• 28 Jun
    • ……乳癌 切らずに治すとしたら……

      小林麻央さんの件ですが改めて見直してみると最初の癌の疑いから具体的な抗腫瘍治療までに2年弱の空白期間があるようです。初回診療時の方針として、抗癌剤+根治的手術を提示され標準治療を拒否した結果フェイクな代替療法を継続することにつながったと想定されます。みつかった時点で「手術」していれば…という文脈のコメントが多く見受けられます。しかしリンパ節転移があったとなると潜在的に遠隔転移は存在していた可能性が高く、たとえ手術したとしても全身再発のリスクを高めるだけという結果になった恐れもあります。「たられば」話はドラマのタイトルにもなりましたが、もし初回診断時点で有効な非標準治療と引き続く再発予防治療を実施していれば全く違った今があった可能性が否定できません。一般に、標準治療を拒否する患者さんはそれほど稀ではありません。でも明らかに効果が期待できない代替的手段に盲目的に頼ることでせっかくの治療機会を逸してしまうことはとてももったいないことです。適切な局所制御と全身再発予防を体系的に実施すれば手術以上の効果が得られることもありえます。症例1進行乳癌で抗癌剤治療と全摘術を提示され拒否し受診。PET-CT上左乳房原発、腋窩リンパ節転移。全病変IMRT施行。治療前に認めた異常なUptakeは治療後1年後すべて消失。遠隔転移も認めずCR。図1-1 治療前PET-CT左乳房に巨大な腫瘍、腋窩リンパ節転移図1-2 治療1年後PET-CT全病変で異常Uptake消失し新規転移も認めない。症例2広汎なリンパ節転移を認める乳癌、抗癌剤治療を提示され拒否。免疫治療希望しその一環として受診。全病変へIMRT実施後、局所免疫治療施行し、CRとなった。図2-1 治療前PET-CT頸部、左鎖骨上窩、両側腋窩に多発リンパ節転移を認める図2-2 治療3か月後PET-CTすべての異常Uptakeは消失このように、標準治療を拒否してもその代りとなる有効な局所抗腫瘍治療を実施しさらに必要に応じ再発予防に有効と考えられる全身治療を併用することで無再発生存が期待できるのは乳癌に限ったことではありません。症例3子宮内膜癌(体癌)Ⅱ期 手術拒否にて受診。初回、40GyのIMRTを実施。半年後、残存疑われ15GyのIMRTを追加。1年後にCR。軽めのホルモン治療継続し無再発生存。図3-1 治療前PET-CT子宮体部に中等大腫瘍認める周辺のUptakeは膀胱や腸管図3-2 半年後PET-CT子宮体部に僅かに残存Uptake図3-3 一年後PET-CT膀胱に尿のUptakeを認めるのみ病変はすべて消失している

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  • 18 Feb
    • フライデーに記事が載りました

      フライデー2017/03/03号に角盈男さんの記事が載っています。著名人のがん体験を取り上る不定期の企画です。これまでに膀胱がんや腎がんの手術を受けたスポーツ選手の話が載ったそうです。今回の話は前立腺がんを宣告された角さんが最初に最先端の重粒子線を選んだところ、ホルモン治療の継続が必須でアルコールも飲んではいけないとの制約に縛られQOLの低下が明らかとなりました。そこで、角さんはさらに色々と調べた結果、トモセラピーという治療法に行きつきました。実際、従来の重粒子線治療では、前立腺全体に高線量を投与する方法でがん治療が実施されているため、ホルモン治療にてがんを縮小させて直腸との間隙が生じる必要があることや尿道被曝を軽減される変調がかからないため、尿道に浮腫を生じる可能性のある飲酒は制限されていました。トモセラピーでは直腸壁に急峻な線量勾配を配置できるため、原発巣サイズの縮小のためや潜在的リンパ節転移の予防のためののホルモン治療が不要であること、尿道線量も同時軽減が可能であるため、尿道浮腫や狭窄を生じないで済むこと、さらに周辺の転移リスクの高いリンパ節も同時に治療することが可能です。ただし、正確に尿道の位置を描出するため、排尿CTは必要となります。(http://ameblo.jp/cccc-sc/entry-12209448355.html)参照。これらのきめ細かい計画を実施した上で角さんの治療が実施されました。1ヵ月程度の治療期間中角さんは治療寝台の上で毎回爆睡されていました。その後も再発なくお元気な様子でなによりです。結果的に自分のライフスタイルに最も合致した治療を模索しQOLの維持と厳密ながん治療を同時に実現できた例でした。

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  • 10 Feb
    • 手術されるって本当ですか?

