最近は、お天気が悪いからといっては外に出ず、晴れたら今度は暑いといっては外に出ず、テレビばかりを観ています。そんなテレビ漬けの毎日で、気になるのはやっぱりドラマの車。

 

前回、

 

現在放送中の連続ドラマに登場する車が、妙に混在していると書きました。

 

そうした事情とは異なり、予め高視聴率が期待出来る週末ドラマでは、自動車メーカーが必ずスポンサーに付き、ドラマ内に頻繁に登場します。

 

 

現在放送中の KBS2 週末ドラマ、「世界で一番可愛い私の娘 (세상에서 제일 예쁜 내 딸)」では、国内メーカー首位の「ヒュンダイ (現代 HYUNDAI)」が、製作支援(제작지원)として名を連ねます。

(’19/03/23~09/22 54×2回予定)

 

韓国ドラマのスポンサー事情はとても複雑ですが、概ね3段階に分かれるようです。

 

まず、エンドクレジットに企業名が単独表示される、メインスポンサーが10社くらい(製品提供+製作費支援が基本らしい)。

 

次に企業名がまとめて表示される、セカンドスポンサーが10数社(多数・複数の製品提供)。

 

そして衣装、小道具、什器、備品等々特定の製品提供をするサードスポンサーが数10社。

 

今回のヒュンダイは単独表示のメインスポンサーなので、かなり力が入っているようです。

(自動車は元々露出度が高いので、セカンドスポンサーの場合が多い)

 

 

ヒュンダイに力が入っていると思えるポイント、その1。

御曹司である事を隠して入社した主要登場人物、ハン・テジュ(ホン・ジョンヒョン)の車。

ヒュンダイの主力車種、「ソナタ (Sonata)」なのですが…

 

このソナタが従来型ではなく、2019年3月上旬にディテールを公表、3月下旬に販売を開始したばかりの最新型。販売開始直後の放送で、実質上のメディア初登場を狙いました。
(実際は、事前に業界内情報が洩れてしまったようです。)
また、このシーンの撮影時期はおそらく公表前。相当に気を使っただろうと思われます。

 

 

力が入っていると思えるポイント、その2。

三女、カン・ミヘ(キム・ハギョン)の元彼? パン・ジェボム(ナム・テブ)の車が、全く新しいモデルとして昨年12月に販売を開始した、大型 SUV の「パリセード (Palisade)」。

 

新型ソナタとパリセード。最新型のプロモーション効果を最大限狙ったようです。

 

 

力が入っていると思えるポイント、その3。

主要登場人物、キム・ウジン編集長(キ・テヨン)の車が、生産台数が少なく、ドラマでは余り見掛けないホットモデル、「ヴェロスター (Veloster)」。

 

関係ありませんが、ヒュンダイはモータースポーツ、WRC(世界ラリー選手権)や WTCR(世界ツーリングカー・カップ)等に参加している現行の「i20」や「i30」を、ヴェロスターに変更すると云われていますが、未だ一部投入に留まるようです。

 

解決すべき問題が色々とあるようで、やはりモータースポーツ用車両の開発って難しいのだなあと感じます。

 

そういえば「トヨタ (TOYOTA)」も、類似カテゴリーの「ヤリス/ヴィッツ (Yaris/Vitz)」を、「カローラスポーツ (Corolla Sport)」に変更すると噂されていますが、実車の登場にはまだまだ時間がかかりそうです。

 

いかんいかん。どうも本筋からずれる癖が抜けません。

 

 

本題に戻り、KBS2 の週末ドラマに登場する車は輸入車、中でも「ボルボ (VOLVO)」が多いという印象があります。

なので今作、「世界で一番可愛い私の娘」のヒュンダイが目に留まりました。

 

こんな時には印象ではなく、実際に調べてみましょう。

 

 

2018~19年、前作「たった一人の私の味方 (하나뿐인 내편)」

ヒロイン、キム・ドラン(ユイ)のために義父が購入した、ボルボ・「XC40」。(以前の記事)

 

 

2018年、「一緒に暮らしましょうか (같이 살래요)」

主役、イ・ミヨン(チャン・ミヒ)の愛車として登場したのが、ボルボ・「S90」。

(但し画像は、「たった一人の私の味方」のもの)

