◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
  トピックⅠ 従業員を心の病から守る
         会社のメンタルヘルスケアの取り組み ①
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


仕事のストレス、長時間労働によって過重な負荷がかかり、
従業員が脳・心臓疾患や精神障害 等を発症し、
労災保険を請求するケースが近年増加しています。


平成25年度の精神障害等の労災保険請求件数は1,409 件で、
前年より152件の増加となり、過去最多を記録しました。
(支給決定件数は436 件)


厚生労働省
平成25年度『脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況』を公表 
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000049293.html



現代社会の中で、
IT化による職場環境の変化・
終身雇用制の崩壊・
成果主義の拡大の雇用不安・
企業の経費削減・効率化による
従業員一人にかかる責任や業務量の増加 などから、
仕事に対して大きなストレスを感じることが
多くなっていると言われています。



従業員の「心の病」、つまりメンタルヘルス問題は、
会社経営を揺るがしかねない大きなリスクです。


従業員がうつ病を患い突然休職・退職するとなると、
業務の滞り・職場の士気の低下・
新たな求人による人件費等が発生します。


また、従業員の心の病の原因が仕事にあった場合、
法的責任を問われて裁判に発展してしまう等、
金銭面だけでなく社会的なイメージダウンにもつながり、
会社にとって大変な損害を被るリスクがあります。



このようなリスクを回避するためにも、前もって

①心の病を引き起こさないようにする組織、職場環境作り
②心の病の早期発見
③休職に行った場合の対応(休職制度を導入している場合)
④病気を再発させないような職場復帰支援
⑤退職に至った場合の対応

を考えること、制度を整えることが大変重要となってきます。



平成27年から
従業員に対してストレスチェックの実施をすることを
義務付ける法案が既に決まっていますが、
職場のメンタルヘルス対策は
その他にどのような取り組みができるでしょうか。

今号では、
従業員が職場で心の病を発症することの
予防や早期発見をするにはどのような対応をすればいいのか
について考えてみましょう。



■『ストレスチェック制度』の創設

平成27年労働安全衛生法の改正施行 

      ※労働者数50人未満の事業場は当分の間 努力義務です。


①常時使用する労働者に対して、医師・保健師等による
 心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)が
 会社の義務となります。


②検査結果は、検査を実施した医師・保健師等から
 直接本人に通知され、
 本人の同意なく会社に提供することは禁止されます。


③検査の結果、
 一定の要件に該当する労働者からの申出があった場合、
 医師による面接指導を実施することが会社の義務となります。
 また、申出を理由とする不利益な取り扱いは禁止されます。


④面接指導の結果に基づき、医師の意見を聞き、
 必要に応じて就業上の措置を講じることが義務となります。
   ※就業上の措置とは、労働者の実情を考慮し、
     就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・
     深夜業の回数の減少等の措置を行うこと。


-----------------------------------------------------

厚生労働省
「労働安全衛生法が改正されました」
~労働災害を未然防止するための仕組みを充実します~
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000049191.html

-----------------------------------------------------



■メンタルヘルスケア対策の進め方


厚生労働省は、平成18年に
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」 を策定しています。
その中で会社が取り組むべき対策を挙げています。


(1)『心の健康づくり(メンタルヘルスケア)計画』を立てる


中長期的視野のもと、
作成・推進に当たっては従業員の意見を聴きつつ
会社の実態に即したものであることが重要です。
また、衛生委員会が設置されている会社であれば、
そこで十分調査審議することが必要です。


【計画に盛込む内容】
①会社がメンタルヘルスケアに積極的に推進する旨のに関すること
②会社におけるメンタルヘルスケア体制の整備に関すること
③会社における問題点の把握方法、メンタルヘルスケア実施に関すること
④メンタルヘルスケアを行う為に必要な人材の確保
  及び事業場外の専門機関の活用に関すること
⑤従業員の個人情報保護に関すること  等



(2)メンタルヘルスケアの組織作り


組織を構成するのは次の4者であり、
それぞれの役割に応じたケアの方法があります(『4つのケア』)。


①従業員本人によるセルフケア
 ストレスへの気づき・対処、
 メンタルヘルスの正しい理解


②管理監督者によるケア
 職場環境の把握と改善・部下からの相談応対


③社内産業保健スタッフ等によるケア
 (産業医・衛生管理者・保健師・
 人事労務管理スタッフ・メンタルヘルス推進担当者)
 従業員や管理監督者の支援、具体的なメンタルヘルスケアの企画・実施


④社外の専門機関によるケア
 情報提供・助言                      等



『4つのケア』を効果的に運用するには、
それぞれの役割・意義を理解し、連携して
継続的かつ計画的に行われることが重要です。


『4つのケア』が円滑に実施されるためには、
会社が環境を整備する必要があります。


環境整備の具体例:
・相談体制 ・教育・研修・情報提供 ・ストレス対策
・マニュアルの策定・周知 ・プライバシー保護        等



(3)メンタルヘルスケアへの具体的取組み


 (2)にて既述のとおり、
具体的な取り組みに当たっては
社内外の関係者が相互に連携して推進することが効果的です。


①職場環境に起因するストレス要因の把握と対策
 作業環境、作業方法、労働時間、
 業務量と質、人間関係(ハラスメントを含む) 等を
 把握・改善していく


②教育研修・情報提供
 従業員、管理監督者、産業保健スタッフに対してそれぞれ行う


③健康診断・健康増進におけるストレス対策
 健康診断・ストレスチェックなどの機会を活用して
 労働者のストレスを把握する工夫をする


④相談体制を確立し運用する
 相談体制を周知しておく
 外部の専門機関との連絡方法をあらかじめ確認しておく


⑤休職者が発生した場合の職場復帰支援
 心の病により休職した従業員が円滑に職場復帰し、
 再発しないようルールを策定する

(次号にてご紹介します)


-----------------------------------------------------
独立行政法人 労働者健康福祉機構
『職場における心の健康づくり』
平成18年「労働者の心の健康の保持増進のための指針」より
http://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/supporter/files/H23_mental_health_relax.pdf


厚生労働省
『こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
~心の健康確保と自殺や過労死などの予防~』
http://kokoro.mhlw.go.jp/employer/

-----------------------------------------------------


最も重要なことは、
会社のトップがメンタルヘルスケアの
必要性を十分に理解していることです。
その上で、従業員一人一人が
メンタルヘルス問題に日頃から関心を持ち、
自分や周囲の同僚の心の健康に気を配る
環境を作り上げることが重要となりますね。


-----------------------------------------------------