      多くの日本人は、がんが見つかった時点で「悪いところは取って捨ててしまえ」という考え方に基づき、手術を希望されます。また、がんを診た医者も手術の可能性を第一に診療体系を構築していきます。一方、欧米ではがんは薬剤で治すものという考え方が支配的と言われています。だいぶ前のことになりますがこのような日本と欧米のがん治療方針の差についてコメントがありました。欧米のがん治療において最初の成功体験は乳癌の薬物療法であったのに対し、日本での最初の成功体験は胃癌の手術であったというものです。それにしても、我が国では転移病変に対しても「切ってほしい」と手術を希望される方にしばしば遭遇することに違和感を感じます。手術するということはがんだけをくり抜くわけではなく、周りの正常組織でくるんで一緒に取り出すことが必要とされています。本来必要な機能を担っていた臓器が失われること、その替わりを果たすなんらかの方法を講じる必要があることにまずは思いをめぐらせることが重要です。さらに、手術された体は傷を治すために様々な因子を大量に放出しますが、その因子とは実はがん細胞を増やし体中にまき散らす働きのある因子と等しいということも既に分かっていることです。そのため、がんの手術を受けた時点でもし体内にすでに小さな転移があった場合には手術しなかった時と比べて転移が拡がる速度が大きくなるというリスクもあります。最近、急な通過障害で発症した食道がんの患者さんに出会いました。内視鏡検査にて下部胸部食道に突出する腫瘍認め、生検にて扁平上皮がん。手術を勧められてその適否につき相談にこられました。通常の手術では食道を全部取り、胃を使って食道の代替をさせるのですが(それでも頸の接続部分で引っかかることが結構あります)、今回の場合には胃の入り口にもがんが及んでいるため、腸を使った再建となります。病気になる前と同じような食事を続けることはかなり難しくなります。また、手術したとして完全に再発しないで治るかというと確実ではないことから患者さんは手術をしない治療を希望されました。そこで、病理組織の免疫染色を追加したところP53陽性。PET-CTにて原発巣と所属リンパ節に陽性、肺に多発のGGNを認めました。全病変に44Gy/20F/4WのIMRTおよび原発巣にrAdP53局注を併用しました。3か月後のPET-CTでCR、内視鏡にては炎症残存のみで病理組織は陰性。通過障害は消失し放射線食道炎も認めず、食欲旺盛となりました。図1 治療前内視鏡画像食道内腔から隆起する病変を認めます図2 治療3か月後内視鏡画像一部炎症性瘢痕認めるのみとなりました図3 治療前PET-CT下部胸部食道に腫瘤を伴う強い取り込み中部胸部傍食道リンパ節にも取り込み図4 治療3か月後PET-CT下部胸部の腫瘤は消失し取り込みもなく傍食道リンパ節も消失しています

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  • 25 Oct
    • 抗がん剤なしに治癒 ─悪性リンパ腫─

      侵攻性の悪性リンパ腫の標準治療は抗がん剤+標的薬です。放射線治療は併用する場合もしない場合もありますが、もし併用する時はIFRT(病変のある領域をすべてカバーする超広範囲照射野での治療)となっています。最近、悪性リンパ腫の放射線治療はPET-CTなどで確認された病変のみに限局した高品位照射(ISRT)が勧められるという報告が見られます。ただしその場合でも全身治療である抗がん剤+標的薬を省略できるわけではありません。7年前に標準治療を拒否した侵攻性悪性リンパ腫を経験しました。たまたま成功した例であり、今でもこの方法をお勧めする根拠はないことをお断りしておきます。でもこの方が治ったのは事実ですし、今日、電話で元気なお声を聞き、これでよかったと安心しました。やはり、自分のがんを治すのは自分自身なのだということを改めで感じました。症例 50歳 女性 悪性リンパ腫 ステージ23年前 左鼠径部腫大 生検実施するも放置次第に増大しCTなどで複数のリンパ節腫大生検にてML(DLB)、標準治療として抗がん剤+標的薬勧められるが拒否当院初診PET-CTにて腹部-骨盤部のリンパ節腫大確認標準治療がR-CHOPであることを再三説明するも拒否され、放射線単独での治療を希望全病変に43.3Gy/13回3週のIGIMRT(画像誘導下強度変調照射)6か月後 PET-CTにてCRsIL2R(腫瘍マーカー)治療前2640 → 3か月後258(正常)7年経過後も無再発生存図 IGIMRT線量分布図IFRTでなくISRT用の分布が選択されている図 治療前 PET-CT腹部大動脈以下の多発リンパ節腫大(水色矢)中央に正常膀胱の取り込みを認める図 治療6か月後PET-CT病変の完全消失を認める正常な心、腎、膀胱への取り込みのみ

