Snow white ~さよなら 先生

はじめまして 日記という形で、香川先生との出逢いから別れの3年半を回想させていただきます。 


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4月のある日曜の夕方

私は 父の車の助手席に座って

流れる景色を ぼ~っと眺めていました。

単身赴任先の大阪に戻る 父に便乗して

私も 自分がひとりで生活をするマンションに戻るのでした。



「カナ 初めてのアルバイトはどうやった?

働いて お金を稼ぐことの大変さはわかったろう?」

父の言うとおりで お金を稼ぐことの大変さや

自分のする仕事の責任の大きさ

間違えたり 失敗した時に人に迷惑をかけることの大変さ

どれもこれも 自分が働いてみて

初めて 本当にわかったような気がしたのでした。

「うん 1000円稼ぐんでも大変なのがわかったぁ

じゃから パパが働いてくれてるんも

ありがたいって やっと本当に分かった気がするん。」


父がハンドルを握りながら 笑いました。

「そうか やっと分かったんか~

それやったら アルバイトさせた甲斐はあった訳やな

バイト代はどうするんや

ママに訊いたら 貰ったままで全然使ってないらしいな。」

そうなのでした。

両親に何か買おうかと思ったのですが

母に 大阪で何に必要になるか分からないから

そのまま預金口座にでも入れておきなさい

そう言われたのでした。

「うん 本当は何か買おうと思ったん

パパとママに・・・」


「そんなん 気持ちだけで充分うれしいよ

無駄遣いせんようにして 取っておきなさい。」

父も 母と同じようなことを話します。

「うん そしたらそうする・・・」

私がうなずくと

「そうや 篤史くんにはなんもせんのか?」

父が 鋭いところをついてきました。

本当言うと 全然使っていないというのは嘘で

先生の為にだけは 少しだけ買い物をしたのでした。

職場でも着ることのできる 綿シャツを一枚と

先生が愛してやまない エビスビールを12缶

先生の部屋に置いてきました。

今日の午後 この車に乗る少し前に

自転車で 先生のマンションへひとっ走りしたのです。

駐車場にはセリカの姿はなく あるじ不在の部屋でしたが

私は合い鍵で中に入り キッチンの机の上にシャツの入った袋を

ビールは 冷蔵庫の中に入れて

ざっと 部屋を見渡していました。

散らかっているようなら 簡単に片付けしておこうか

そう思ったのでした。

忙しい日々を送っているせいでしょう 

部屋は それなりに散らかっていましたが

それなりに 物は系統立てて置かれていました。

ゴミは相変わらずでしたが

それ以外の 本などは

真面目な書籍と エッチ系のグラビア雑誌が

ハッキリ分けられているのに笑ってしまいました。

「本当に エッチじゃなあ・・・」

男の人は みんなこういう雑誌が好きなのでしょうか

私は そばにあったペンと付箋を見つけて

広げられた雑誌の写真の 乳房の部分に

付箋を貼り付けました。

「あっちゃんはこういう人好き?

うちよりも好き?」


そのあと 女性の顔にちゃちゃっと猫のヒゲを書いて 

そのまま放置して帰ってきました。



その日の夜 9時前ぐらいには

私は 自分の部屋に戻ってきていました。

夜遅いので もう掃除機をかけるのも迷惑なため

箒でざざっと埃などを掃いて 簡単に雑巾掛けだけをして

お風呂を掃除したあと お湯をはりました。

掃除の途中 洗面コーナーの隅に 

先生のひげ剃りが落ちているのに気づきました。

前にうちに来たときに 持ってくるのを忘れて

近くのドラッグストアで買ってきたものかもしれません。

刃が替えられるタイプなので

くり返し使えそうです。

水洗いしたあと タオルで拭いていたら

なんとも言えない愛おしさがこみ上げてきました。

「あっちゃん・・・  篤史

香川先生   あっちゃん  篤史・・・」


何度も ひとりで先生のことを呼んでみました。

いっぱい いっぱい先生のことが頭に浮かんできました。

スーツ姿のキリッとした先生が 髪をかきあげるところ

紺のシャツをラフに着こなした オフの日の先生

家でスウェットを着て ごろんと横になる先生

そのスウェットすら脱いで 

そのたくましい胸を 隠すことなく出して

私のからだを 強く抱きしめる先生

春休みには 色々な想い出ができました。

一緒に 旅行にも行ったし

先生の部屋に泊まったりもしました。

先生のクラスの男の子と3人で お夕飯を食べたことも

とても図々しいのだけれど

まるで 先生と結婚して一緒に住むうちで

教え子に食事を振る舞っているような

そんな気持ちになったのでした。

(玄関先で 私が先生に抱きついたところを

見事に目撃されてしまいましたが

彼は あれからも他の子達に黙ってくれているようでした)



そんなことを考えていたら

携帯電話から着信音が聞こえてきました。

これは メールではなく通話の着信です。

画面には 先生の名前が表されています。

「はいっ カナですっ!」

妙に丁寧な言葉遣いに 先生はくすくす笑いながら

「あはは・・・   カナ どうしたん?

