差を縮小させました。オバさんの感じ方では、プリモシュ・ログリッチの方が実力は上だと思います。ただ、彼は背中に爆弾を秘めてますからねぇ。

ともあれ、開幕前は予想すらされていなかったライダーが総合トップにいることで、今後が物凄く楽しみなブエルタです。個人的には、このままオコーナーに逃げ切ってほしいし、2~3秒の超僅差で勝つような気がしているんですよ。ログラは推しライダーだけど、もう3回も勝っているんだから、いーんじゃない? 

というワケで、あと2週間。スペインを満喫しつつ、ブエルタ観戦を楽しみましょう!