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  • 22 Oct
    • 粒子線断られ組  ──高齢者肺癌──

      人口構成の高齢化に伴い、高齢者の肺癌はまれなことではなくなってきました。以前であれば「高齢なのだから何もしないで天寿を全うしましょう」といわれていましたが、最近ではどんどん手術できるといわれる年齢があがってきています。しかし高齢者が手術をうけると全身麻酔や連続したベッドレストを経験することにより認知症が発生することも危惧されています。このような患者さんにとっての朗報が粒子線治療です。以前、放医研を管轄していた旧科技庁(現文科省)の官僚は「風邪引いたら1週間は具合悪いけれど肺癌なら1-2日重粒子受ければ治る」といったとか。確かに粒子線治療の適応となった症例の局所制御効果は80%を遥かに超えており患者さんの身体的負担は極めて少ないことがわかっています。ただし、粒子線治療適応には厳格な制限があります。重要臓器近傍の腫瘍や直接浸潤があるような場合には治療できませんし、以前に粒子線治療を実施された患者さんの再治療は粒子線施設でなくても不可能といわれることがよくあります。当院では粒子線治療を断られた患者さんに対しても安全かつ有効なIGIMRT(画像誘導下強度変調照射)を実施しております。当院での治療が有効だった2例を示します。たとえ治療を断られたとしても、あきらめる必要はないということがよくわかります。症例1 86歳男性半年前、検診にて肺異常陰影指摘され生検にて非小細胞肺癌2か月前より重粒子線や陽子線施設にて治療希望するもいずれも断られる(理由:大動脈直接浸潤のため粒子線にて大動脈穿孔のリスクがある)当院初診 PET-CTにて原発のみであることを確認28.1Gy/2週10回のIGIMRT実施後、画像評価し縮小を確認26.1Gy/2週10回(39.2Gy/2週10回の標的内同時追加)のIGIMRT実施3か月後 PET-CTにて完全消失を確認図治療前半の線量分布図(大動脈浸潤部を含む高線量域を設定)図 後半の線量分布図(大動脈への被曝量を制限)図2 治療前後のPET-CT治療前に認めていた取り込み部分(左)(黄色矢)は治療3か月後には完全消失(右)症例2 81歳女性 肺癌 リンパ節転移5年前 左下葉の肺癌原発に陽子線治療実施2か月前 縦隔リンパ節に再発を指摘された複数の施設で以前に陽子線治療を受けているため今回の再発には治療手段がない、緩和ケアの適応であるといわれた当院初診 PET-CTにて縦隔に2個所の転移を指摘48.5Gy/2週10回のIGIMRT実施5か月後のPET-CTにて完全消失図3 線量分布図左上縦隔リンパ節および食道近傍のリンパ節に対して集中性の高い治療を実施図4 治療前後のPET-CT左側の治療前には上縦隔(水色矢)および中部食道周辺(ピンク矢)にも淡い取り込みを認める。治療5か月後の右側ではともに完全消失している

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  • 14 Oct
    • 前立腺「ちょいワル」がん 親父達

