原題：Nope 製作年：2022年
製作国：アメリカ 上映時間：131分
この監督には前２作で完璧にやられた感を味合わせてもらっている．
予告から刺激的な出来で期待感をもって公開初日にTOHOシネマズ柏で
観たのは本年度累積197本目．
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「ゲット・アウト」「アス」で高い評価を受けるジョーダン・ピールの
長編監督第3作．
広大な田舎町の空に突如現れた不気味な飛行物体をめぐり、謎の解明のため
動画撮影を試みる兄妹がたどる運命を描いた．
田舎町で広大な敷地の牧場を
経営し、生計を立てているヘイウッド家．
ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりして
いたところ、突然空から異物が降り注いでくる．その謎の現象が止んだかと
思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた．
長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体の
ようなものを目撃したことを妹に明かす．兄妹はその飛行物体の存在を
収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に
挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた．
「ゲット・アウト」でもピール監督とタッグを組んだダニエル・カルーヤが
兄OJ、「ハスラーズ」のキキ・パーマーが妹エメラルドを演じるほか、
「ミナリ」のスティーブン・ユァンが共演．
以上は《映画.COM》から転載．
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動物と人間…を一つのテーマに捉えているのだろうか．
冒頭の“ゴーディーの誕生日”と称するチンパンジーの暴走殺人事件の扱いが
良く理解出来ない．唯一生き延びた少年リッキーがその後成長して、主人公らの
馬を買い取ったり、砂漠の真ん中のショーで飛行物体を引き寄せようとする重要
な役柄なのだけど、人類と飛行物体の主との関係をも指すのか…？？？
その一方、広大な牧場経営で生計を立てていた主人公一家にまつわる話しは
単純明快だ． ある日一家の父と長男OJ；ダニエル・カルーヤが馬を世話していると、
突然、空から無数の異物が降り注いでくる．降り止んだと思ったのも束の間、
直前まで会話をしていた父親が息絶えていた．
OJは妹エメラルド：キキ・パーマーに告白する．父親の不可解な死の直後、
雲のなかをとてつもない速さで移動する巨大な“何か”を目撃した、と…．
やがて兄妹はその“何か”を撮影し、動画を投稿することを思いつく．
話題になれば一気に億万長者。撮影技術者に声をかけ、その姿をカメラに
収めることを試みるのだが、その先に、彼らを想像を絶する恐怖が襲う．
突如現れた“動かない雲”の存在．
「上を見ては駄目！」 「絶対に見つめるな」…物語のその先に待ち受ける展開の
わからなさがたまらなく面白い．ジョーダン･ピール監督らしい部分だ．
黄色人種というか日本への親和性もちらほら見え隠れする．冒頭のチンパンジー
から生き延びたリッキー：スティーブン・ユァンが果敢に未確認飛行物体を
呼び寄せようと尽力したり、バーでの飲んでいるビールが“一番搾り”だったり．
あっけなく死んでしまうYouTyuberが残した電動バイクに妹エメラルドが乗り、
ハードブレーキストップするシーンは「AKIRA」のオマージュ以外のなにものでも
ない．最後の未確認飛行物体の変形した姿は「エヴァンゲリオン」の使徒そのもの
であった…．くすりと笑うか、その低俗性を侮蔑するかは観客に委ねられる．
物語冒頭で、旧約聖書ナホム書の一節が示される．
「私は汚らわしいものをあなたに投げかけ、あなたを辱め、見せ物にする」
（３章６節）
ナホム書は、暴虐により長年中東を支配していたアッシリアがバビロンに
よって滅ぼされることについての預言書．
教えを軽んじる尊大な権力者には、神の裁きがくだる．
本編がどこまで聖書を絡めた話なのか分からない．先の“ゴーディーの誕生日”
事件のチンパンジーも私にはピンと来ない．．
キリスト教を下敷きにした映画では毎回思うことだが、ピンと来ないのは
私自身の知識不足によるものなのだろう．これでは何回観ても本作の本質は
見抜けないような気がする． ジョーダン･ピール監督侮れず…だ．
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