12月10日、国内で新たに2969人感染し、2日連続で過去最多を更新しました。外に長く滞在することがあったら、必ず髪を洗ってコートはアルコール入りのファブリーズを吹きかけて対策しております。
ところで、近場の美術館で超絶技巧の画家 吉村芳夫氏の展覧会が開催されていました。
今回の目玉は 「無数の輝く生命に捧ぐ」という藤の絵
■オフィシャルサイト
吉村芳生展 | そごう美術館 | 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ (artagenda.jp)
■展覧会 概要
1950年に山口県で生まれた吉村芳生(よしむらよしお)は山口芸術短期大学卒業後、広告代理店にデザイナーとして5年働いた後、創形美術学校などで版画を学び、版画とドローイングの作家としてデビューしました。
初期には、新聞紙、金網、風景、身のまわりの物など、日常のありふれた情景をモチーフにして、明暗をオリジナルの手法で描いたモノクロームの作品で、国内外の多くの美術展に入選を重ねます。1985年には山口県の徳地に移住し、豊かな自然に囲まれた環境の中で制作活動を続け、鮮やかな色鉛筆で描かれた花がモチーフとして登場するようになり、小さな画面から徐々に大きな画面に咲き乱れる花畑を描くようになります。
(略)
本展では、初期から晩年までの代表作を展示して、現代アートのフィールドに確かな足跡を残した吉村芳生の創作活動を回顧します。
出典:吉村芳生展 | そごう美術館 | 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ (artagenda.jp)
■ジーンズ 1983年
出典:吉村芳生展 | そごう美術館 | 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ (artagenda.jp)
新聞紙大の作品なんですが、陰影度合を0~9の明暗度合を決め、17万個(!!)のマスに数字で0~9の数字を方眼紙に書いてから、制作にとりかかっています。ぜんぶ手書き。
■ドローイング(ランニングではなく)
出典:吉村芳生展 | そごう美術館 | 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ (artagenda.jp)
本来、コンピュータや機械を導入するのは単純作業から人間を解放するためなんですが、彼は、感情を完全に排除し丹念に金網を再現するこの手法を、「機械文明が人間から奪ってしまった感覚を再び自らの手に取り戻す作業」として、長距離ランナーが一歩ずつ進む様子に例えたのだそうです。
ふと懐かしく、泣きたくなったのはこの絵。
■《未知なる世界からの視点》2010
枯草に交じって一面に咲き誇る菜の花、そして草花や曇天の空模様を鏡映しにしながら風に揺らぐ川面を、最終的に上下さかさまにして完成とした。虚構と現実あるいは日常と非日常が入れ替わった、天も地もない未知なる世界。
写真と説明の出典:吉村芳生展 | そごう美術館 | 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ (artagenda.jp)
よくよく見ると水面に映るススキと風にそよぐススキ、菜の花は歪んで見えるんです。リアルな世界ならではの不思議さを感じる絵です。
圧巻だったのがこれ。
■《無数の輝く生命に捧ぐ》2011-13 色鉛筆、紙
ある施設の金網のフェンスごしに見える花盛りの見事な藤の木を描いた作品である。描く際に利用した写真が残っているが、これを見ると、描かれたのと同じ情景が存在していたのではないことがわかる。吉村は藤の花の同じ部分の写真を複数枚プリントして、何度か繰り返して貼り合わせ、本来の状態よりもずっと横に長く引き伸ばしている。そして花の手前に存在していた金網と、背景の建物をすべて排除して、藤の花だけを描いた。本作制作の動機は東日本大震災で、吉村は花のひとつひとつが亡くなった人の魂だと思って描いたという。
写真と説明の出典:【そごう美術館】 超絶技巧を超えて 吉村芳生展|株式会社そごう・西武のプレスリリース (prtimes.jp)
この絵を見ていてふと思い出したのは、「鬼滅の刃」の最終巻「幾星霜を煌めく命」
出典:「鬼滅の刃 23巻」
やさしさが、かぶるんですよね…。
■画材について
吉村芳夫氏が使っていた画材も紹介されていました。1761年ドイツのニュルンベルクのFabercastell社のポリクロモス色鉛筆120色という色鉛筆だそうです。
Faber-Castell - ポリクロモス色鉛筆120色(缶入) (faber-castell.jp)
すごいなぁ…単純作業に込めた力…。