①ではスポーツビジネスという世界が夢みたいな格好いい仕事ではなく、むしろヤクザな要素もある人身売買みたいな世界だと言うことを述べた。②でもその続きを見てみたい。

このブログでもよく出てくる漫画で筆者が大尊敬する能田達規のプロサッカー漫画「マネーフットボール」(芳文社)で主人公のSB梶本洋平が所属するプロサッカー2部のN2の愛媛イーカッスルで、FWのブラジル人アルベルトがその試合でいいところがなくて交代させられたシーンがあった。

アルベルトは不満を露わにしてベンチに下がり、その後も不貞腐れた態度を取っていた。

そのアルベルトが試合の数日後、代理人と共にクラブ事務局に詰め寄り、クラブ社長にインセンティブ(出来高払い)の増額を要求した。それこそ「商品がゴネる」世界である。

取り扱う商品がモノの場合は品質管理の必要があるが、商品がヒトだと品質(選手やスタジアムのコンディション)+選手に気も遣う必要も出てきて神経をすり減らす仕事である。

プロサッカーの監督は30数人の部下(選手)全てに気を遣いながら、毎試合チームの勝利を目指す生半可な覚悟では出来ない仕事というが、サッカークラブの社長はそれプラス、地元議会やメディア・スポンサー集めもしながら、スタッフ50人近くの人生を背負うというタフな仕事である。

しかも毎回ベストを尽くしても必ず負ける時があるので、こんな水物でヤクザな商売もないのである。

日本にプロスポーツが出来て四半世紀が経ち、「スポーツビジネス」という言葉がもてはやされるが、若い人にもこの仕事を夢見る人はいるだろうが、皆がこの仕事を夢の仕事と感じているのは、単なる錯覚しているだけである。楽しそうな仕事が、実際楽しい仕事とは限らない。どうしてもこの仕事に就きたいなら、一般企業を経験してからでも十分間に合う。諸君の健闘を祈る!