①では様々な競技での天才の定義をしたが、②では本来なら無敵なはずの天才に対する最大の敵について述べたい。
先日、このブログで野球の変化球だろうが、サッカーの戦術だろうが、未来永劫ずっと無敵な戦い方などない、という話をした。
集団で行う球技もそうだが、個人で戦う格闘技でも上記の概念はあてはまる。
どんな天才アスリート(格闘家)でも負ける時は負けるのが、残酷な時のが流れというヤツである。
では、天才アスリートが自らの出世街道を阻まれる時、彼らは何に行く手を遮られるのか?
そうした天才アスリート最大の敵とは他でもない「自分の身体(からだ)」である。格闘技で言えば、自らの身体が発するパワーや衝撃波に自分の身体が耐えきれなくなり、怪我を起こしてしまうのである。
ボクシングで例を挙げると、世界王者の内山高志は「ノックアウト・ダイナマイト」という異名の通り、内山のパンチをまともに貰った選手にまともに立っていられる選手など存在しなかった。
しかしそれだけの圧倒的な衝撃波を放つ内山のパンチは、裏を返せば対戦相手のみならず自らの身体を蝕むほど、身体に負荷をかけてしまい、結果的に自らのパンチで自分自身も怪我を被ってしまうのだ。
強烈なパンチ力が自らの身体を蝕んだ例は他にもある。
もう引退したボクシング元世界王者の浜田剛史氏も、前座時代に自らの強打ゆえに利き手の左拳を4度(!)骨折した。拳の骨を何度も骨折しても、心の背骨が1度も折れなかったのは凄いの一言である。
他にも日本ボクシング界の次世代エースの重責を担う井上尚弥も、昨年(2015年)は拳の骨折で丸々一年間棒に振った。
こうして見るように天才アスリートにとっての最大の敵というのは、実は対戦相手ではなく、自らの身体に起こってしまう怪我なのであった。
天才なら凡人の悩みなどわからないと思っていたが、天才には天才の悩みがあったのである。