少し前の雑誌(ムック本)で「Number PLUS 2011 拳の記憶」という雑誌が刊行され、自分はボクシングをやっていたのでその雑誌を買った。

その雑誌の中で、直木賞作家の角田光代さんが「恋とボクシングと勝ち負けのこと」というエッセイを寄稿していた。そのエッセイを読むと、私生活の事情から体を鍛えることを決意した角田さんが本人曰く「ずぼら」な自分は徒歩圏内のスポーツ施設に通いたいと思い、輪島ジムに通うようになったという。そのエッセイそのものも面白かったが記事の中に輪島ジムの写真があり、ジム内に「試合前、休む勇気」とおそらく会長直筆の貼り紙がしてあった。

この貼り紙を見て、自分に対するメッセージのように思えた。自分は今、近所の公園を7km走っていて、ジョギングの習慣を採り入れて丸2年になるが、自分だけでなく日本人全体に根性練習をよしとするメンタリティーがあるように見える。

元々輪島会長は世界王者を複数回取っているが、それは裏を返せば、何度か防衛失敗したことを意味している。輪島会長本人も別のボクシング専門誌のインタビューで、「防衛戦の前のオーバーワークが原因で負けた。」という言うことをおっしゃっていた。その為自分のジムの練習生に試合前の休養の重要性を伝えたいためにこの貼り紙を貼ったのだと思う。

同様のことは他のスポーツでも同じで、先日読んだサッカー本の「俺にはサッカーがある」(川本梅花著、2012年、出版芸術社)という本でシュナイダー潤之介という現横浜FCのGKが地域リーグに在籍してた頃、チームメートに「お前な、練習好きなサッカーバカは大事なことだけど、オフにどれだけ体を休められるのかという考えもプロとしたら大事な部分なんだぞ」と言われたことがありシュナイダー選手はその言葉もあってJリーガーになれたのである。

格闘技でも球技でもそうだが休養の重要性を再認識し、「休養も練習のうち」という考え方も必要なのである。