当院の治療内容に、鍼灸治療を加えることになりました。今回は鍼灸治療についてご説明いたします。

 

●相澤るつこさんのアート作品ですが、犬猫の経穴とその効果が書き込まれています!

 

中医学(*注1)の治療法の中で双璧をなすのは、「漢方治療」と「鍼灸(しんきゅう)治療」です。中医学では、人間も含めた動物の体内には、『気』(正しくは『氣』と書き、『き』と読む、現代用語のエネルギーのようなもの)の流れる通路(経絡,けいらく)があると考えます。しかしこれは、目に見える形のある通路ではありません。この通路には、地下鉄が駅で地表と通じているように、体表との連絡口があり、これを経穴(けいけつ)、ツボと言います。

 


*注1 中医学とは
WHO(世界保健機構)では中医学は中国の伝統医学のこと、東洋医学は日本の"漢方"、すなわち日本の伝統医学のこととして区別しています。
漢方は、中医学の一部が日本国内で独自の発展を遂げたものであり、漢方=中医学ではありません。



そして、中医学では身体全体のバランスが崩れたときに病気が発生すると考えるのですが、それはすなわち、経絡内の氣の流れが淀んだり、枯れたりなどの不調が根本原因と考えます。鍼灸は、経穴を刺激することによってこの氣の流れを整え、機能回復をはかる治療法です。


鍼(はり)は、注射で使用するよりもずっと細い針をツボに刺します。とても細いので、多くの場合、痛みはほとんど感じません。全て使い捨ての鍼を使用しておりますので衛生的です。灸(きゅう)は、乾燥させたヨモギ葉の柔毛を精製して固めたものに火をつけて、火傷しないように皮膚やツボにあてます。



この鍼灸の人間および動物における効果については、科学的に本当に効果があるのか?何故効果があるのか?といった研究が、近年盛んにおこなわれており、鍼灸のしくみが徐々に解明されつつあります。例えば、鍼灸である経穴を刺激すると、体内で痛みを和らげる薬物(モルヒネに似た物質)が産生され、痛みを緩和することが報告されています。また、鍼灸は自律神経に作用して、心臓や胃腸などの臓器の働きを調整することがわかっています。



温灸は単に身体を温めるだけでなく、その独特な香りも効果の一助となっています。ヨモギ葉の柔毛が燃えると、有効成分である精油がその香りとともに嗅覚を刺激し、肺を通って血液中に入り、人間や動物をリラックスさせます。そして、身体を芯から温めて免疫機能、代謝機能などを高めるとされています。


●頭にお灸をすることもあります

当院では、長期間患っている病気には、西洋医学と中医学の治療を併用する場合が多く、そうすることで治るまでの時間を短縮したり、お薬の副作用を軽減したり、西洋薬の長期に渡る使用によっておこる弊害を、避けることを目指しています。


◆鍼灸はどのような病気に有効なのか?

人間も含めた動物の身体は、歳とともに代謝が落ちて血液の流れが悪くなり、結果的に痛みが発生したり病気に罹ります。鍼灸はこれらを改善しますので、加齢による病気や症状には顕著な効果を発揮します。


高齢でなくとも、長期間病気に罹っていると体力が落ちて、いわゆる虚弱体質になりがちですが、この体質改善にも有効です。また、関節炎や椎間板ヘルニアなどの痛みや麻痺にも、鍼灸は有効とされています。


最初は集中して施術し、症状に改善がみられたら徐々に間隔をあけて施術することが一般的です。