冒頭のタイトルは一見するとスポーツビジネスのブログには似合わない記事に見えるかもしれないが、ちゃんと意味がある。ご静聴願いたい。

今回のテーマは雑誌についてだが、今の時代成人男性向けの雑誌というのが、どこも壊滅的な状態で、一言で言うと「瀕死」である。

もしかすると全ての雑誌が今、苦況に喘いでいるのかもしれないが、調べてみると女性誌というのは、苦しくない訳ではないが、男性向けほど悲惨な状況ではないという。

日本社会の中で、同じ日本人なのに男と女でこの差はなんだ?という話である。

ここで来年不惑を迎える男である筆者の卑近な例から見てみるが、筆者が20代にボクシング教原理主義者だったころ、バイトの給料日より、15日の方が遥かに楽しみだった。

その毎月15日というのが、2誌あるボクシング専門誌の発売日だった。

当時はまだネットも発達していなかったので、専門誌というのが元世界王者ロベルト・デュランの言葉を借りると「俺(この場合は専門誌)は神ではないが、それに近い存在だ」というモノだった。

それはボクシングという狭い世界だけの話ではなく、同年代のサッカーライターも毎週火曜日に出版されるサッカー専門誌の発売日は特別だった、と述べていて、他の世界の人間も価値観としては大した差はなかった。

しかし、そうしたスポーツにおけるファンとマスメディアの上下関係はインターネットという存在が破壊してしまった。

試合の日程もレビューもそのスポーツのファンがUPしたブログで代替可能となり、スポーツ専門誌の影響力は急速に衰えた。

しかし、インターネットの影響力に性差はないはずなのに、日本の男性向け雑誌だけがなぜ衰えて、女性誌はなぜ苦しいながらも力を維持出来ているのか?という話だ。

その答えが、男性向け雑誌というのが、最速の「情報」を伝えることが出来なくなって衰退したのに対して、女性誌はターゲットになる読者層に「価値観」を提供していたから、生き延びているからである。〈②に続く〉