①では日本のアイスホッケーの現状や実際の試合前などについて述べた訳だが、②では試合について見てみたい。
筆者はこの日一番安い2500円の席で見にいったが、この席は実は良くない。
というのも、この席はチームのベンチの真裏であり、全く試合の流れが分からないのである。
この日は1人で見にいったので、席を立って(サッカーで言う)ゴール裏の立ち見席に移り、幸いスペースを譲ってもらえたので観戦ができた。
筆者も色々スポーツを見てきたが、前回の記事で書いたバスケで重要なのはアジリティー(敏捷性)やエアバトルでの滞空時間だったり、ハンドボールでは瞬間的な跳躍力やサイドへのステップワークが重要だということを以前述べたが、ではアイスホッケーで重要なのは何なのか?
アイスホッケーで重要なのはスケーティングでの直線的なスピードの他に圧倒的なフィジカルや闘争心だ。
もちろん前述の競技でも闘争心は必要だが、乱闘上等のアイスホッケーではビビっていたら喰われてしまう世界なのだ。
筆者が見た第1試合の日本製紙クレインズvs東北フリーブレイズも御多分に漏れず、闘争心という導火線に火がついた激アツなドッグファイトのような試合だった。
昨シーズンのアジアリーグ王者のフリーブレイズに対してクレインズの方が仕掛けてきた。
アイスホッケーの場合、スケートの時速は40kmまで加速して、それプラス肉弾戦にもなるので迫力が凄い。
この日の試合で動きがキレていたのは、クレインズの日本代表FW48番の上野拓紀(うえの・ひろき)だった。
この日上野は今シーズン調子が良いからなのか、積極的に仕掛ける攻撃的なプレーでフリーブレイズのゴールを肉迫。
第1ピリオドにあっさり先制点を挙げると、その後も肉食獣のように獰猛にフリーブレイズのゴールを襲う。
第2ピリオドにはチームメイトの日本代表の梁取慎也によるアシストもあって、早くもハットトリックを達成して試合を決定づけた。
そしてアイスホッケーには付き物の大乱闘がこの試合にもあった。第3ピリオドに選手の小競り合いから両チーム入り乱れての乱闘が勃発した。
リンクに立っていたほとんどの選手が乱闘に参加していたので、一定の時間に出場停止の選手が入るペナルティーボックスは満員電車状態だった。
それ以外でもフリーブレイズの白人選手がクレインズの選手にマウント(馬乗り)で相手をボコっていて、(筆者がやっていた)ボクシングとは少し違った意味で野蛮なスポーツに見えた(筆者はそうしたスポーツが大好きだ)。
結局試合は日本製紙クレインズが東北フリーブレイズを5-2で下し、上野拓紀はリーグ得点王に踊り出た。
アイスホッケーは首都圏では見る機会が限られているが、また見る時間を作りたい。

