コーンウォールの夏休み 2012年

5 コヴェラック村のお散歩(1)  

 

 

 このコテージは東向きに建てられているので、午前中は正面に陽が当たる。玄関脇のベンチに座って海風に吹かれながら通りを眺める。

 

 

 気持ちがいいのは適度な気温と湿度もさることながら、小さいながらも斜面の前庭があって敷地にゆとりがあること、安っぽい材質の建物や看板が見えないこともあげられるだろう。この規模の村になると電柱、電線はあるのだが、電柱は木製で高さもさほどないし、電線も太いのが1本渡されているだけで変圧器らしきものもごく控えめなのが付いているだけだから景観を損ねることもない。

 

 

 

 ベンチに座っていると棟続きの隣家から美味しそうな匂いが漂ってくる。それに、さっきから地元民らしき家族連れや老夫婦が何組も出入りしている。やがて家の前に小さな看板が置かれた。ここは個人でやっている焼菓子のテイクアウェイ専門店なのだった。ケーキの予定を尋ねると、今日(土曜日)は、レモン・ドリズル、日曜日は休みで月曜日にはキャロットケーキを焼くそうだ。

 

 

 この家の前にはテーブルがひとつ置かれていて、そこにはいつもカモメが1羽とまっている。いつ見ても、必ずとまっている。

 

 

 同行者が「潮が引いてるから砂浜に行こう」と呼びに来る。コテージを出て左手に歩いてゆくと、海べりの擁壁上から階段がいくつか伸びていて、砂浜に降りられる。

 

 

 

 ボールランチャーを使って犬を遊ばせている人がいる。犬はボールが飛んでくるのを波打ち際に「伏せ」の姿勢で待ち構えていて、見事に加えては主人のところへ得意げに持ってゆく。

 

 

 

 岩場では女の子が写生をしている。全面の海にも岸辺にもテトラポッドなど見当たらないから写生のしがいもあるというものだ。海藻が色鮮やかにこびりついた岩に砂の流れも相まって、枯山水の庭を見るかのようだ。

 

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