2021年の成果と2022年の方向について(教職員の皆さまへ年頭挨拶)
                           2022年1月4日 尾池和夫
 2022年、明けましておめでとうございます。今年は壬寅(みずのえとら)の年です。壬は妊娠の妊の一部で「生まれる」、寅は演が由来で、人の前に立つや、演と同じ読みで「延ばす、成長する」という意味を持っています。また、2022年は、36年に一度の「五黄の寅(ごおうのとら)」です。十二支と古代中国の民間信仰である九星(きゅうせい)を組み合わせたもので、九星の「五黄土星」と十二支の「寅」が重なる年です。この年の方は「強い正義感と信念、行動力」を持っています。
 昨年4月に学長を兼ねる理事長に就任して、少しずつ大学のことが分かってきました。教職員のご努力、学生たちの熱心な取り組みが行われており、それぞれに大きな成果をあげています。一方、私の視点から、さまざまな問題点にも気がつき始めました。
 以下にそれらを紹介します。それによって2022年の年頭の挨拶といたします。順不同のメモ書きです。この内容は、後ほど教職員の皆さまに送ります。
●短期大学部の将来について
 4年制の新学部を発足させたいと思っています。生涯健康をテーマとします。それにともなって短期大学部は廃止します。
●教育の連携のこと
 例えば、東海大学の「駿河湾学」と連携できないかと考えています。大学コンソーシアムで多くの大学が生涯学習に対応するプログラムを用意できないかとも思います。
●学生のキャンパスライフについて
 生理用品の支給方法を考えていただき、実現した結果、国公立大学で初という大きなニュースとなりました。取り組んでいただいた教職員、学生に感謝します。
●教室などの改修について
 かなりの予算をつぎ込んでトイレの改修を進めています。事務局のご努力に感謝しています。さらに年度末に向かい予算をやりくりし、来年度計画の前倒しとして、学生ホール、学食や教室の設備、ハイブリッド型教室の整備などを行います。
 小鹿ではハンドドライヤーの使用を再開しました。草薙キャンパスにも設置してほしいと思います。自動水栓方式も含めて、今後の改修では視野に置くようにしてほしいと思います。
●職域接種の努力
 2回目の接種までを多くの教職員のご協力で実施できたことに、あらためて感謝し、さらに3回目の接種の準備をお願いします。
●学生のためのオフィスアワー
 学長室のオフィスアワーを設けて学生と直接話す機会を作りたいと思っていますが、まだ実現していません。ご意見を伺いたいと思います。
●式典の改善について
 学位授与式、入学式をキャンパスで実施する方向を検討してほしいのですが、そのためには中期的な計画が必要です。
●学生のキャンパスライフの支援
 学生代表が大学に対して意見を言える仕組みが育つことを願っています。学生部担当職員の支援が必要です。課外活動を支援する機能、学生部の機能を充実させたいと思います。
●学生食堂の計画
 酒井副学長はじめ熱心に取り組んでいただき、キッチンカーの導入などが行われており、感謝しています。食堂とその周辺整備に予算を投入します。小鹿では椅子とテーブルを増設しました。地域の人たちとの交流の場としても活用できるといいと思います。
●ウェブサイト(ホームページ)と資料の記録について
 今年度に入って、幾つか改善をお願いして迅速に対応していただき感謝しています。さらなる改善が必要です。
 例えば、寄付をお願いする案内がトップから見えません。新型コロナウイルスによる感染症にともなうご支援だけは、トップにはないですが、一応出てきます。一般的な寄付の
●アーカイブの機能の充実
 大学の歴史、式典の記録、式辞の保存など多くの課題があります。評価に活かせるアーカイブのシステムを組むことが大切で、酒井副学長を中心に考えていただいています。
●奨学金の獲得
 渡し切りの奨学金をたくさん持っているのが強みです。これらをさらに増やすことが必要です。各部局の特徴を活かして増額の努力をさらに進めるよう願っています。
●校歌(学歌)と学園歌
 歌詞だけが掲載されていますが、曲にリンクを張り、楽譜を公開したいと思います。さらに新しい学園歌があったほうがいいかもしれません。
●教員の活動さまざま
