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トピックⅠ 従業員を心の病から守る
会社のメンタルヘルスケアの取り組み ①
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仕事のストレス、長時間労働によって過重な負荷がかかり、
従業員が脳・心臓疾患や精神障害 等を発症し、
労災保険を請求するケースが近年増加しています。
平成25年度の精神障害等の労災保険請求件数は1,409 件で、
前年より152件の増加となり、過去最多を記録しました。
(支給決定件数は436 件)
厚生労働省
平成25年度『脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況』を公表
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000049293.html
現代社会の中で、
IT化による職場環境の変化・
終身雇用制の崩壊・
成果主義の拡大の雇用不安・
企業の経費削減・効率化による
従業員一人にかかる責任や業務量の増加 などから、
仕事に対して大きなストレスを感じることが
多くなっていると言われています。
従業員の「心の病」、つまりメンタルヘルス問題は、
会社経営を揺るがしかねない大きなリスクです。
従業員がうつ病を患い突然休職・退職するとなると、
業務の滞り・職場の士気の低下・
新たな求人による人件費等が発生します。
また、従業員の心の病の原因が仕事にあった場合、
法的責任を問われて裁判に発展してしまう等、
金銭面だけでなく社会的なイメージダウンにもつながり、
会社にとって大変な損害を被るリスクがあります。
このようなリスクを回避するためにも、前もって
①心の病を引き起こさないようにする組織、職場環境作り
②心の病の早期発見
③休職に行った場合の対応(休職制度を導入している場合)
④病気を再発させないような職場復帰支援
⑤退職に至った場合の対応
を考えること、制度を整えることが大変重要となってきます。
平成27年から
従業員に対してストレスチェックの実施をすることを
義務付ける法案が既に決まっていますが、
職場のメンタルヘルス対策は
その他にどのような取り組みができるでしょうか。
今号では、
従業員が職場で心の病を発症することの
予防や早期発見をするにはどのような対応をすればいいのか
について考えてみましょう。
■『ストレスチェック制度』の創設
平成27年労働安全衛生法の改正施行
※労働者数50人未満の事業場は当分の間 努力義務です。
①常時使用する労働者に対して、医師・保健師等による
心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)が
会社の義務となります。
②検査結果は、検査を実施した医師・保健師等から
直接本人に通知され、
本人の同意なく会社に提供することは禁止されます。
③検査の結果、
一定の要件に該当する労働者からの申出があった場合、
医師による面接指導を実施することが会社の義務となります。
また、申出を理由とする不利益な取り扱いは禁止されます。
④面接指導の結果に基づき、医師の意見を聞き、
必要に応じて就業上の措置を講じることが義務となります。
※就業上の措置とは、労働者の実情を考慮し、
就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・
深夜業の回数の減少等の措置を行うこと。
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厚生労働省
「労働安全衛生法が改正されました」
~労働災害を未然防止するための仕組みを充実します~
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000049191.html
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■メンタルヘルスケア対策の進め方
厚生労働省は、平成18年に
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」 を策定しています。
その中で会社が取り組むべき対策を挙げています。
(1)『心の健康づくり(メンタルヘルスケア)計画』を立てる
中長期的視野のもと、
作成・推進に当たっては従業員の意見を聴きつつ
会社の実態に即したものであることが重要です。
また、衛生委員会が設置されている会社であれば、
そこで十分調査審議することが必要です。
【計画に盛込む内容】
①会社がメンタルヘルスケアに積極的に推進する旨のに関すること
②会社におけるメンタルヘルスケア体制の整備に関すること
③会社における問題点の把握方法、メンタルヘルスケア実施に関すること
④メンタルヘルスケアを行う為に必要な人材の確保
及び事業場外の専門機関の活用に関すること
⑤従業員の個人情報保護に関すること 等
(2)メンタルヘルスケアの組織作り
組織を構成するのは次の4者であり、
それぞれの役割に応じたケアの方法があります(『4つのケア』)。
①従業員本人によるセルフケア
ストレスへの気づき・対処、
メンタルヘルスの正しい理解
②管理監督者によるケア
職場環境の把握と改善・部下からの相談応対
③社内産業保健スタッフ等によるケア
(産業医・衛生管理者・保健師・
人事労務管理スタッフ・メンタルヘルス推進担当者)
従業員や管理監督者の支援、具体的なメンタルヘルスケアの企画・実施
④社外の専門機関によるケア
情報提供・助言 等
『4つのケア』を効果的に運用するには、
それぞれの役割・意義を理解し、連携して
継続的かつ計画的に行われることが重要です。
『4つのケア』が円滑に実施されるためには、
会社が環境を整備する必要があります。
環境整備の具体例:
・相談体制 ・教育・研修・情報提供 ・ストレス対策
・マニュアルの策定・周知 ・プライバシー保護 等
(3)メンタルヘルスケアへの具体的取組み
(2)にて既述のとおり、
具体的な取り組みに当たっては
社内外の関係者が相互に連携して推進することが効果的です。
①職場環境に起因するストレス要因の把握と対策
作業環境、作業方法、労働時間、
業務量と質、人間関係(ハラスメントを含む) 等を
把握・改善していく
②教育研修・情報提供
従業員、管理監督者、産業保健スタッフに対してそれぞれ行う
③健康診断・健康増進におけるストレス対策
健康診断・ストレスチェックなどの機会を活用して
労働者のストレスを把握する工夫をする
④相談体制を確立し運用する
相談体制を周知しておく
外部の専門機関との連絡方法をあらかじめ確認しておく
⑤休職者が発生した場合の職場復帰支援
心の病により休職した従業員が円滑に職場復帰し、
再発しないようルールを策定する
(次号にてご紹介します)
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独立行政法人 労働者健康福祉機構
『職場における心の健康づくり』
平成18年「労働者の心の健康の保持増進のための指針」より
http://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/supporter/files/H23_mental_health_relax.pdf
厚生労働省
『こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
~心の健康確保と自殺や過労死などの予防~』
http://kokoro.mhlw.go.jp/employer/
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最も重要なことは、
会社のトップがメンタルヘルスケアの
必要性を十分に理解していることです。
その上で、従業員一人一人が
メンタルヘルス問題に日頃から関心を持ち、
自分や周囲の同僚の心の健康に気を配る
環境を作り上げることが重要となりますね。
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