こうして①では現在厳しい状況に置かれているスポーツ漫画というジャンルの中で、新たにスポーツ「ファン」漫画というジャンルが確立されつつあるという話をしてきたが。

②では具体的な例について紹介していきたい。

それまでの日本の漫画界にはプロレスファンの漫画や阪神タイガースの応援団の漫画なども存在はしていたが、なかなかジャンルとして定着していかなかった。

そうした中でスポーツ「ファン」漫画として開拓者となったのが石田敦子の「球場ラヴァーズ」シリーズである。

この漫画は30代、20代、10代のバックグラウンドがバラバラなカープ女子がビジターのカープ戦の時に球場に集い、当時まだ弱かったカープの愚痴を垂れながら野球観戦をするという話なのだ。

これがそれぞれの女子の心情とカープ愛が絶妙なコントラストで描かれていて心に突き刺さるような感情になる。

その次にハマったのはサッカーの女子高生サポの漫画である「サポルト」。

過疎が進む地元が嫌いな女子高生・室町花子が同じ高校のヤンキー女子の佐橋風夏とひょんなことから地元の弱小サッカークラブ・木更津FCのゴール裏での応援をするようになる。

悲しいことや嫌なこともありながらも、ゴール裏で他のサポと応援していくうちに、花子の地元に対する心情にも変化が…。

これらのスポーツ「ファン」漫画には女性が主人公の漫画が多いが、男のファンが主人公の漫画なのは「球場三食(きゅうじょうさじき)」。

予備校の32歳・日本史講師の日下昌大(くさか・まさひろ)。

プロ野球をこよなく愛する彼は日本各地の野球場で健康診断の数値に怯えつつも、ビールを呑み地元のスタジアムグルメに舌鼓を打ちながら、プロ野球選手の一挙手一投足に刮目し野球観戦を楽しむ。

まだまだスポーツ「ファン」漫画はたくさんあるが、今日はこのくらいにしておく。

こうした漫画を読んできて思うのは、スポーツファンの想いというのもある意味選手と同じくらい重いモノであり、尊重されるに値するモノであるということ。

今のスポーツ漫画というのは厳しい状況が続くがこうしたジャンルがもっと活発化してほしいモノである。

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