1990年代のインターネットの普及が

もたらした世界規模の大変化、

情報のデジタル化そして、

4th Wave(第4波)グローバル化。

 

そして、その変化による新しいコミュニケーションスタイルと、

ビジネスにおける機会とリスク。

 

このいった課題は、

去年の7月に僕が行った+Value プロジェクトのセミナー、

「+VALUE(プラス・バリュー)セミナー(第1回)~ポストコロナを戦うための新戦略~」にて、

細かく紹介させていただいた。

CNET Japan等複数のメディアにもピックアップして頂いた。

 

100年寿命と言われる今は、

複数の世代を渡って、

複数の媒体を通して、

様々な経験や価値観を持った幅広い世代の人々が、

公私ともに交流・協力することは当たり前になってきた。

 

ある意味、今世界が目指すSGDsの一つ、

目標10「不平等をなくそう」を実現させるための基盤ができているといえるほどかもしれない。

情報と知識における不平等が、貧困・飢え・差別など、

様々な社会問題の原点だともいえるからだ。

 

ちなみに、2021の12月に行った+VALUEセミナーの第2回では、

SDGsがどのように我々の生活や将来に影響を与えるか、

というトピックスをカバーした。

 

 

このSDGsの目標でも目指しているように、

インターネット普及、データのデジタル化、

そして、グローバル化が可能にしているように、

社会は、人が立場や世代を渡ってやり取りできる時代に突入している。

 

インターネットとデジタル化による、情報への平等なアクセス。

 

同時に懸念しなければならないことはあると思う。

アクセスによる情報の取得。

確かに、それによってものを知る機会は平等にある。

知識を得ることは誰でも許されている。

 

知恵とは

 物事の道理を判断し処理していく心の働き。

 

 

「知る」だけはすべてではない。

情報を正確として効率的に使う知恵の大切さを訴える必要もある。

 

これに気付かさせるエピソードがパン作りにあった。

 

今や誰もが使うYouTube。

本当に素晴らしいクリエイターが多くて、

テレビに遜色ないクオリティとエンターテインメント性のあるコンテンツが、

見たいときに、探したいものが直ぐに見つかる、

素晴らしい配信プラットフォームのひとつだ。

 

料理においても、綺麗な画質で、

丁寧にレシピや手法を教えてくれる動画もたくさんある。

 

長男がそういった動画の一つを見て、

少し難易度の高いイタリアンの揚げパン、「フリッテッレ」に挑んでいた。

 

息子はこの時代がもたらしてくれる情報へのアクセスをうまく利用して、

様々な分野において、自分の料理の腕を磨いている。

時には父親に挑戦的な態度で「味見してみ」と言いに来るほどだ。

 

そんな息子がのパン作りの始めに、

僕は息子が冷蔵庫から出したドライイーストの扱い方について、

「そのイーストの戻し方だけど。。。」と、一言教えてあげようとすると、

 

息子が、

「大丈夫、YouTubeにレシピがある。」

 

とあっさり立ち入り禁止扱いをされてしまった。

 

まさにレシピという知識がスマフォのおかげで手元にあるし、

よそからの関与は不要だ、と言われる瞬間だった。

 

「そうですか」と、少しやるせない気持ちで、

ホームオフィスに戻る僕に、
「Siri、タイマー2時間設定して。

了解しました。2時間のタイマーを設定します。」と、

余裕のある会話が流れてきた。

 

 

今日の翻訳案件は、メーカー様の社長あいさつ。

事業を取り巻く環境と会社の姿勢を、

投資家・株主・お客様に伝える大切な道具の一つだ。

 

Siriのタイマーに合わせて作業をしていたかのように、

納品が終わったタイミングとほぼ同時に、

息子がオフィスに現れ、僕に聞く。

 

「これは、どうしたら膨らむの?」

 

「それはな」と、

「ドライイーストには戻し方というのがある。

それを説明しようとしていたけどな。」

 

別に、僕はこの展開を待っていたわけではないが、

まあ、知恵を共有する機会が回ってきたという気持ちはあった。

 

水の温度とか、熱湯で温めたタオルとか、

外気温だとか。

 

直ぐに手に入る知識に、

経験や失敗の回数から得る知恵の大切さを

息子にアピールする機会となった。

 

ごく当たり前のことかもしれないが、

情報が直ぐに手に入る時代、

リモートが対面を、共有が伝達を

置き換えつつあるこの時代に。

 

改めて知恵と知識の差を認識する大切さを

考えさせられるエピソードだった。

 

日々こなしている仕事の案件からだけ言えば、

様々職場でも、同じようなエピソードが起きているだろう。

 

知識の取得だけでは、専門家と言えないし言われない。

SDGsの趣旨が実現となれば、世の中には、

ますます、知識を持った社会への成長が続く。

 

ただ、同時にすべての世代が持つ知恵をも、

それに対する受け入れと共有するマインドもないと、

不平等を無くすどころか、

むしろますます格差社会へと発展しかねない。