ほぼシベリア 東北カザフスタンを行く  2024年

20 アルマティ(1)

 

 アルマティⅡ駅にほど近いタハールというホテルで朝を迎えた。このホテルは駅に近い上に、24時間制と言う利点がある。つまり、昨夜23時過ぎにチェックインしたので、1泊であっても今日の23時まで、追加料金などなしで部屋を使えるのである。今夜の飛行機でアルマティを発つから、大変に都合が良い。

 このホテル、以前は地球の歩き方にも乗っていたのだが、2025年の版からは削除されてしまっていた。今どきガイドブックを見てホテルを決める人がいるとも思えないのではあるが、こうした旅行者にとって有用な情報をそぎ落としてしまったガイドブックに何の存在価値があるのだろう。

 

 今日は一日、アルマティの街を気ままに歩くつもりである。気ままにと言っても、いくつか訪れるポイントは決めてある。手始めに、中心街の南部にあるニコリスキー大聖堂を見に行こうと思う。

 

 

 まずはホテルの近くにあるデギルメン(トルコ系のスタローバヤ・チェーン店)で朝食。クロワッサン生地のドーナツやパイ包みで軽く食べるのも何となく都会風だ。

 

 

 地下道をくぐって、アビライ・ハン通りを南下する。爽やかな冬の朝と言いたいところだが、さすがはアルマティだけに車が多いし、排気ガスが臭い上に運転が荒っぽい。歩行者の方も男女を問わず歩行喫煙が多い。他の都市ではタバコを吸う女性をついぞ見かけなかった気がする。

 

 

 

 路上に雪は無く、寒くもない。ただ、バス停の風除板に氷の結晶が貼りついて、樹氷のような模様を形作っていた。

 

 

 歩行者天国になっているジベック・ジョールィ通りを右に曲がり、少し行くとアエラヴァグザールという2階建てのさして大きくもない建物がある。その名のとおり、ここはかつてのシティエアターミナルであって、現在は物販店になっている。

 

 

 

 適当に道を折れ、南に或いは西に進む。時折、ロシア風の瀟洒な建物が残っているのに出くわすことがある。

 

 

 ニコリスキー大聖堂の近くまで来ると、人通りが多くなってきた。かつて大聖堂の裏には、ニコリスキー・バザールという市場があった。今でも建物の裏側に一軒だけ営業している店が残っている。横断幕によれば、この市場、近いうちに復活するようだ。

 

 

 

 

 

 ニコリスキー大聖堂はピーコック・グリーンの外観がいかにもロシア正教の寺院らしく、晴れ上がった空の下に金のドーム屋根が輝いていた。

 本堂の右手にある礼拝堂には「聖なる水」という札がかかっている。中を覗くと二人の婆さまがいて、テーブルには紅茶などを飲む取っ手付きのグラスに満たされた水が並んでいた。あまり有難みがない感じだが、これが聖なる水なのだろう。

 

 

 本堂の前には、右手に剣、左手に教会堂を手にした聖人像が建っている。聖ニコライ像のはずだが、サンタクロースのイメージとは随分とかけ離れている。

 

 

 

 

 

 

 

 本堂に入る。さすがに装飾がきらびやかだ。正教会はこうでなくては気分が出ない。

 

 

 柱のひとつには、聖人アギオス・ディミトリオスの肖像を刺繍したペナントが掛かっていた。眼鏡をかけた秀才タイプである。一途な表情で、興福寺の阿修羅像に通じるものを感じる。

 

 

 

 

 

 教会を出てあたりをぶらつく。アバイ大通りの北側は、意外にも古びた建物が多く見られる。カザフスタイルの模様を壁に配したり、イスラム風の尖頭アーチや窓枠をつけたりしているのが特徴的だ。

 韓国・朝鮮系の人も多く住んでいるのか、コンビニエンスストアのCUや韓国料理店が目立つ。ビニール袋に詰めたキムチを店先に並べた個人商店もあった。

 通りを行き交う人の中にはインド人も多い。彼らは用心深いのか、未だにほとんどがマスクをしているので、異様な感じを受ける。 

 

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