      検診でPSA値が高かったといわれたら一般に泌尿器科を受診することになります。泌尿器科の前立腺がん診療ガイドラインは2012年版が最新のもので多くの患者さんはこのガイドラインに則って診療を受けておられることと考えられます。その原則は大まかには非進行期では手術、進行期ではホルモン治療ということになります。そしてホルモン治療を行っても再燃してきた場合には抗がん剤が使用されます。抗がん剤や強いホルモン治療に耐えられなくなった場合には緩和ケアとなります。患者さんの中にはこれらの方針に納得できず他の治療方法を探しておられる方もおられると思います。当院では8年前からこのような患者さんが何人も来られ治療を受けています。そのような方を診ている中で気になったことがいくつかありました。1. 病期診断がんが前立腺内に留まっているのかリンパ節や他の臓器に転移しているのかを診断するためにガイドラインでは骨シンチグラフィー、CT、MRIが勧められています。ほとんどの患者さんでは骨シンチと骨盤内CTおよびMRIのみが実施され病期診断(ステージング)がなされています。ところがこれらの検査では骨盤外のリンパ節転移や骨以外の実質臓器転移は十分に診断されるとはいえません。また骨転移に関しても骨シンチは単に骨代謝の亢進を見ているため実際に活動性のある転移病変が存在しているかどうかについては不明です。一方でがん転移を検索するために用いられるFDG-PET-CTは前立腺がんでは取り込みが高くでないこともあってそれほど有用とは言われていません。当院ではFDGの代わりにCholineを用いたPET-CTをお勧めしています。その結果従来の検査法では見つからなかったリンパ節転移や実質臓器(肝)転移が判明した例が何例かあります。今後は全身MRI DWIBSがCholine PET-CTにとって代わっていくと考えられています。2. 前立腺がん局所治療の適応非進行期の前立腺がんには局所治療として手術(ダビンチなどの低侵襲手術も含む)、放射線治療(IMRTなどの外照射や小線源治療)が適応されます。1.でも述べたように本来の転移病変が見過されて前立腺のみに対する局所治療が実施された場合には早晩再燃してくることになります。3. 外照射の治療回数IMRT(強度変調照射)などの外照射は我が国でも1回毎に治療費が算定されています。そのため極端に多い治療回数と長い治療期間(40-50回 8-10週)が選択されています。しかし周辺正常組織へのダメージが少ないIM-RTでは放医研の重粒子線治療がそうであるように少ない治療回数(12-20回)でも局所制御率及び周辺正常組織障害の軽減は極めて良好なものとなります。一方、粒子線治療についてですが、1990年代から治療が行われています。かつて重粒子治療を希望された何人もの患者さんを紹介したことがあります。これらの患者さんは前立腺がんの制御効果は絶大なものがありましたが、いずれの方も数年後に尿道狭窄が発生しました。当時の技術では前立腺内の尿道への被曝を軽減する方法がなかったためでした。これらのことを踏まえ、当院では尿道浸潤のない前立腺がんの患者さんには尿道線量を1割低減した中等度寡分割(20回4週間)IMRTを実施しています。治療に先立ち、Choline PET-CTなどによる全身検索を実施し、有意な転移病変も同時に治療していることはいうまでもありません。4. 救済放射線治療3.で述べたように前立腺に限局していなかった場合、手術など局所治療に終始していたのでは早晩再発をしてきます。そのような場合泌尿器科医はTumor bed(手術した周辺領域)への救済的放射線治療を依頼してきます。以前より私は本当にその領域に再発しているのか疑問をもっていました。そんな折たまたま知り合いの院長が、前立腺がん手術後にPSA値が再燃したため大学病院にて救済放射線治療を実施することとなった時点で相談を受けました。早速Choline PET-CTを実施したところ手術した周辺領域ではなく1個所の骨転移がみつかりました。もし救済放射線治療を実施していたとしてもPSA値は改善せず、照射に伴う腸管障害などが発生していたところでした。この方は適正なホルモン治療の継続で PSA値の増悪を見ずに数年元気で経過しています。5. ホルモン治療の継続前立腺がんではホルモン療法も有用な治療ではありますがそれだけで完治することはありません。そのうえホルモン療法により不快な副作用が生じることもありますしホルモン療法を6ヶ月以上実施された方では心筋梗塞を生じる可能性が高くなることも知られています。前立腺がんの進行状況や全身状態や高脂血症糖尿病などの合併症があるかないかなどを含めてホルモン療法を行うか行う場合にはどの程度の期間行うかなどを考えるべきです。10年くらい前は強度変調放射線治療(IMRT)を行うのに半年間待っていただく施設があったのも事実です。この待機期間中にやむなくホルモン療法を行っていた時期もありました。現在では当院を含めて受診後1ヶ月以内、早ければ1週間以内にIMRTの開始が可能な施設もあります。前立腺がんと診断されてすぐに放射線治療を行えばホルモン療法を行う場合でも最低限の期間ですみます。このような状況であるにもかかわらずホルモン療法を長期間実施した後にIMRTを依頼されることが多々あります。なかには狭心症や心筋梗塞がある方に対しても半年以上のホルモン療法が実施されていることもあります。ホルモン療法に関する医学論文から下記の事実が示されています。A. ホルモン療法は虚血性心疾患、心筋梗塞および関連死亡を増やす。B. 両側睾丸除去はこれらを増加させない。C. 虚血性心疾患が生じても生命予後の短縮はない。しかし、虚血性心疾患が生じればQOLは明らかに低下する。D. ホルモン療法の開始後は数ヶ月で肥満、高脂血症、糖尿病の悪化などが生じる。E. ホルモン療法はカソデックス単独であれば増量しても虚血性心疾患は増加させない。しかし、ゾラデックスを併用すると増加する。今回のまとめとして診療ガイドラインはあくまで総論としての枠組みを示しているに過ぎず個々の症例に対して患者さんが望めば個別最適化を考慮した治療を実施することが肝要であるといえます。最後に当院開設初期に受診された寡転移進行期前立腺がん 「ちょいワル」がん 症例のまとめ(2010年時点)を記載します。その後も全員生存しており1例(肝転移)以外では無再発のままです。原発+精嚢および骨転移(水色矢)も同時照射した前立腺がん症例の線量分布です。尿道線量の軽減(オレンジ色矢)も図っています。

