そんな言い方ないだろう | 書評 読んでみんさい、この本!

そんな言い方ないだろう

っていうのは、梶原しげるさんの本の名前。この人の本、「老会話」に続いて、この本を読んでいますが、おもしろい。

 その梶原さんが、おもしろい例として取り上げていたのが、私の好きな東海林さだおの4コママンガ。まぁ、読んでみんさい!

「東海林さだおさんの人気漫画「タンマ君」にこんなエピソードがありました(週刊文春2005年1月20日号)。

 部下の武勇伝をきいて「つまりそこでキミが一矢(いちや)を報いてやったわけだ」と得意げに言う上司。もちろん、イチヤではなくイッシです。

 言われた部下は上司の言い間違いを指摘したくてももじもじ。周りのほかの社員も事態の成り行きに注目する。ああいうとき、部下の身分で、まちがってるなんていえないもん。そのまま見逃すんだろうな、と高をくくっていたら、やおらその部下が勇気を奮って「はなはだ申しあげにくいことなんですが」と上司に間違いを告げる。
 
 緊迫した空気の中、部下はこう言います。

 「その場合の一矢(いちや)は、一矢(ひとや)と読むのが正しいんじゃないでしょうか」

 すると上司が「あ、そうなの」と素直に納得。その様子を見た周りの社員がずっこけると。。。」

 こんな笑えそうで笑えないエピソードをまじえ、かつ、間違いを犯すわれわれに、「うん、そういう間違いってしやすいよね」とあたたかくアドバイスしてくれる一冊です。

 そういえば、昔私の上司が「思惑」を「シワク」と読んでいたのを指摘できないまま、15年も経ってしまいました。あの人、まだ「シワク」って言ってるのかな?


梶原 しげる
そんな言い方ないだろう