昨日は日中韓について書いたので今日は香港について考えてみようと思う。

最近ラジオのニュースで香港の民主化の話がよく出てくるのだが、「世界で一番自由度が高い街」と言うイメージが強い香港なのだが香港の行政のトップは実は選挙で決まってる訳ではない。つまり香港という地域は民主化されていないのである。

こうして考えてみると意外なイメージがあるのだが、チャイナゾーン(中華圏)の中で民主化されているのは台湾(1996年に民主化)だけである。ほかに東アジアで民主化されているのは日本と韓国(1987年に軍事政権から民主化)ぐらいで、昨今のアジアで経済発展しているイメージがあるかもしれないが実は東アジアで民主化されている国や地域というのはそう多くはないのである(一人当たりのGDPが日本を超えたというシンガポールも政治そのものは人民行動党の一党独裁である)。

今経済発展をして欧米から富と権力のパワーバランスが東アジアにシフトしつつあるが、意外と政治体制自体が出来上がっていない国がこの地域には多い(民主化して選挙というシステムができれば良いものでもないが…)。

しかし香港もイギリスから中国に返還されてもう17年(!)も経つ訳だが香港人も中国人もこの17年で大きく変わったように見える。もともと香港はアジアの中でも20世紀の頃から豊かな街ではあったが、中国に返還後世界中に散らばる新華僑(ここ数十年に海外に出稼ぎに行った華僑)の海外から中国本国への送金センターになっているのが深セン(土へんに川)という香港の衛星都市にできたことによって周辺の経済が飛躍的に向上した。

そして中国人の平均年間所得が4000ドルであるがこれが10000ドルを超えたら香港だけでなく中国人も民主化への欲望というのは止まらなくなるだろう。

最初に韓国の民主化が1987年にあったことを言ったが、韓国も1970年代に朴正煕政権の開発独裁で経済発展に成功し中進国の仲間入りを果たし、1988年のソウル五輪の前年にそれまでのアジアの最貧国から飛躍的に豊かになった国民が、独裁政権から民主政治への欲望を止めることができずに結果として民主化に成功した歴史があるが、香港や中国もまた豊かになり(香港の場合はイギリスから中国への権力の委譲という特殊な事情もあるが)国民が民主化という健全な欲望を行使しようとしているのである。

有名な言葉に「歴史は繰り返す」とよく言うが、香港や中国もまた韓国や台湾が歩んできた民主化のプロセスを進もうとしているように見える。この結末はどうなるか?それもまた歴史の判断に委ねるしかない。