たまたま暇だったから見に行ったプロバスケBリーグのA東京vs京都戦。しかし、その試合は予想だにしなかった大激戦となった。

③以前にも述べた様に前半の試合の入り方から序盤のペースを取ったのはホームのA東京。

筆者はサッカーやバスケを見る時にプロで強いチームと弱いチームの違いは何だ?という問いに対して、「強いチームになればなるほど外国籍選手と日本人選手の実力差は小さい。弱いチームはJ2でもプロバスケでも外国人傭兵におんぶに抱っこのチームになる」と常々言っているが、この日の京都もゴール下のセンター5番マーカス・ダブの肉弾戦や42番の左利きシューターのケビン・コッツァーのシュート技術で追いすがるものの前半は大差がついていた。

会場のブースターの誰もが「今日はA東京の勝利で決まりだ」と思った第3Qの終盤。はっきりは覚えていないが16点差はついていたワンサイドゲームに京都ハンナリーズの競馬で言う脅威的な「末脚」が発揮されるとは、この時点では思いもしなかった。

前述の持論でチーム内の外国籍選手と日本人選手との実力差で選手間のスペックに開きがあった京都。しかし、ただひとつ京都の日本人選手に外国籍選手並の潜在能力があったとするならば、それは「尋常じゃないスタミナ」であった。

我慢比べの消耗戦で(サッカーと違い選手の入れ替え自由だが)脚が止まってきたA東京に対して、京都のコート上に5人のスタミナは無尽蔵だった。

途中で休めるとはいえプロのコートは他のスポーツ同様に、ただ立っているだけでも体力は消耗する。そうした中でアウェーの京都の選手は16点差から怒涛の猛追で第4Q中盤には7点差まで詰め寄った。

しかし、それでもA東京が有利だと思われた第4Qの残り24秒(!)で京都の選手が2本連続の3ポイントシュートを立て続けに決めてまさかの1点差っ!2278人の観客が集まった代々木第二体育館は怒号の中、興奮の坩堝(るつぼ)と化した。

会場中の老若男女が異常なテンションになったラスト20秒。A東京の選手は老獪だった。ギャレットを中心としたテクニックのあるプレーヤーが追いつきたい京都の選手のファールを誘い、これをA東京のフリースローのシューターが確実に決めて最後に突き離す。

最後の最後まで勝負を諦めなかった京都の追撃も力尽き、最終的に78-75でA東京がリーグ戦7連勝を飾った。

しかし、この試合で印象に残ったのは勝ったA東京よりも勝負を捨てなかった京都の気迫である。筆者の愛読書であったボクシング漫画「はじめの一歩」の主人公・幕之内一歩のような終盤での無尽蔵のスタミナを彷彿とさせるような、3000円のチケット代に値する素晴らしいプレーだった。またバスケの試合を見たいと思わせるに十分な迫力だった。

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