TNR保護の警戒心強い白三毛がうちの猫になった経緯は保護ボラあるあるだった | やっかいな猫たち【失敗したかもよ~という多頭飼いの悩み満載ブログ!】

やっかいな猫たち【失敗したかもよ~という多頭飼いの悩み満載ブログ!】

子猫を拾ったことから始まった猫ライフも○十年。友人であり恋人であり大切な家族の猫たち。預かりボラをしたことから今は「むずかしい猫」といわれる2匹の猫と里親募集中の預かり猫たちと慌しい毎日。まったり猫ライフとはかけ離れた日常をお届けするブログです♪

現在我が家にはうちの猫3匹、里親募集中の保護猫2匹がいます。うちの子3匹のうち、2匹は元保護猫で里親募集してましたが、まあいろいろ事情があって我が家が里親になったわけです。

猫の保護に携わっているとけっこう多い事例ですが、彼らがうちの子になった、うちの子に迎え入れた経緯を紹介します。

猫に人馴れさせるのも預かりボランティアの役割

まず最初に紹介するのは今年11歳になる白三毛さんです。名前は「すあま」。保護時代の仮名がそのまま本当の名前になりました。

すあまが我が家に来たのは2歳になる頃、2011年の春のことです。保護されたのは2009年の暮れ。その間はTNRをした保護ボラ宅で人馴れ修行をしていました。

当時のすあま、「家猫修行1年以上してたよね!?今捕まえてきたってわけじゃないよね!?」っていう態度でした。キャリーからネットに入れられた彼女をケージに移し、先行き不安になったのを覚えてます。

猫の預かりボランティアって何するの?何を求められる?

その頃私はTNRをメイン活動にしている猫ボランティアさんのお手伝いをしていました。いわゆる預かりボランティアというやつです。

今は保護猫という立場の猫たちもネットで取り上げられて知られるようになりました。愛護センターや保護団体でも協力ボランティアとして預かりさんを募集していることも多いです。

ひとことで預かりボラといってもその内容によって活動内容が変わります。ざっくり分けると

  • 乳飲みボランティア
  • 飼育ボランティア
  • 家猫修行ボランティア
  • 看取りボランティア

この中で、最初にお手伝いしたのが『家猫修行ボランティア』という立ち位置でした。

猫の保護ボラが預かりボランティアを必要とする理由

お手伝いしていた猫ボラさんはTNRがメインでしたが、里親募集をすることも多かったです。その理由は現場にはかなりの確率で子猫がいるから!

それに、まだ当時は猫ボラさんが少なかったので、愛護センターからの依頼もけっこうありました。彼女は個人で活動していたので、お声がかかるのは成猫がほとんど。子猫は大きな団体が引き上げていましたから。

基本的に子猫は預かりさんに預けませんでした。というのも、よほど人馴れがしていない場合を除いてすぐに里親さんが決まったから。手元に置いてお見合いしたり譲渡会に連れて行ったほうが手間がかからないので、まわりのボラさんはたいていそうしていました。

本当に必要なのは人馴れさせてくれる預かりボランティアです。シャルターや猫部屋で世話するのではなく、人間の生活エリアで環境や人に馴らしてもらうとすごく助かるのです。

猫の保護活動をしていると、里親さんが決まるまでそれなりの数の猫を保護することになります。出産シーズンには子猫もたくさん保護されます。

人に慣れている猫は、食事や衛生管理といった世話だけで特に問題はないけど、人に慣れていない場合はそうはいきません。場合によってはどんどん人が苦手になってしまいます。

元に戻せないTNR現場もある!家猫修行が始まった!!

TNRとは、地域猫を捕獲して避妊手術を施し元に戻すことを指します。

  • trap (トラップ)
  • neuter (ニューター)
  • return (リターン)

お手伝いしていたボラさんは、そのときから10年以上の活動歴のあるベテランさんで、愛護推進員にもなっていたこともあって、TNRはほとんど相談者からの依頼でした。

ボランティアの多頭崩壊は避けなければならない

現在ボランティア崩壊が問題になっていますが、長く活動を続けてこられる秘訣のひとつに、保護猫を抱え込まないことだと言ってました。

現場に行くと、どの子も里親を見つけてあげたくなるのは誰でも同じですが、長いこと外で暮らしてきた猫にとってそれが最善とは言えないこともあります。

どんな猫でも家猫になれるという意見も聞くけれど・・・確かにそうかもしれないけど、現実はそれほど甘くはありません。

外に出たがって毎日のように鳴き続ける子もいれば、人間に馴れるのにものすごく長い年月がかかる子もいます。

その間、ボランティア宅やシェルターは里親さんを待つ子達で溢れかえってしまいます。

だから、TNRに携わって長く活動を続けているボラさんは、リターンする猫と保護する猫の線引きをします。

きちんとした餌やりさんがいる地域猫であれば、避妊手術を終えた成猫は基本リターンします。成猫でも、ケガをしている等特別な場合は保護はしますよ。

地域猫の課題!世話するボランティアの世代交代

TNR活動の大事な仕事に餌やりさんとのやりとりがあります。猫に餌をあげている本人から依頼があった場合はスムーズに進みますが、そうでない場合はまず地域猫として餌やりさん、近隣住民への説明から始まります。

それに関しては、本当に現場によって反応もかかるる時間もまちまちです。

さて、我が家のすあまの保護された現場についてですが、餌やりさんの高齢化が大きな問題でした。場所は住宅地とはかけ離れた都内の河川敷。餌やりさんは自転車で30分以上かけて通ってきていました。

もともと友人から頼まれて(押し付けられて)通うようになったそうですが、体力的にもかなりきついのは場所を知っているだけに理解できます。いつまで通えるかわからない、と不安も洩らしていました。

