アフターコロナ以降、
「決算が赤字なので改善支援をお願いしたい」
という経営相談が増えています。

補助金申請の支援で決算書を確認すると、赤字が続いているにも関わらず、見積を「勘と経験」で出している経営者が非常に多いのが現実です。結果として、原価を無視した受注が積み重なり、赤字決算につながっています。

1.「勘と経験」に頼るリスク

特にオーナー経営者に多いのが、過去の経験値に頼りすぎる見積です。
原価高騰の時代に合わせた計算をしていないため、知らないうちに赤字案件を抱え込んでいます。

原価計算を積み上げず、「昔はこれで利益が出た」という感覚だけで価格を決めてしまう…。その結果、決算書が赤字でも「なぜだろう?」と疑問に思う。これは経営判断として致命的です。

2.数字を使って意思決定する

まずは前期決算書から原価率を計算してみましょう。
営業利益率がマイナスなら、当然売上高比もマイナス。つまりその時点で赤字案件です。

例:売上高比 -20%の場合
→ 原価が売価の120%になっている状態。
→ 解決策は「売価を上げる」か「原価を下げる」しかありません。

受注した案件自体が赤字だと気づけば、打つ手は見えてきます。売価改定が難しければ、まずはコスト削減から着手できます。

少年、3Dプリンターを組み立てる

3.データと直感のバランスを取る

もちろん経営者の知見や勘は重要です。最終判断に直感が活きる場面は少なくありません。
ただし、勘だけに頼るのは危険です。誰しも判断を誤ることがあります。その誤りを修正するために必要なのが「冷静なデータ分析」です。

数字をもとに現状を把握し、そのうえで直感を活かす。
このバランスが健全な経営判断につながります。

 

ちょっと厳しい話になりましたが、経営は厳しく、同時に挑戦的で楽しいものです。
勘だけに頼らず、数字で裏付けを取りながら意思決定を進めてみてください。

原材料費・光熱費・人件費などの高騰が経営を圧迫しています。
「原価が上がって大変だ」と相談に来る経営者は多いのですが、実際にどの費用がどれくらい増えているのか把握していないケースが少なくありません。これは改善のスタート地点にも立てていない状態です。そこで今日は、経費をグラフ化して可視化し、無駄を発見する方法をお伝えします。

1.経費科目別の推移を可視化する

経費を「なんとなく把握」ではなく、数値化して推移を確認していますか?
直近3期、できればコロナ前を含めた5年程度で、科目別の推移表を作ってみましょう。外部環境の変化が激しい時期だからこそ、グラフ化すると「どの費用がどのタイミングで増えているのか」が一目で分かります。そこには経営のヒントが隠されています。

2.「見える化」で無駄に気づける

グラフ化してみると「原価高騰が原因」と思っていたのに、実は会議費・交際費・旅費交通費などが大きく伸びていた、ということがよくあります。外注費の増加が浮き彫りになるケースもあります。
もちろん原材料・光熱費・人件費の上昇は外部環境の影響が大きいですが、それ以外の費用増加は本当に外部要因なのでしょうか?データで検証すると、改善できる余地が見えてきます。

経費グラフ化で無駄発見

3.経費を節約する

もし会議費・交際費・旅費交通費が急増しているなら、**「本当に必要な支出か?」**を検証しましょう。

  • 会議費 → 実質的に社員の食事代になっていないか?

  • 交際費 → 取引先との関係強化に効果が出ているか?

  • 旅費交通費 → 出張回数が適正か?オンラインで代替できないか?

ただし「締め付けすぎ」は逆効果です。従業員が納得できるルールを示し、「必要な経費は安心して使える」状態にしたうえで管理するのが理想です。こうしたバランスを取ることで、自然と経費使用に緊張感が生まれ、営業利益率の改善につながります。

 

いかがでしょうか?
売価を上げにくい環境だからこそ、経費削減は経営改善の大きな一手になります。ぜひグラフ化・見える化から始めてみてください。

販売店、小売店、飲食店を経営していると、顧客数が急に増減することは珍しくありません。
従業員の接客が良くなって増えることもあれば、対応が悪くなって減ることもあります。特に飲食店では、仕入れ先を変えた結果「味が落ちた」と判断され、常連客が離れてしまうケースがよくあります。経営者自身は現場の変化に気づきにくいため、知らぬ間に客離れが進んでいることもあるのです。

そのときに役立つのが、顧客アンケートを数値化して傾向を把握することです。感覚ではなくデータとして示すことで、経営の気づきにつながります。

1.顧客アンケートをシンプルに点数化する

まずは顧客接点を活かしてアンケートを実施してみましょう。
スマホアプリやWEBフォームを使い、回答者にはクーポンを発行するなどの工夫をすると効果的です。質問は「商品やサービスの満足度」を軸にし、1〜5点などシンプルに数値化できる形式にしてください。これにより後でデータ分析しやすくなります。

