スポーツの現金化 (その33・「ドーハの悲劇」から20年)

「ドーハの悲劇」。これは1993年10月28日にサッカー日本代表がワールドカップ・アメリカ大会の出場権を最後のコーナーキックからの失点で同点に追い付かれ同大会初出場を逃した出来事のことである。

筆者(不器用貧乏)は当時サッカーが嫌いで(今では考えられないが)一人で浮かれていたが、徐々にサッカーの魅力を知るにつけてこの出来事を考えるようになり、贔屓のジェフ戦をフクアリで見ていて、一点リードしかし後半アディショナルタイム(ロスタイム)1分で相手チームのコーナーキックになると心のなかで「ショートコーナーが怖い！」と悲鳴をあげてしまうのである(苦笑・あとそれはJ1J2の40チーム皆同じ)。

しかし真面目にサッカーを考える上で、ドーハの悲劇から20年経ってこの国にサッカー文化という種が撒かれて(まかれて)土壌が成熟されてジャイアントキリングのETUの笠野さんが言うように、国民のサッカーに対する見識がある一定水準までは上がったように見える。週末の居酒屋で飲み屋の大将と馴染みの客がサッカーの戦術論をするとは、20年前には考えられない光景である。

しかしその一方でヨーロッパのトップレベルのリーグやナショナルチームとはまだまだ厳然たる聳え(そびえ)立つ壁が立ちはだかっているのも事実である。実際今でもサッカーに限らず(他のスポーツや勉強でもそうだが)「根性練習」が幅を効かせているのも現実としてある。話が脱線するが筆者はジョギングもするが(おっさんなのもそうだが)闇雲な根性練習は逆に体に悪い時もあるのも身をもって知っている。練習もこってり汗をかき芝を舐める練習も必要だが、休養も重要なこともサポは知らなければならない。選手や指導者が成熟する為にはマスコミやフロント・サポも又同じように研鑽していかなければならない。今日ドーハの悲劇から丸20年が経って、日本サッカー界の進歩と課題をサッカーファンの末席を汚す者ながら考えた次第である。