こうして筆者は昨年(2015年)末、地元錦糸町で実業団バスケNBL屈指の強豪アルバルクの試合を見に行ったが、意外にも先手を打ったのリーグ下位の熊本ヴォルターズの方だった。
ヴォルターズは小柄なガードの30番古野拓巳の冷静な読みから来るスティールと、センターの外国人5番ジョシュア・クロフォードのゴール下のパワフルなプレーで、第1ピリオドはヴォルターズがリードで終えた。
逆にアルバルクは再三のシュートチャンスも第1ピリオドはシュートの精度が低くミスを連発。ここまで見た時点ではどっちが格上かわからない試合展開だった。
しかし、第2ピリオドから徐々にスロースターターなアルバルクがエンジンを掛けてきた。
ヴォルターズが前述の古野&外国人選手の個人の基本性能に頼っているチームで、他の日本人選手とのプレーの精度に開きがあるのに比べ、アルバルクは日本代表のSGの16番松井啓十郎や13番のフォワード菊地祥平などの日本人選手がアルバルクの外国人選手とのプレーの質にそれ程の差は無く、チーム全体のパスの連動性で徐々にアルバルクがヴォルターズを圧倒するようになっていった。
第2ピリオドでまずスコアが同点に近づいて、第3ピリオドではあっさり逆転に成功。そこからはどんどんアルバルクが得点差をつけていった。
この試合筆者が注目していた前述の松井啓十郎は、この試合の最多得点をマークしていたらしいが、プレーを見ていると他のプレーヤーを活かして得点を決めさせたり、自分で独力でシュートを決めることもできれば、一方で囮(おとり)の動きも巧みで、良い意味でチームにとって空気のような、あって当たり前でなくなったらチームにとって致命的な替えの効かない存在なんだろうなと感じた。
結局この日の試合は終わってみればアルバルクが90-72で快勝。まだバスケの試合は見るようになって日が浅いのでレベルの違いまではよくわからないが、十分楽しめた試合だった。
あと筆者が気になっていたのは試合のファンサービスの部分。プロバスケのbjリーグに比べ、実業団のNBLはこの部分が劣るというが、スタンド自由席にアルバルクのチアリーダーがいて、試合の中断時間にも観客を楽しませるパフォーマンスをしたり、試合後にチアと観客との写真撮影会もあって、全くこの分野が出来ていないという訳ではなかった。
しかし一方で、会場内のビールは持ち込み可能だったが体育館内での販売はなく、プロスポーツビジネスとして貴重な現金収入の機会を失っているのには、ビジネスチャンスとして疑問符もあった。