猫の数は2つのコロニーがあって総計20以上はいるとのこと。成猫は面倒みるけれど、その春生まれた7匹は里親を見つけて欲しいと依頼されたのです。

時は11月。子猫と言ってももうすでに7ヶ月です。子猫とは言えない・・・。でも、件の餌やりさんが通ってこなくなったら、ごはんにありつけない現場であることは明白です。

そのコロニーの猫たちは、みんな見た目はきれいな子達ばかりでした。長毛のオスがいたので、子猫のうち何匹かはゴージャスな長毛の女の子です。洗った後の話ですが。

ただ、みんな人に慣れているとは言いがたい態度でした。それでも、まだ成猫ではないのと、見た目がかなりきれいなので頑張って里親を見つけようと何人かのボラさんで保護したのです。

その中の1匹がすあまです。この子、最後までボラさんがリターンをしようか迷ったのです。一緒に現場に入った他のボラさんはリターンした方がいいと口をそろえて言っていたほど、人馴れがしそうもなかったから。

でも、すあまは強運の持ち主だったのか、リターンしようと思った日が大雨だったり、ボラさんが体調不良で寝込んでしまったり・・・機を逃してリターンできなくなってしまったのでした。

当時、メス猫の避妊手術は抜糸が必要だったので、1週間程度はケージで保護してました。でも、あまり長い期間現場から離しておくと猫にとって良くないのは確か。

ボラさんによってリターンするまでの最長期間は違いますが、すあまを捕獲して早2週間が経った頃、保護主も覚悟を決めたのです。里親を探そう!

2011年の東日本大震災が猫たちの運命を変えた

すあまは保護主宅でもいっこうに人に馴れる気配を見せず、保護主は譲渡会に連れてくることも大変な始末でした。

怖がりな子でも、ベテランボラさんなのでいつもは難なくゲットなのですが、すあまは超がつくビビリなので捕まえようとすると失禁、下手したら脱糞までするというのです。

そんなすあまが我が家に来ることになったのは、2011年3月でした。保護して家猫修行を始めてから1年4ヶ月が経とうとしていたときです。

福島からの保護猫でてんやわんやだった2011年

すあまをうちに連れてきた理由は、保護猫を分散させるため。3月11日も都内はかなり揺れましたが、その後の余震もグラグラユラユラしばらく続きました。

その数日前に、うちにいた保護猫が里子に行ったばかりでした。この子も同じ現場からの保護で、すあまのきょうだい猫でした。

ちょっと手強いけど人馴れ修行第2幕の開幕だね!なんて思っていたのですが、ボラ団体で福島の猫を保護することになったのです。話は前後しますが、そのときは私もボランティアグループのメンバーになっていました。

当時のことはいろいろなことがあり過ぎて、今回書くのは省きますが、保護した福島猫の数が尋常ではなかったため、それまで里子に出ていなかった成猫の里親募集は後回しになってしまったのです。

特に、すあまのように触れもしない、攻撃するなんていう子は諦めモードでした。

先の見えない家猫修行の末うちの子になったすあま

すあまが移動して1年が経った頃、我が家に一大転機が訪れました。転居です。私は東京生まれ東京育ちだったのですが、夫は愛知出身。そして長男。義母は未亡人でした。

悩んだのですが、娘が小学校にあがる時期でもあるので、夫の地元に引っ越すことにしたのです。さて、すあまをどうする?

猫多頭飼いと家族構成を考慮して下した決断

関東から東海への転居です。それまでお手伝いしてきた猫ボラとしての活動はできません。当時うちの子は2匹。14歳のシニア猫とすあまと同じ年のオス猫でした。

幸い、それぞれ仲が良いとは言えなくてもそれなりに共棲できていました。すあまは人が苦手と共に、猫も苦手という困ったチャンでもありましたが。

保護主は、すあまはうちに戻すよ・・・と言ってくれましたが、すあまはそのとき人や猫と距離はあったけどそれなりに快適に過ごしているように見えました。

猫の数は大人の数が限界、そう思っていた我が家ですが、娘も小学生になることも踏まえて、すあまをうちの子として迎えることにしたのです。

パーソナルキャットとしての片鱗が見えていた

すあまと暮らして1年経っていたその頃でも、彼女の態度はたいして変わっていませんでした。触れないし触ろうとすると鋭い爪でバシッと攻撃してきていました。

それでも、私が特定の場所にいるときだけはなぜか自分から近寄ってきて、時として寄り添うこともあったのです。

もしかしてすあまはパーソナルキャットってやつ?

そんなことが頭をよぎりました。

パーソナルキャットと言うのは、ただ一人の人だけに心を許す猫のことだそうです。何人か家族がいても、その中で唯ひとり。すあまはまさしくそれでした。

人に慣れていない猫を里親に出すために家猫修行をすることは多いです。ベテランのボラさんから、「預かりさんに3ヶ月で馴れたら里親さんには1.5ヶ月、半年で馴れたら3ヶ月、だいたい半分くらいになるのよ」って言われたことがあります。

ざっくりした計算だけど、あながち間違ってないと実感してます。ただ、これは人や人の生活環境に馴れるまでのこと。すあまの場合は明らかに違ってました。

すあまがうちに来てから10年目です。今でも私以外の人には警戒心むき出しです。自分から近寄っていくことなんて絶対ないし、触ろうとしても逃げます。かろうじて家族に対してパンチを繰り出すことは無くなった程度。それも、追い詰められたら出ます。

すあまの場合は、幸いにも私にだけはなんとか警戒心を解いてくれたと言えます。ただ、今でもいつも触れるわけではありません。

保護ボランティアをやっていると、こんな猫さんがいつの間にか「うちの子」になっていることも多々あるのです。