 新聞を通して知る活動もあり、論文を通して拝見する内容もあり、また直接ご報告いただく場合もあります。本学の教員や院生のご活躍を頼もしく思っています。例えば、細川光洋教授の発見が、「恋せよ、少女こゝから「ゴンドラの唄」初出判明100年越しの謎解ける」という見出しで、2021年12月10日の中日新聞1面のトップ記事になりました。トップ記事になることはめったにない快挙です。
 県民の皆さんに、静岡県立大学の先生で、名前をご存じの方はどなた? とときどき聞いてみるのですが、あまり答えがありません。もっと知られていていい研究者がたくさんおれれます。
 英語の論文が基本であっても、その内容を分かりやすい日本語にして広報することにも、さらなる努力をしていただきたいと思います。
●教員の公募などの人事
 今井副学長の恒常的なご努力で教員人事が進んでいます。何と言っても人財の確保です。公募を原則とする方針ですが、内部昇任の制度もうまく活用して、さらなる人財の確保に努めていただきたいと思います。
●産学官連携について
 教育研究審議会外部委員の酒井公夫氏の発言で、企業人の考える静岡の企業の魅力と、就活する学生の言う静岡の企業に魅力がないと言う「魅力」の意味が食い違っていると言われました。企業人と学生が直接話せる機会がほしいとも言われました。インターシップの在り方などを考えたいと思います。
●健康安全フォーラム
 渡邉副学長のご努力で第26回のフォーラムが無事に完了しました。健康で長寿という考えにプラスして、安全というキーワードを入れようと提案しました。大学の研究機能の中に自然災害を取り込むことを具体化して、この健康フォーラムに安全の部門からさらなる参加を求め、健康と安全で長寿の静岡県を実現したいと思います。
●静岡で推進したいこと
 ホスピタルプレーの拡散、ホスピタルアートの採用、日陰を生み出すフラクタル構造の屋根、政府のビッグデータを県民のために翻訳広報する仕組みなどを静岡で実現したいと思っています。地震火山予報士の制度化、終末期医療の課題への挑戦、ACP(Advance Care Planning)の課題なども自治体で取り組みができる課題です。
 わが国では人生の最終段階の医療に関して、口頭で意思表示をしている人は約7割ですが、リビングウイル(LW)として書面に記している人はわずか2~3%に過ぎず、欧米と比較して一桁低い状況です。そもそも日本人は自身の終末期医療に関して自己主張をあまりしません。
●資源とごみについて
 今年度に入って、シュレッダーをやめて溶解する方向へ切り替えていただき、感謝しています。なお一層、紙を減らす取り組みが2022年の目標です。SDGsを中身のある行動に結びつけて行くことが大切です。
●理事長と学長の一体化にともなって
 事務組織の改革に、法人の坂田参事を中心に取り組んでいただき役員会で決定できました。たいへんなご努力のたまものであり、感謝しています。今年は、職務の内容の精査に進みたいと考えています。
●コンプライアンス
 理事長を見る眼の制度化が必要です。理事長から見る教職員のコンプライアンス制度の検討が必要です。県には詳細のガイドラインがあります。
●大学を守るのも、改革するのも職員の力です。
 プロパー職員の一層の活躍を支援します。積極的な提案を実現するためには熱意と能力とが必要です。今年度初めて実現しましたが、35歳以上のプロパー職員もさらに導入したいと思います。SD研修では、積極的に大学運営に発言する職員の養成を視野に置く必要があります。
●風通しのよい職場、安全で快適で、かつ楽しい職場を目ざしています。
 学長室に来た教職員には、とにかく笑って退室していただくという目標を立てて実行しました。笑いが大切だと私は信じています。ハラスメントのない職場がまず基本で、その上に次のステップです。快適に学び、研究し、働く環境を実現したいと願っています。ハラスメント対策の精査と改善が必要です。
●FD研修の内容の検討が必要です。
 教員の会議で、コミュニケーションがうまくできていない現象に出会うことがありました。社会性の欠如があると、重要な事項の審議に支障となることもあります。FD研修では、基本的な社会人の知恵を身につけるワークショップを導入することが必要であると思いました。
●留学生のための国際学生寮について
 ようやくできて、富沢副学長を中心に運営方法が整備されています。海外との交流が中断していても、日本人学生だけでも募集していただくようにしました。