 

 

2017~18年、「黄金の私の人生 (황금빛 내 인생)」

主人公、チェ・ドギョン(パク・シフ)」が乗る、「日産・マキシマ (NISSAN Maxima)」。

(以前の記事)

 

ちなみに、ドラマ序盤のドギョンの車は「ベントレー GT (BENTLEY GT)」。

ベントレーが物損事故に遭い、日産・マキシマに買い替える設定でした。

 

 

2017年、「お父さんが変 (아버지가 이상해)」

主要登場人物、チャ・ジョンファン PD (リュ・スヨン)の車が、ボルボ・「V90 Cross Country」。

(但し画像は、「たった一人の私の味方」のもの)

 

 

2016~17年、「月桂樹洋服店の紳士たち (월계수 양복점 신사들)」

長男イ・ドンジン(イ・ドンゴン)の車が、「リンカーン・コンチネンタル (Lincoln Continental)」。

 

リンカーンと親会社の「フォード (FORD)」との関係性が、いまいち把握しきれません。

かつては日本での販売チャンネルが全く異なっていたり、フォードの影響を極力表に出さないように見えるリンカーン。米国系自動車メーカーって複雑です。

 

 

2016年、「子どもが5人 (아이가 다섯)」

主人公の義妹、チャン・ジンジュ(イム・スヒャン)の車が、ボルボ・「V40」。 (以前の記事)

 

 

2015~16年、「お願い、ママ (부탁해요, 엄마)」

ヒロインの援助者カン・フンジェ(イ・サンウ)の車が、韓国 GM の「シボレー・キャプティバ (Chevrolet Captiva)」。

 

現在国内メーカー3位、韓国 GM (GM Korea ≒ シボレー) の成り立ちがこれまた複雑。

 

かつて国内メーカー2位だった「デウ (大宇 DAEWOO)」が、1999~2000年に経営破綻。

元々協力関係にあった「米国 GM (GENERAL MOTORS)」がデウの乗用車部門を引き受け、韓国 GM として再生。現在は主に、シボレーブランドの車を製造販売しています。

 

 

2015年、「青い鳥の輪舞(ロンド) (파랑새의 집)」

一番の成功者チャン・テス会長(チョン・ホジン)の車が、トヨタ・「レクサス・LS (Lexus LS)」。

 

 

2014~15年、「家族なのにどうして (가족끼리 왜 이래)」

長男、チャ・ガンジェ(ユン・パク)が一時期乗った、「フォード・マスタング (FORD Mustang)」。

 

このドラマでは、登場人物が頻繁に車を乗り替えます。

屋外シーンが少ないため、必要登場台数を満たすための方策だと思われます。

他には、フォード・「エクスプローラー (Explorer)」、リンカーン・「MKZ」、「MKC」などが登場しました。

 

 

2014年、「本当に良い時代 (참 좋은 시절)」

主役、カン・ドンソク検事(イ・ソジン)の車が、韓国 GM のシボレー・「マリブ (Malibu)」。

 

2013-14年、「王(ワン)家の家族たち (왕가네 식구들)」は、途中でスポンサーの異動があったのか、詳細がよく分かりませんでした。

 

 

2013年、「最高です、スンシン (李舜臣 최고다 이순신)」
主人公、シン・ジュノ代表(チョ・ジョンソク)が乗るのが、韓国 GM のシボレー系ではない最後の乗用車、「アルフェオン (Alpheon)」。
(但し画像は、「本当に良い時代」のもの。「最高ですスンシン」での色は黒)

 

アルフェオンは、シボレー・「インパラ (Impala)」に後を譲り、2015年に製造中止。
この車はシボレー色が無い事から、スポンサー外の車として、今でもドラマで見かけます。
 

2012-13年、「いとしのソヨン (내 딸 서영이)」
主人公のふたり、カン・ウジェ(イ・サンユン)とイ・ソヨン(イ・ボヨン)が乗る、左「プジョー・3008 (Peugeot 3008)」、右「シトロエン・DS4 (Citroën DS4)」。

 

 

2012年、「棚ぼたのあなた(넝쿨째 굴러온 당신)」
ヒロイン、チャ・ユニ(キム・ナムジュ)の車が、韓国 GM のシボレー・マリブ。
ドラマのヒットにより、それまでは珍しかったこのマルーン色が、一躍大人気になったとか。

