この橋の途中にある突き出た円いテラスのベンチで、これまで一体何人の恋人達が熱い抱擁を交わしたのだろう?
愛する事は、永遠ではないかもしれない。
だが、愛する者達はセーヌの流れのように、絶える事はない。
パリを、南北に分けて流れるセーヌ川。
セーヌの南側のエリアを左岸、北側のエリアを右岸と呼ぶ。
世界遺産になっているこのセーヌの河岸には、その左岸と右岸を結ぶ、大小合わせて37もの橋が架けられている。
パリの中心部に架かる、美しいアーチ状の石造りの橋がポンヌフ。
フランス語でポンとは"橋"、ヌフとは"新しい"。
ポンヌフとは、"新しい橋"という意味である。
このポンヌフが出来たのは、今から416年前の1604年。
このポンヌフ以前に造られた橋は全て木造りであったため、今ではこのポンヌフはその名とはまるで反対に、セーヌで最も古い橋になってしまった。
ところで、今では石造りの橋は当たり前ですが、その頃は高度な技術と莫大な資金が必要でした。
そこで当時のフランス国王が思い付いたのは、ワインに税金をかける事。
つまり、このポンヌフはワインにかけられたパリ市民の税金で造られたのです。
この橋が出来た当時、橋の上では露天商が店を広げ、橋の下では無名の画家達が個展を開いたといいます。
ここから見えるエッフェル塔の夕焼けは、絶景の一つ。
若い男女が恋に酔いしれるのは、この橋がワインで造られたせいかもしれません。
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