●国際交流について
 さらに積極的な展開が必要です。COILの後の企画も重要です。個別の交流協定の活発化と見直しが必要です。
●長期の将来計画
 国際会館、ミュージアムショップ、研究所群の組織化、シアター、ダイバーシティーカフェなどを視野に置いて将来計画を考えます。
●同窓会活動
 全学の同窓会が発足して山田会長が就任しました。これからの活動が期待されます。また、各同窓会からの大学へのご支援もいただいています。
●情報の伝達について
 大学全体の会議の議事録を公開し、常に教職員学生も読めるようにして、決定事項などを共有できる仕組みが必要です。教職員はそのことを意識して、当然の権利として要求する風土、文化を養うことも、一方で重要です。当面、今日のこの挨拶がどこまで伝わるかを、これから確認してみたいと思っています。そのために、この記事を読んだということだけでも、また、ご意見があればそれを、簡単に、下記の学長宛メールで送っていただきたく存じます。
 president@u-shizuoka-ken.ac.jp
●心身の健康に十分留意気を遣いながら、この一年を楽しく過ごしていただきたいと願っています。
 以上です。ありがとうございました。


 2021年度 秋期卒業式、学位授与式式辞
                             2021年9月28日
                        静岡県立大学学長 尾池和夫
 今日、学位授与された皆さん、おめでとうございます。静岡県立大学の教職員を代表してこころからお祝い申し上げます。皆さんそれぞれのご家族にもお慶び申し上げます。ご家族や友人たちの支援があって、また皆さんご自身の努力があって、今日の学位授与となりました。学習の長い道のりも思い出せば、きっとさまざまな場面での楽しいことが甦ってくることでしょう。今日得られた学位は、一生の宝であり、また宝であるようにこれからの人生で活かしていただきたいと思います。
 これからの世界は循環型社会をどのように構成するかということに関心があることになります。無駄を省くということが、あらゆる場面で課題となるのです。例えば、無駄な仕事をやめて働く時間を短くしつつ暮らしを豊かにするとか、無駄な食べ物を作らないようにしてゴミを減らすとか、無駄に資源を使わずに豊かな陸と海を守り、自然を大切にするというようなことが課題となるのです。国連の提唱するSDGsの目標を、一人ひとりが理解して何らかの行動をすることが、持続可能な社会の実現にやがてつながっていきます。
 今回の卒業式、学位授与式で学位を得られたのは、国際関係学部の4人の方、大学院博士後期課程薬食生命科学総合学府修了の3名の方、薬食生命科学総合学府に論文を提出して博士学位を得られた1名の方、合計8名の方々です。
 このうち博士学位取得の方々の論文審査報告を私も読ませていただきました。薬科学専攻の八幡憲治さんは、単一生細胞質量分析法を用いた研究をされ、同じく横山匡さんは、脳梗塞患者に見られる副作用の発現に関連する研究をされました。薬食生命科学専攻の仁平拓也さんは、薬物動態制御技術を応用する研究を行いました。
 また、論文博士の齋藤慎一さんは、製薬会社に所属しておられて、医薬品を製造する工程における品質を損なう要因となる傷害を研究対象とし、実生産での製造トラブル改善にまで寄与できる評価手法を見いだしました。私は20年前から循環器のトラブルで入退院を繰り返しており、細胞から脳梗塞、薬剤など、私自身がたいへん興味深い分野でもあって、いずれにしても個人的に興味を持つ内容でした。
 皆さんの長い年月の学習と研究の努力によって得られた学位です。学位の名にふさわしい職場を得られ、学習し、また研究してこられた分野の知恵を活かしながら、これから世界の舞台で活躍していただきたいと願っています。
 明日からは、この静岡県立大学が皆さんの母校です。母校の後輩たちのことにも思いを寄せて、大学の状況も時には気にかけていただきたいと思います。
 この大学では今年度、初めて理事長と学長を一体化させました。今年中に、公立大学法人と大学の事務機構を再編成して機能的な職場にします。そして来年度には仕事の内容を精査して無駄を省くことに取り組む所存です。日本の大学は危機感に乏しく、遅々として改革が進みませんが、大学は自らの努力で変革しなければならない組織です。
