少し前にアメリカのテキサス州でヒスパニック(中南米からの移民)の人間だったら警察の拘束もあり得るという今思うとかなり乱暴な州法ができて、ボクシングのWBC会長のメキシコ人ホセ・スライマンがテキサス州で同団体のタイトルマッチをしないという抗議行動をした(野球のメジャーリーグも同様の抗議活動をした)。
現在は少なくともテキサス州で世界戦があるのでこうした法律は撤廃されただろうが、日本に住む日本人として少し考えさせるものがあった。

アメリカ社会ではヒスパニックの人々は同国内のコンビニやガソリンスタンド、単純作業の工場、レストランのウェイター(ウェイトレス)などアメリカ経済の底辺を影で下支えしてくれている。アメリカのヒスパニックが全員中南米の祖国に帰ったらアメリカ経済はおそらく麻痺するだろう。

それは日本の新華僑(ここ何年かで日本に移住してきた中国人)も同様だろう。近年東アジアの民族問題が叫ばれているが(先の震災でかなり帰国したと言うが)、もし東京にいる(働く)中国人が全員中国に帰国したらまず東京の経済が麻痺する。東京の経済の麻痺は日本経済の麻痺に繋がる。日本経済の麻痺は中国経済の麻痺を引き起こす危険もある。

日本で牛丼チェーンやファミレス、コンビニで働く新華僑抜きでは今の日本経済は成り立たなくなっているのである。筆者(不器用貧乏)も中国の全てを受け入れられる程の度量のある人間ではないが、その一方で日本の劣悪な労働環境で懸命に働く新華僑の存在も知っている。ただ単に「中国だから」といって否定から入って思考停止するのは(中国に限った話ではないが)、受動的で楽ではあるが本人も周囲も誰も幸せにならない。歴史や民族問題で完全な客観性は土台無理なのは分かるが、もう少し中国を知る努力が日本全体に必要な気がする。