もう 部屋に着いたんか?」


さっきの私の声が 可笑しくてたまらないようです。

「意地悪 そんなに笑わんで

9時前ぐらいにこっちに着いたん

ささっと部屋の床を掃いて お風呂のお湯を入れたところ

・・・あっちゃんは 今帰って来たん?」


私が訊くと 外での食事を済ませて帰ってきたところだそうです。

「今日も 忙しかったんじゃね

夜ご飯は 何を食べたん?」


「今日はなぁ 肉うどんといなり寿司3個

最近 あんまりごっついもん 食いたいと思わんのや。」


からだにはいいことなのですが 先生にしては珍しいことです。

「どうしたん どっか具合悪いん?」

心配になって尋ねると そうではないと言います。

「でも あっちゃんが濃ゆいもの欲しがらんなんて

どっか 悪ぅなかったらええんじゃけど・・・」

忙しい毎日を過ごしているから 少し疲れているのかもしれません。

「大丈夫やって 俺そんなにヤワにできてないし

そうそう 机の上の黄色いシャツ

あれは・・・ カナが置いてくれたんか?」


先生は いつも白か青系のシャツが多いから

少し春らしい 薄黄色のものを選んだのでした。

「うん  アルバイトのお金で買ったん

でも 全然高い物じゃないんよ

普通にスーパーで売っとる 普通のシャツじゃ

あっちゃんに 似合うかなぁ思って・・・」


「ありがとう 気ぃつかわせて悪いな

それとな 冷蔵庫のビールがやけに増えてるんは

あれは・・・   気のせいか?」


今度は 私が笑い出す番でした。

「気のせいじゃないよ うちが補充したんよ

帰ってきて エビスがいっぱい冷えとったら

あっちゃん うれしいじゃろうと思って・・・

でも 飲み過ぎは絶対にダメじゃ

あれは 一日1本って決まっとるんよ。」


そう言うと 先生も笑い出しました。

「そうやな  俺の腹がビール腹になったら

カナに嫌がられるからなぁ

カナが見とれるぐらいの締まったからだを 維持しとかんとなぁ。」


私が時々 先生のハダカに見とれていることは

すっかり本人に お見通しなのでした。

「んもうっ!」

恥ずかしさを隠すために 怒ったふりをする私でした。

「照れるなよ ええやないか

あっ そうそう 

カナ 雑誌のお姉ちゃんにドラえもんのヒゲつけたろう?」


「雑誌の・・・  お姉ちゃん?」

「あれや 俺の部屋にあった雑誌のグラビア

おっぱいんとこに付箋まで貼って ヒゲつけて

あれには長い間笑わしてもろたで・・・」


先生が 思い出し笑いをはじめました。

「笑うやなんて・・・

うち 面白うないんじゃもん

他の人のからだに 興味持って欲しぃないんじゃもん。」


笑われたのでは なんだか少し癪にさわります。

生身の人間に興味を持つのとは 別個のものと分かってはいても

やっぱり あまりいい気はしないと思う私は

とても嫉妬深いのかもしれません。

「カナ・・・

カナのこと 笑ったりして悪かったな

俺は どスケベやから 時々ああいうのを見とうなるんや

カナのこととは ほんま次元が違うんやけど

帰りに コンビニとか寄り道した時につい ・・・ゴメン。」


ムッとして ちょっと文句のようなことを言ってしまったけれど

先生だって 健康な男の人だから

そういう雑誌に興味を持つのは ごく自然なことでした。

謝ってもらうのも 何だか違うような気がしました。

「・・・そんなん 謝らんでもええから

男の人は みんなエッチじゃもん

おっきい胸見て 興奮するんは仕方ないんよね。」


「カナ・・・」

「雑誌と生身の人は別じゃのに うちはいつまでたっても・・・

ダメじゃね こんなんじゃ

うちのからだより きれいな人ばっかりじゃから

いつまでたっても・・・」

「カナ 聞いて

うちより好きかって カナは付箋に書いてあったけど

そんなん おるわけがないよ

一番好きなんが ダントツでカナやし

俺には 二番目も 三番目もおれへん

カナの優しい気持ち  家族とか他人に優しいできるとこ

全部引っくるめて 俺はカナのことが大好きなんや。」


電話越しとは言え 先生のストレートな物言いに

私の胸は ドキドキ鳴りはじめていました。

「あっちゃん・・・」

先生のくれる言葉が うれしくてたまらなくて 

涙がこみあげそうになっていました。

「カナがおってくれるから 俺はがんばれるんや

つらかったとき 問題が起きたとき

いっつも カナが俺のこと励ましてくれた

この前 俺 めちゃくちゃうれしかったんやで・・・」


先生の部屋で 最後に逢った日のことだと思います。

「なぁ カナ

今日も 励ましてもろてええか?」


先生は 何も言わないけれど

初めての大役で 

今日もプレッシャーを感じているのかもしれません。

「じゃあ 耳をしっかり澄ませて聞いて・・・」

「うん。」

「・・・大役 大変じゃろうけどがんばって

うちは いつだってあっちゃんのこと応援してるから

大丈夫じゃ あっちゃんはええ先生じゃもん。」


「・・・うん。」

「あっちゃん がんばって

うちの大好きな  香川先生はええ先生じゃ

他の先生に なんか言われたって気にせんでええよ

今度逢ったときに またナデナデしてあげるから

が~んばれっ!!」


先生がしばらく黙っていたと思ったら 突然大声をあげました。

「俺 今月の末にはそっち行くわ

決めた どんなに忙しぃても 絶対行くぞ。」


やたら元気になってきた 先生の声なのでした。




愛しいひと 愛しいあなた

がんばって  私の愛しいあなた

そんな気持ちでいっぱい

時計の針は もう11時近くになろうとしていました。

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