 大学を変えることが重要だと私は思っています。そのためには大学で仕事する職員の意識が変わることが重要です。教職員の一人ひとりが、大学のことを一所懸命考える人でなければなりません。今年は若手だけでなく、初めて年長の職員も公募して大学プロパーの職員を採用する方針です。
 これからの大学は、社会人が学習できる場でなければなりません。技術が高度に進んだ社会で活動するためには、時に新しい分野に関する新たな学習が重要になることが起こります。大学で学位を得られた皆さんは、こらからの生涯でも、常に学習歴を更新しながら、社会の状況の変化に対処して行かなければなりません。そのような時に、この母校でも、学習したい社会人のニーズを受け止めることができるようにしておくのが、これからの大学の役目となるはずです。そのような皆さんの目的にも合うような大学を私たちも目指していきたいと思っています。
 新型コロナウイルスによる感染症の行方がまだ明確には見えていません。皆さんにも学習と研究の上で、また課外活動などのキャンパスライフでも、たいへんなご不便を乗り越える努力をお願いすることになり、心苦しく思っております。どうか、今後とも心身の健康に十分留意されて、楽しく人生を送っていただきたいと思います。皆さんの未来を祝福して私の式辞といたします。
 ご卒業、学位授与、おめでとうございます。ありがとうございました。


 2021年度静岡県立大学入学式式辞
                             2021年4月8日木曜日
                         静岡県立大学学長 尾池和夫
 静岡県立大学短期大学部に入学の117名、学部に入学の684名、大学院博士前期課程に入学の122名、博士後期課程に入学の24名の方々、ご入学まことにおめでとうございます。静岡県立大学の役員、教職員を代表して皆さまをキャンパスに歓迎します。ご家族の皆さまにも、遠隔でのご参加ですが、こころからお祝い申し上げます。
 皆さんの中には、今年初めて選挙権を持つ方もいます。政治に関心を持ち、ニュースを読み、自分の考えを持ち、選挙を通して政治に参加する意識を持っていただきたいと思います。その際、2次的な情報源に偏ることなく、しっかりした新聞、公共放送の発信するニュースに接することが大切です。マスメディアの質を自ら判断することが大切です。
 大学生にはさまざまな特別の権利があります。当然ながら学習する権利は基本であり、学習は義務であるとも言えます。大学では、多くの教員が研究成果をもとに常に新しい知識を蓄え、皆さんの学習を支援します。授業では教員から蓄積された知識が解説されますが、ニュースと同じで、自ら原著論文を読み、理解を深めてください。そして、そこから生まれた疑問を、小さな疑問であっても大切にしてください。その疑問から未知の世界に入っていくことができます。そこから時には新しい学問の分野が生まれ、育てられます。
 皆さんは今日から、この大学で世界に目を向けながら、それぞれの未来に夢を描き、学習を始めます。静岡県には最高峰の富士山、駿河トラフの深い海、豊かな大地の里山と都市があります。その大地の仕組が理解していただけるように、私も地球科学者として知の蓄積を紹介していきたいと思っています。大学では、人類の知の蓄積を熟知した教員がいて、直接逢うことができるのが皆さんの特権です。大いにそれを利用して、研究成果を学ぶ機会を作ってください。
 大学生の特別な権利は、学習の他にもあります。例えば、さまざまな学生割引の制度があります。公共の乗り物の割引を使って、できるだけ多くの地域に出かけてください。そして大自然の景色の中で、独りでマスクを外して歩くことをおすすめします。感染症対策を利用して人生を愉しむ方法の一つです。
 静岡県には多くの河川があります。それらの河川敷を利用してたくさんの鯉幟を空に泳がせる企画があります。例えば静岡県中部では、島田市川根町家山の桜トンネルが知られています。今、満開の桜並木ですが、大井川を渡って鯉幟が泳ぎます。藤枝市の蓮花寺池(れんげじいけ)公園には間もなく見事な藤が見られますが、その池に鯉幟が渡されます。静岡市駿河区登呂の高松浄化センターの鯉のぼりもあります。
