人形の家初日の夜に、何故か『あれからのジョンシルバー』を振り返る | 「これはペンですか?」「いいえ、これは丸山正吾のブログです」

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まずは、本日ドガドガプラス『人形の家NTD』無事初日が終了しました。
お客様に感謝!!ドガドガプラスはお客様との相互作用で完成する劇団です。
笑って頂けて、本当に嬉しかったです。

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そして、少しだけ余裕ができたので、ジョンシルバーを振り返ります。

年末、大晦日が千秋楽の『ホムスイ』が終わり、全く休まず唐ゼミ☆の『あれからのジョン・シルバー』に突入しておりました。

この作品、本当に書きたいことが多すぎる作品でした。
日本演劇界の巨人、唐十郎さんのジョンシルバー三部作の最終章、姉を探し求める片手片脚の男"花形"を演じることになったわけですが、これがもう本当に!!本当に!!本当に!!
自分の芝居人生の中でナンバーワンに大変な役でした。
しかも、ホムスイが大晦日千秋楽で、唐ゼミの本場がなんと2週間後!!

時間が無いのはもちろんですが、1ページ丸々くらいはザラにある、とんでもない長ゼリフがいーーーっぱい!!もうね、雨あられ、出て来る度にこれでもかと喋り倒す役!!

しかし、これくらいの逆境は、何度も味わってきました。

やれるさ!!!

何もかも切り捨てて、徹夜しまくれば覚えるのは不可能ではありません。

しかぁーし!!

この花形という役、先程も言った通り"片手片脚"なのです!!

具体的に言いますと、義足です!!
左脚をぎっちり折りたたんで金具で留め、義足をつけて歩くのですが、これがもうね!本当に!死ぬほど痛い!
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↑こういう感じです。


日々を五体満足で過ごしていることを奇跡と感じる程に辛いのです。

義足をつけているだけで、RPGの毒の沼にいるように徐々に体力を削られていくのです。

その状態で長ゼリフを言うと、即酸欠状態になります。真冬の公演にも関わらず脂汗がとまりません。

よいこは絶対真似しちゃダメです。




そして、2幕序盤でその義足すら奪われます。



そこから20分間、シンプルに片足立ちです。


いま読んで下さってる皆様、片足でこのブログを読んでみてください。
ただ片足で立つだけでも、とっても辛いのがわかると思います、できれば全力で大声で音読してみてください。たぶんすぐにバランスが崩れます。


さぁ地獄の片足シーンがやってきました。

この状態で花形、飛びます、何度も。

そして義足を取り返し、台詞を言いながらゆっくりと立ち上がります。


思い出してください、花形は『片手』です。
右手は使えません。

左手には取り返した義足を持っています。

つまりどこにも掴まるこができないのです。



この時、すでに片脚のまま10分以上経過しています。
限界を3回くらい超えた先にこの"ゆっくり立つ"という苦行が待ってるわけです。

しかも、絶対にふらついてはいけないシーンです。

あの時みた景色は一生忘れないと思います。
視界は曇り、脚は震え、肺は破れそう、自分の心拍が耳の奥で鳴りまくる。
本当に凄まじい景色でした。



でもまだ終わりじゃありません。

2幕ラストのシーン。

演出の中野さんの稽古中の一言



『丸ちゃん、最後この台に乗って台詞言える?』



三途の川の鬼と話してるのかと疑うほどの無慈悲な一言!!



さすがに即答しました。

『やれます』


限界の限界の限界の限界を超えた先に、さらに地獄が待っていました。

乗る台は、舞台の後ろ側、乗った後に前を向いて台詞を言わなければなりません、使える時間はおよそ2秒、セットの都合上掴める場所が側面のみ、しかもこちとら片手片脚、左手には拳銃を持っているので、実質使えるのは右脚のみ!!


さぁどうするべきか。


答えは1つ、回転しながら飛ぶ。です。

回転しながら飛んで、右腕をくの字に固定してセットの側面に引っ掛け右足のみで着地してバランスをとる。
これしかありませんでした。

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↑こういう感じです。


この後もしんどい2幕ラストの最後のシーンがあるのですが、説明するのが難しいので省きます。

義足でたくさん歩くって感じですかね?





僕は思うのですが、演出家は役者がそれをできるかどうかとかは考えないほうがいいです、たぶん。

やれ!といえば役者はやりますから、なんとしてもやりますから。

最終的にこの回転ジャンプ、余裕でできるようになりました。
初日は酸欠で倒れそうだったこの役も、千秋楽にはある程度余裕が残った状態で2幕を終えられました。

毎回、とても越えられないような壁を用意してくれる中野さんには本当に感謝しています。

できなかったことができるようになって、初めて役者は成長すると思います。"できないこと"を見つけるのが至上命題です。
2018年、一月一日、『やばい!これ絶対無理だぁ!!』という絶望から始まった作品でしたが、終わってみると本当にとんでもないものを得た作品でした。
これも、中野さんをはじめ、唐ゼミの皆様、スタッフの皆様、そして唐さんの戯曲のおかげです。

復帰戦とは思えない凄まじい芝居を魅せた椎野さん、益々上手く、力強くなっていく熊野くん、一撃で全てを支配する禿さん、あらゆるジャンルを網羅する中野さんの演出と、書きたいことは山ほどありますが、今日はこのへんで。




そして、明日からも人形の家NTD、がんばります!!

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