2.自由記述もカテゴリ分けして整理する

自由記述は顧客のリアルな声を得られる大切な部分ですが、量が多いと分析が難しくなります。
そこで「価格」「対応」「品質」「雰囲気」などあらかじめカテゴリを設けてプルダウンで選べるようにすると整理がしやすくなります。これにより、AIツールを活用して分析するときにも効率的です。

タブレットで顧客アンケートを数値化

3.数値と顧客の声を組み合わせて改善策を立てる

アンケート結果は点数と自由記述を組み合わせて解釈しましょう。
例えば「味が落ちた」という声が増えたなら、仕入れや調理工程の変化を確認し、元に戻すか、より良い仕入れ先を探すべきです。その上で「味を改善しました」とPOPやSNSで発信すると信頼回復につながります。
また「接客が悪い」という声が多い場合は、企業風土や教育に問題がある可能性が高いので、時間をかけて改善が必要です。

顧客は不満があっても、直接は言わずに離れてしまうことが多いもの。
だからこそ、アンケートを通じて意見を引き出す仕組みが大切です。

 

いかがでしょうか?
アンケートを数値化して分析すれば、感覚ではなくデータに基づいた改善が可能になります。すぐに取り組める方法なので、ぜひ導入してみてください。

企業の「健康チェック」というと財務諸表の話と思われがちですが、今回は人の健康についてです。
経営者・管理職・従業員の心身の健康は、企業の成長を支える大切な基盤です。長期的な視点で健康維持に取り組むことが、結果的に企業の利益向上にもつながります。

1.健康診断結果や運動習慣をデータ化する

健康診断の結果は、企業でも確認できる重要なデータです。産業医と連携して分析すれば、生活習慣病のリスクを早期に発見し、未病の段階で対策できます。

さらに、従業員の運動習慣をアンケートで把握し、個々に応じた運動メニューを提案することも効果的です。たとえば、月次で簡単な運動レポートを提出してもらうことで、健康管理を「見える化」し、福利厚生の一環として浸透させることができます。

2.健康経営が生産性・定着率を向上させる

健康への意識改革は、最初は従業員の抵抗を招くことがあります。ですが、セミナーや研修を継続的に実施することで、徐々に健康管理が「会社の文化」として根づいていきます。

  • 体調が安定することで業務効率が向上

  • 心身の健康維持が離職防止につながる

  • ワークライフバランス改善で組織の雰囲気が向上

さらに「残業削減 → 基本給に還元する」という明確な方針を示せば、従業員の納得感も高まり、健康経営が経済的メリットとして受け入れられやすくなります。

従業員が健康チェックでリフレッシュ

3.個人情報への配慮は必須

健康データを扱う際にもっとも注意すべきは個人情報の取り扱いです。
企業が「善意」で共有した情報でも、従業員にとってはプライバシー侵害に感じられる場合があります。

特に導入初期は細心の注意が必要です。以下の工夫が効果的です。

  • 個人情報を匿名化・集計データとして活用する

  • 外部の第三者機関(例:産業医・社労士)に運営を委託する

  • 「健康経営の目的は従業員の幸せ」であることを明確に伝える

まとめ

健康経営は特別な仕組みを導入しなくても、既存の健康診断や生活習慣データを活用するだけで始められる施策です。
小さな取り組みから始めて、ぜひ組織全体の活性化につなげてください。

本日もありがとうございました。

経費が高騰している今、多くの企業が節約策を講じています。
しかし、本当に節約すべき箇所に手が届いていない企業が多いのも事実です。

例えば、

  • 会議室の電気をこまめに消す

  • お昼休み中にオフィスの照明を落とす

こうした努力は立派ですが、在庫管理や原材料の発注にはノータッチというケースも少なくありません。

節約はネガティブに見られがちですが、実際には 余剰資金を投資に回せるポジティブな手段 です。
だからこそ「目に見える小さな節約」だけでなく、コスト全体を見直す取り組みが必要なんです。

原材料手配でできる節約術

原材料は物流費や人件費、為替の影響で、以前とは比べものにならないほど高騰しています。
では、どう安くするか?

私がおすすめするのは、商社を活用した一括管理 です。

倉庫でタブレットを持つ女性

商社を活用するメリット

「商社は手数料を抜いて高い」と思われがちですが、実際には次のような効果があります。

  • 発注窓口を一本化 → 社内事務コスト削減

  • 在庫の一部を商社側が持ってくれる(条件次第)

  • 不具合時の対応も商社が一括で請け負う

  • 在庫管理を商社と連携できる → キャッシュフロー改善

確かに原材料の単価は上がるかもしれません。
しかし、人件費削減や在庫圧縮の効果の方が大きく、結果的に資金繰りが楽になる のです。

節約は“未来の成長資金”に変わる

こうして浮いた余剰資金を、社員研修や設備投資に回せば、企業の成長はさらに加速します。

節約=コストカットではなく、未来への投資資金をつくる仕組み と考えると前向きになれますよね。

経営者の視点で「本当に効く節約」を考え、成長資金に変えていきましょう。

 

本日もありがとうございました。