【現場改善】最高品質は“汎用品”では必要ない!

製造業の支援をしていると、
現場の熟練工の方が「品質」にとても強いこだわりを持っているケースが多いです。

もちろん、そのこだわりがあるからこそ日本のモノづくりは信頼されてきました。
しかし一方で、**「こだわりが強すぎて生産性を落としている」**現場も少なくありません。

顧客仕様はすでに満たしているのに、
「納得がいかないからやり直し!」と再加工を繰り返してしまう…。
結果として納期は遅れ、原価は上がり、利益が消えてしまう。

もし心当たりがあるなら、
「品質の見直し」と「意識改革」をするタイミングかもしれません。

■1. 品質の基準は“感覚”ではなく“数字”で決める

たとえば、プラグ製品の最終検査を熟練工が行っているとします。
表面の滑らかさにこだわるあまり、少しでも違和感があると「不合格」。

しかし、顧客の仕様を満たしているなら、それは出荷OKのはずです。

そこで大切なのは、基準を数値化すること

たとえば、表面の歪みや粗さを測定できるデジタル機器を導入し、
「数値で合否を判断する」仕組みに変えるんです。

これで、熟練工の勘に頼らず誰でも判断できるようになります。
そして、現場のボトルネック(作業の詰まり)も自然に解消されていくはずです。

 

■2. 製造現場に“原価意識”を持たせる

日本の製造現場は「職人の世界」になりがちです。
経営者も「現場には口を出しにくい」と考えている方が多いのではないでしょうか。

でも、時代はもう変わっています。
原材料費も人件費も上がっている今こそ、現場にコスト意識を持ってもらうことが重要です。

たとえば、

  • 再加工や戻り作業にどれだけ時間とコストがかかっているかを「見える化」する

  • 「顧客仕様を満たして安全なら出荷OK」とルール化する

この2つを徹底するだけで、
現場の意識が「最高品質」から「最適品質」に変わっていきます。

結果、品質を維持しつつも利益率の高い経営が実現できます。

■3. “こだわり”は悪ではないが、使いどころを間違えない

こだわりが価値になるのは、
伝統工芸品や高付加価値製品など、品質そのものがブランドになる分野です。

しかし、汎用品では「こだわりすぎ」が命取りになることもあります。

顧客は“超高品質”を求めていないことが多いです。
必要なのは、「仕様を満たして安全であること」。

つまり、

「最高品質」ではなく「最適品質」を目指すこと。

ここに発想を切り替えるだけで、会社の利益構造は一気に変わります。

💡まとめ

✅ 品質基準は“感覚”ではなく“数字”で設定する
✅ 製造現場に原価意識を持たせる
✅ こだわりは高付加価値製品だけに注力する

 

品質にこだわること自体は素晴らしいです。
しかし、「品質のための品質」では企業は成長できません。

企業が目指すべきは、
“売れる品質”と“利益が残る品質”の両立

これができる企業が、これからの時代に勝ち残ると思います。