 

このドラマは、シボレーブランド総出演という感じで、他にも多くの車種が登場しました。
 
 
2011-12年、「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち (오작교 형제들)」
三男、ファン・テヒ(チュウォン)の車が、国内メーカー二位「キア (起亜 KIA)」の「スポーテージ (Sportage)」。(何故か同型車が登場する’19年の最新ドラマ (前回の記事) 

 

国内メーカー2位のキアは、首位ヒュンダイの傘下にあり、この二社で国内市場の約8割を占める巨大自動車グループです。

 

 

ここまで15作を挙げましたが、改めて結果をまとめてみます。(不明の「王家…」は除外)

 

2019       ヒュンダイ(現代)   「世界で一番可愛い私の娘」
2018-19  ボルボ         「たった一人の私の味方」
2018       ボルボ         「一緒に暮らしましょうか」
2017-18  日産           「黄金の私の人生」
2017       ボルボ         「お父さんが変」
2016-17  フォード/リンカーン  「月桂樹洋服店の紳士たち」
2016       ボルボ         「子どもが5人」
2015-16  韓国 GM /シボレー 「お願い、ママ」
2015       トヨタ/レクサス    「青い鳥の輪舞(ロンド)」
2014-15  フォード/リンカーン  「家族なのにどうして」
2014       韓国 GM /シボレー 「本当に良い時代」
2013       韓国 GM /シボレー 「最高です、スンシン(李舜臣)」
2012-13  プジョー+シトロエン 「いとしのソヨン」
2012       韓国 GM /シボレー 「棚ぼたのあなた」
2011-12  キア(起亜)      「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」

 

さすがにこれ以上前は、資料を上手く探せませんでした。

 

15作のうち、ボルボが4回。

輸入車メーカーとしてはやはり一番でした。

 

同じく4回の、韓国 GM /シボレー。

国内メーカー 3位という位置から認知度を上げる戦略と見えます。

そういえば韓国でテレビを眺めていると、シボレーの CM が頻繁に流れる気がします。

また、流れ的には韓国 GM の枠が、ボルボに異動したような印象を受けます。

 

以前の記事で、「フォードは『冬のソナタ』以降見かけない」とか書いたのに、実は2回も登場していたとは… しかもどちらも観ていた筈。裏取りって大切です(笑)

 

更に、日本勢のトヨタ(レクサス)、日産が1回づつ登場は、やはり健闘でしょうか。

ただ現在の情勢を鑑みると、次に見られるのは相当先となってしまいそうです。

 

ヒュンダイとキアが1回づつ、やはり首位と二位(実質上はどちらも首位)の余裕でしょうか。

とはいえ現在放送中の「世界で一番…」への注力は、何だか潮目みたいなものを感じます。

 

 

追記;

「世界で一番可愛い私の娘」の次、「愛はビューティフル、人生はワンダフル」( 2019 - 20 )にはボルボが再び登場し、記録を更に伸ばしています。

 

追記の追記、

韓国ドラマに登場するボルボについて、再び考察しました。

 

 

余談というか、おまけをひとつ。

 

今まで観てきた韓国ドラマの中で、最もレアだと思った車。

英国製のハンドメイドスポーツカー、「ケータハムセブン (CATERHAM Seven)」。

 

「最高の愛 최고의 사랑 MBC 2011」に登場しました。

 

よく見ると、ちょっと懐かしいタイプの国土交通省の検査標章が貼付してあります。

このドラマの放送が2011年。残念ながら、2年前に車検が切れたようです。

 

どうやら、日本で登録された車体を個別に輸入したようです。

商業ベースでは無いとすると、かなり珍しい存在だと思えます。

 

何処にも珍しいもの好きはいるようで、韓国での販売が無い軽スポーツカー「ホンダ S660」を個人輸入して、公道走行可能にしたマニアが居るらしいと聞いた事があります。

 

日本では、型式認証の無い車を公道走行可能にするのは、相当に手間がかかりますが、向こうではどうなのでしょうか。とまあ、くだらない関心が湧いてしまいます。

 

さてと、つづきはあるのだろうか?