又吉直樹さんの「火花」を読んで… | マツモトアキノリの・・・・「感動した!!!」

又吉直樹さんの「火花」を読んで…

先輩芸人の神谷が、後輩の徳永に話すセリフが好きだ。「漫才とは面白いことを想像できる人のものではなく、偽りの無い純正の姿をあらわすもんやねん!」「聞いたことあるから、自分は知ってるからという理由だけで、その考えを平凡なものとして否定するのってどうなんやろな?」「レベルって何?俺たちは同じ人間やろ?だから間違ってる人間がおったら、それ面白くないでって教えたらな」。言葉はそれを発する人の人間性によって、心に響かない空虚なものにも、心に響く説得力あるものにも変化する。そして神谷の言葉は後者だ。彼の才能に徳永は憧れるが、神谷は全く売れない。だから金もない。バイトはほとんどせず、女性の家に転がり込み、飲み代として毎日お小遣いをもらうような生活。でも神谷は自分に正直に生きている。僕には絶対できない生き方だけれど、神谷の「欲望に正直に生きる」姿を羨ましく思った。2人の軽妙な会話も、この作品の魅力の一つ。「お茶、美味いか?」「はい。タイムマシーンが発明されたら、真っ先にこのお茶を持って千利休に会いに行きます」★「お前の一番好きな食べ物なんや?」「鍋です」「えらい丈夫な歯しとんねんな」「違います。鍋の中身を食べるんです」「鍋の実?鍋のどこ剥いたら実が出てくるの?」 などなど…。僕は芸人ではなく、ラジオDJをやっているが、自分の生活と重ね合わせながら読んだ。そして色々やるべきことを思いついた。とても刺激的でユーモアに富んだ作品。