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  • 13 Oct
    • 安心してください、ちゃんと消えてますよ!

      最近の症例 66歳女性 卵巣がん術後多発リンパ節転移1年半前、卵巣がん手術術後抗がん剤*3コース実施半年前 腫瘍マーカーCA125 22→43と急上昇腹部リンパ節腫大 手術勧められたが拒否PET-CT画像センターよりの紹介にて当院初診リンパ節転移は腹部大動脈周囲から両側総腸骨レベルに多数存在、CA125 86↑40Gy/2週10回のIGIMRTを実施。3か月後PET-CTにて全病変消失。CA125は9(正常値は35以下)↓図 腹部大動脈レベル治療前PET-CT図 腹部大動脈レベル治療3か月後PET-CT図 総腸骨レベル治療前PET-CT図 総腸骨レベル治療3ヶ月後PET-CT多発リンパ節の取り込みはすべて消失

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  • 09 Oct
    • 複数病変が全部消失 ─ 乳癌 ステージ4 ─

      進行期の段階でみつかった乳癌では乳腺にがんがあることは自明の事実であっても全身のどこかに転移している可能性が高いので、しこりだけを取り去る手術をしても残った転移部位からどんどん再発してくることがわかっています。まるで”木をみて森を見ず“のような対処法といえます。もっと悪いことに、複数病変があり原発の乳腺とリンパ節だけを手術した場合、骨や肺などの残存転移病変は勢いづいてきます。外科医はこの事をわかっていても話しませんが手術した傷を治そうとする正常組織からの修復信号が癌の増殖因子と同じために起きる現象です。数か月であたかも癌が“やられたらやり返す10倍返しだ!”といわんばかりの結果に終わることがよくあります。そのため進行期乳癌では全身に効く可能性のある抗がん剤と感受性がある場合のホルモン治療が標準治療となっています。その反応性には様々な報告がありますが一般論として固形癌の化学療法の有効率は30%、治療期間と同じだけの生命延長という相場です。ただしこれらは欧米人を対象としたデータであり人種間の差なのか、潜在体力の差なのか不明ですが我が国を含む東洋系の人では標準量の抗がん剤投与が継続できる確率が30%程度といわれています。つまり、抗がん剤で利益を得られる可能性は30%×30%=10%ということになります。そのため、有用性がほぼ同等と考えられる全身免疫療法が代替療法として注目されているという現状にあります。ただし全身免疫療法だけで確実な局所制御が得られる可能性はほぼ期待できず、評価すべき効果もあいまいです。なぜなら培養し全身投与される免疫細胞は多くて数億個ですが、人間の体は60兆個もの細胞から成り立っているため、10万個レベルの癌細胞に対し漸く1個の免疫細胞が到達するという勘定になるからです。免疫細胞には寿命があり癌細胞を殺す能力には自ずと限界があります。一方で、乳癌や前立腺癌でホルモン感受性の高いことが証明されている場合に使用されるホルモン療法の有用性は抗がん剤とは異なり癌細胞に感受性がある限り無再発状態を継続できる可能性があります。その場合でもやがて癌細胞のホルモン感受性が変異していき数年のスパンで再燃してくることがしばしばみられます。これは上皮増殖因子変異を伴う非小細胞肺癌に対する低分子標的治療にみられる事象とよく似ています。当院では進行性の固形癌(主にステージ4)で標準治療が無効もしくは継続不能となった患者さんに対し、全病変制御を目的としたIGIMRT(画像誘導下強度変調照射)を主体とした局所治療を実施しています。