部屋に着くと、いきなりちゃまに聞かれました。

まあ、当たり前ですけどね。



ちゃま 「先生、何て?」


ちゃま夫「・・・・・ん~、

      ・・・・やっぱり脳梗塞は起こしてたみたい。

      でも、起こした場所がよかったね!

      このせいで身体のどっかが動かなくなったりはしないみたいだよ。

      また悪化もしないみたいだから・・・・・。」


ちゃま 「婦人科の先生は?」


ちゃま夫「!!・・・・・・・・・。

      このせいで手術のほうはちょっと延期になるって。

      でも特効薬があるから心配いらないってさ。

      大丈夫!すぐ良くなるよ・・・・・・・。」


ちゃま 「・・・・そう・・・・・・・。」



私は、その時に作れる精一杯の笑顔で、

ちゃまにウソをついてしまいました。


でも、とてもじゃないけど

あの時の医師の言葉を

そのままちゃまへ伝えるなんて事は出来なかった・・・・・・。




その日、病院を後にした私は

家へ帰るなり、すぐにPCへ。

ネットで卵巣癌に関する記事を読み漁りました。


卵巣癌に関する手術や抗がん剤、ステージ、生存率等・・・・・・・・・・


中でも特に気になったのは

ステージ(癌の進行度)によって、

生存率が大きく違うという事でした。



『ちゃまはステージいくつの卵巣癌なんだろう?

進行してなきゃいいんだけど・・・・・・・・・・。』


心配でした・・・・・・・・・。

本当にもう心配で心配で・・・・・・・。



次の日、私は直接ちゃまの婦人科担当医を訪ねました。



ちゃま夫 「先生、ちゃまのステージってどのくらいなんでしょう?」


婦人科医「癌やステージについては手術後に病理検査を行い、

       初めて確定するものです。ハッキリお答えは出来ません。

       ただ私の経験上、ステージⅢは行ってるのでは・・・。」


ちゃま夫 「・・・・・・・・・・・・・。」



婦人科医の言ってた事・・・・・・、その通りなんです。

昨日調べた内容にもそのような事が書かれてました。


卵巣癌の初期は自覚症状が殆ど無い。

 進行癌となって初めて医者を訪ねる患者が多い”と・・・・・・・。


私はただ祈るばかりでした・・・・。

『せめて浅い進行度であってくれ。抗がん剤が奏功してくれ。』



その後、私はちゃまの様子を見に行きました。

でも、そこで衝撃の一言が・・・・・!!



ちゃま夫「調子はどう?」


ちゃま 「うん、昨日よりもだいぶいいよ。」


ちゃま夫「そっか。よかった・・・・・。」



ちゃまはニコニコしながら話を続けます。



ちゃま 「こんな所でつまづいてられないよ。

     もうすぐ抗がん剤も始まるからね・・・・・。」


ちゃま夫「!!!!・・・・・・・・えっ!?・・・・・・・・・」


ちゃま 「私・・・・・最初から知ってたよ。

     でも大丈夫だから!癌なんかには絶対負けないよ!」


ちゃま夫「・・・・・・そっか・・・・・・そうだよな・・・・・・・

      あ、ゴメン。ちょっとトイレ行ってくるわ・・・・・。」



そう・・・・・・・。ちゃまは最初から知っていたのです。


よく考えてみたら私はただの会社員でしたが、

ちゃまの職業は看護師でした。

医療に関しての知識は私より何倍もあるのです。


初診時から本人は腫瘍マーカー等もとっており

今、自分の体内で何が起きているのか分かっていたのでした。


でも、それを私に話せば

きっと私が大きなショックを受けてしまう・・・・・・・・・・。

私にショックを受けさせたくない一心で

”卵巣のう腫”とウソを言っていたのです・・・。


そんなちゃまの気持ちが分かった時、

私は涙をこらえきれなくなりました。

あの時トイレでどれだけ泣いたことか・・・・・・・・・・・・・・。



しかし、いつまでもメソメソしていられません!

ちゃまは自分の癌に対して完全に戦闘態勢を整えてます。


私もちゃまのそんな気持ちに応えようと腹をくくりました!

とにかく自分に出来る事をして彼女をサポートしようと・・・・・!



こうして私達夫婦の卵巣癌との戦いの火ぶたが切って落とされたのです!!



           ・・・・・・・・続く