映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章」…伏線の回収は見事! | チャコティの副長日誌

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主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



製作年:2024年 製作国:日本 上映時間:130分

 

 

前章は公開後ずいぶん経ってから観ちゃったのだけど、

後章は公開初日にすかさず観賞してしまった.
本年度累積116本目は日本製アニメーションの秀作.
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地球外からの侵略者が日常に溶け込んだ世界で青春を謳歌する少女たち
を描いた浅野いにお原作の同名コミックをアニメーション映画化した

2部作の後編.

入試に合格して亜衣や凛と同じ大学に通い始めた門出と凰蘭は、竹本ふたばや
田井沼マコトという新しい友だちもでき、尾城先輩が会長を務めるオカルト

研究会に入ることに.

一方、宇宙からの侵略者は東京各地で目撃され、自衛隊が駆除活動を繰り
広げていた.上空の母艦は傾いて煙が立ち上り、政府転覆を狙って侵略者
狩りを続ける過激派グループ「青共闘」も暗躍.世界の終わりに向かって
カウントダウンが始まるなか、凰蘭は不思議な少年・大葉に再び遭遇する.

音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル・ikuraとしても活動するシンガーソング
ライターの幾田りらが門出、歌手・タレントとして活躍するあのが凰蘭の声を
それぞれ演じるほか、浅野いにお原作の映画「零落」の監督を務めた俳優の
竹中直人が“侵略者の議長役”の声優として友情出演.

以上は《映画.COM》から転載.
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とりもなおさず、前章で散りばめられた伏線は徐々に解決していった.
10代の門出と凰蘭の過激な行動は門出の自殺で終焉を迎えたように
見えたが、そこから凰蘭は侵略者?…宇宙人の力を借りて別次元へ
転移すること選択してしまったよう.

そこで、前章の大半を占める高校生生活場面が成立するのだが、その
選択してしまった世界が、まさか東京上空に陣取る母船が暴走破壊する
未来であったとは知るよしも無いのであった.
 

 

政府は母艦破壊によって東京に降り注いできた侵略者を駆除し、人々を
安堵させようと試みる.その行いを非人道的だと批判する学生団体と、
更に侵略者たちを無差別に殺戮を続ける過激派グループが存在する.
そして、大学生になって何気ない日常を送るおんたん達ち…門出と凰蘭.
 

 

謎が多い前章に比し、後章は地球崩壊への道筋全ての要素を全回収
しようとするのだが、実際にはまだまだ描けていないなと感じる

ところもある.が、本質はそこではない.

この映画は、地球滅亡を描いたSFものでも、現代社会に一石を投じる
社会風刺映画でもない.主人公の小山門出と中山凰蘭という、何処にでも
いるフツーの少女2人が、恋について話して、友達と遊んで、時に上空に
位置する母艦の影響で不思議なことが起こるけど、仲良く慎ましく日々を
過ごす、何気ない青春謳歌と位置づけたい.

おんたんが門出に言う.“僕は君の絶対だから”、“君は僕の絶対だから”.
この言葉が、この作品一番の伝えたいこと.君が世界中の敵になろうとも、
僕は君の味方であり続ける. 前後合わせて4時間かけた壮大なSFの後の、
このド直球な愛のメッセージが身に浸みていく.

おんたんは、門出が死なない平行世界へ移ることを選んだ.正確には、
自分が門出を守ることで、門出が暴走し、跳んで死んでしまわない世界を
作ることを決意する.たとえその世界が人類が滅びる世界であったとしても.

何があっても変わらない、門出とおんたんの強い友情と、絶対に味方で
いてくれるおんたん兄の存在.それでも必ず、君を守ってみせる.
そうとするなら、ラストの結末も納得がいくというもの.
 

 

原作は未読ゆえ、ラストの結末において原作とこの映画版の差は判らない.
とにもかくにも、滅亡したのは東京地区だけだったよう.おんたんたちは、
大学のオカルト研究会の合宿で東海地区に来ていた為、みな生き延びる.

母船破壊を阻止しようとした先行調査宇宙人の大葉も生き残り、オリンピック
スタジアムに隠された秘密の飛行物体で政府も生き延びたよう.
作ろうと思えば、続編も可能か??

興味深い落とし所にしたものだ.