 伊豆半島ユネスコ世界ジオパークは、南から来た火山の贈りものというキャッチフレーズで知られる、日本列島に60万年ほど前に連結した火山群の大地の公園です。ジオパークの大地の成り立ちがわかる見どころを「ジオサイト」と呼びますが、それらを巡って伊豆半島の成り立ちを知って、地球の営みを身近に感じることができます。
 県立大学は静岡県という地域に貢献する大学であることを使命と思っています。その具体的な仕組みとして産学連携や地域連携の企画が実行されます。授業を通して、またプロジェクトに参加して、社会実装という形で、それを体験してほしいと思います。その体験が卒業後の皆さんの財産になります。
 これからの世界では、生涯健康を維持しながら、生涯学習を繰り返し、常に新しい知識を得ていくことが大切です。大学では、生涯、学習を続けることのできる能力を身につけてほしいと思います。社会人が学習することを支援するのも大学の役目です。国策としても、職業に必要な知識やスキルを、生涯を通じて身に付けるための社会人の学び直しの推進など、人生100年時代を見据えた生涯学習の推進に取り組んでいます。生涯学習を続けるためには、例えば、自国語を磨き、国際語としての英語をマスターし、できればもう一つの外国語を学ぶことを私はお勧めします。
 キャンパスの中も、時間を作って観察してみてください。小鹿(おしか)キャンパスは、草薙キャンパスから約5km離れた街中にあります。近隣には静岡済生会総合病院や特別支援学校、商店街があり、学生が暮らしやすい環境です。
 草薙キャンパスは、駿河湾を一望する標高307mの日本平の北の麓にあります。富士山が見渡せる丘の上に、本学のほか、静岡県立美術館があり、教育と文化の地域となっています。学生ホール、講堂、図書館がある半円形の広場に「コミュニティプラザ」を設けています。
 さらに上へ行くと、大学附属の薬用植物園があります。薬学部での学習に必要な植物の栽培、収穫、研究を行いながら、広く一般の県民などに生涯学習の場を提供することを目的に、1989年、静岡県立大学の開設と同時に設置されたもので、栽培植物約800種があります。一般にも開放しており、見本園、温室は見学自由です。見本園の植物には、植物名、学名、科名、薬局方などの名称、利用部位、利用目的、成分、産地、原産地が記されています。植物の中には猛毒のものもあるということも、そこで学んでほしいと思います。今、薬草園の桜、通草、翁草などが、皆さんを歓迎して咲いています。学長のブログでも、それらを紹介したいと思っています。薬草園のサイトで今月の花の紹介などを見て、ときには大学内の見学コースに入れてみてほしいと思います。
 皆さんは、静岡県というすばらしい環境の中で、これからの学園生活を大いに愉しんでほしいと思います。在学の期間はあっという間にすぎていきます。学習とともに大いに静岡県を歩いて、その魅力を世界に向かって発信する人となって卒業していただきたいと思っています。
 感染症拡大の中で、4月5日には学生向けの一斉メールで注意喚起を行いました。感染症を拡大させないための具体的な知恵を、皆さんにお伝えしたいと思います。
 まず、ご自分がウイルスを持っていると考えてください。感染させないために、マスクをして人との距離を保ちます。物に触るときには手を消毒します。今の新型コロナウイルスによる感染は、首から上の鼻、喉、目、たまに耳から入ったウイルスが粘膜に付いて起こります。自分が感染しないためには、首から上に触れる直前に手指を消毒します。
 その消毒の仕方が大切です。よくレストランの入口でアルコール消毒し、着席してからマスクを手で取る人がいますが、マスクにウイルスが付いていますから意味がありません。マスクを外した後、手指をアルコール消毒します。アルコール消毒の要点が3つあります。まず、アルコールの濃度が70パーセント以上であることが必要です。次に手が乾いていることが重要です。濡れているとアルコールが薄まるからです。3つめに、アルコール消毒して15秒後になってウイルスが1000分の1に減るということが重要です。その15秒を測るために、「ハッピバスデーツーユー」を1回唱います。これらを必ず守ることで自らが感染しないようにしてください。
 感染症の拡大の中で、感染させないように、また感染しないように、緊張感をもって対処しながら学習していただきたいと思います。心身の健康に充分留意され、学園生活を謳歌してくださるようにと祈り、私のお祝いの言葉とします。
 入学おめでとうございます。ありがとうございました。