【かすてら】の語源 | 日本語の語源 〜目から鱗の語源ブログ〜

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日本語の語源について紹介していきます。

 日本語というのは大和言葉と称されるものも含めて

 「漢字を素材として、日本人自身がつくった言語」です。

 

 今回は【かすてら】の語源を紹介します。

 

 この菓子の名称は、カステーラと長く引張って発音することもあり、純然たる日本語として付けられたのに、外国語であると誤り伝えられている可能性が高いのです。

 大辞典、例えば、広辞苑(第六版)を見ると、スペインのカステリア王国で産出していたものを、オランダ人が長崎に伝えたとされていますが、自国のものならともかく、当時、激烈な競争相手であったスペインの菓子をオランダ人が伝えるなどということが、あり得たものなのかどうか疑問があり、単なる菓子の名称に過ぎないものに国名を付けるというのも可笑しいのです。

また、現在のスペインの旧カステリア地方にカステラのような菓子があるのかという問題もあります。なお、他の大辞典では、カステラはポルトガル語と書かれていたりしており、そもそもヨーロッパ語由来というのが怪しのです。

 

 巷の本には、織田信長が、キリスト教宣教師、つまり、バテレンからこの菓子を贈呈されたときに、なんという菓子かと聞いたところ、菓子箱の表紙に書かれていた城郭のことと勘違いして「カースル」と答えたことから、この菓子が「カステラ」になったというのですが、宣教師がそんなに愚かであったとも思えず、この説も架空の作り話である可能性が極めて高いように思われます。この菓子の主産地は長崎であることから、その製法は外国から伝えられたかも知れませんが、その名称は、日本人が付けたのです。

 

 一音節読みで、甘はカンと読み「食べて美味しい」ことをいい、酥はスと読み「ふっくらとして柔らかい」ことをいいます。また、甜はティエンと読み「美味しい」こと、爛はランと読み「煮たり熟したりして「柔らかい」ことをいいます。 

甘酥は「美味しくて、ふっくらとして柔らかい」、甜爛は「美味しくて、柔らかい」と、ほぼ同じ意味で、この菓子の特徴にぴったりの字句となっています。

つまり、カステラの名称は、これらの字を繋げた甘酥甜爛であり、直訳すると「美味しくて、ふっくらとして、柔らかい(菓子)」の意味になっており、これがこの言葉の語源です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。