手術と異なり、放射線治療の場合正常組織ダメージが少なく傷を治す修復信号の量の発生もわずかであることがわかっています。また、従来の放射線治療は複数病変があっても1個に限定して照射を行っていましたが、この方法では画像検査で判明したすべての病変を同時期に治療することでいわゆる“やり残し”がないことが特徴です。比較的若年の進行性乳癌患者さんの治療例を3例提示します。症例1  44歳女性11年前(33歳時)右乳癌温存手術ホルモン感受性(+)のため、ホルモン治療+ファーストライン抗がん剤8年前 多発骨転移出現ビスフォスフォネート投与、セカンドライン抗がん剤1年前 疼痛悪化しモルヒネ開始9か月前 疼痛悪化し下肢麻痺出現、胸椎に定型的放射線治療(30Gy/10回)2か月前 多発骨転移出現、疼痛および下肢麻痺悪化当院初診 MRI、CT上胸椎は骨皮質を残しほぼ全体に腫瘍に置き換わっており一部脊柱管内に進展している。放置すると確実に下肢完全麻痺となる状態。放射線照射の既往があり通常の再照射では半年後に放射線障害による下肢麻痺が出現してくる。当院での全病変IGIMRTでは脊髄損傷を生じずに腫瘍制御できる確率は8割-9割程度と説明する。40-48.5Gy/2週10回のIGIMRTを多発骨転移に実施。1-CTP(骨代謝マーカー) 治療前12.7→3か月後8.5と低下。PET-CT再検にて完全消失。図  胸椎レベル治療前PET-CT 図 胸椎レベル 治療3か月後PET-CT  多発骨転移および脊柱管内進展はすべて消失心および左腎は正常な取り込み図 骨盤レベル 治療前PET-CT右腕の取り込みは注射剤のもれ図 骨盤レベル 治療3か月後PET-CT多発骨転移はすべて消失両側腎および膀胱は正常な取り込み症例2  39歳女性4年前 右乳癌指摘され部分切除+術後放射線治療。1年半前 リンパ節転移出現し切除 その後全身免疫治療行うも腫瘍マーカー上昇PET-CTにて多発骨転移出現 左肺に結節指摘当院初診 多発骨転移は全病変IGIMRT適応。左肺病変は間質性肺病変の可能性高く、薬物治療を勧めると説明44Gy/1.5週7回のIGIMRTを多発骨転移および右腋窩リンパ節に実施予定し32Gy/1週5回時点で骨髄抑制のため終了。同時に間質性肺病変への薬物療法を2回実施。3か月後CTにて左肺結節および右腋窩リンパ節消失、PET-CTにて完全消失。CA15-3(腫瘍マーカー) 治療前 120.5→3か月後 7.4(正常化)KL-6(間質性肺疾患マーカー) 治療前 2550→3か月後256(正常化)図 治療前PET-CT 図 治療3か月後PET-CT多発骨病変、右腋窩リンパ節および左肺結節のすべてが消失脳、心、両側腎、膀胱には正常な取り込み症例3  48歳女性3年前 左乳癌S1指摘され、代替療法のみ半年前 両側乳癌リンパ節転移と診断 代替療法施行するも2か月前から背部痛出現PET-CTにて両側乳癌 左腋窩リンパ節 超多発骨転移、微小多発肺-葉間リンパ節転移当院初診。超多発転移のため全病変IGIMRTを実施するとしても投与量を軽減する必要がある。照射の効果を増すため、癌幹細胞抑制効果のある経口薬を併用すると説明40Gy/2週10回のIGIMRTを全病変に実施予定し20Gy/1週5回時点で骨髄抑制のため終了。マーカー等異常値認めず。治療終了時点で疼痛緩和し、乳癌本体も縮小。以後、ホルモン治療を継続。図 治療前PET-CT 図 治療1か月後MRI DWIBS骨盤部から大腿骨にかけて一部残存を認めるものの治療前に認められた多発骨転移、両側乳腺左腋窩の取り込みの大部分は消失する

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