sherry museum

<瓶熟したフィノはありか?>

まず、このウィズダム・フィノですが、
瓶詰めしたのが約2年以上前なので
決してフレッシュではありません。

つまり瓶熟したフィノとなるわけですが、
これは、はたして「あり」なのか?

全てのフィノがありではないですが、
少なくともこのウィズダム・フィノは「あり」です。

もちろん瓶詰め直後と比較し、
それと比べたら劣化していると言わざるをえませんが、

興味深いことに、ティオ・ペペのセカンド扱いの
ウィズダム・フィノだからこそ、ありだとも言えます。

シェリー酒を造る葡萄はパロミノ種という白葡萄で、
その土壌は特徴的なアルバリサという石灰土壌から得られ、
その石灰の含有量が多く、
鉄分を含む赤土などの含有量が少ないほど
上質なフィノにはいいとされます。
それらの条件を満たして作られたのがティオ・ペペですね。

ところが一方でこの条件に
当てはまらないものがあったとしたらどうでしょう?
それは葡萄の質が最上ではないという意味です。

そうした葡萄でもフィノは出来ますが、
ティオ・ペペのようなライト&スムースにはなりません。

故にゴンサレス・バヤス社の子会社である
ウィズダム社のフィノはセカンド・クラスのフィノとなります。

今回の瓶熟は、実はそこが「ミソ」です!


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ちょっと話がそれますが、日本酒に古酒というものがあります。
この古酒も、ただ古くなってしまった古酒と、
最初から古酒向きに醸造したものとに大別されます。

後者は岐阜の達磨正宗や千葉の木戸泉などがあり
個人的に好きな古酒でもあります。

これら古酒向きの日本酒に共通するのは
精米の時に吟醸のように米を過剰に削らないことや、
吟醸酒が好まない鉄分や銅などのを含む水を
あまり調整しないで使うということです。

古酒の場合、この削らない部分が酒質に厚みを与え、
調整し過ぎなかった水に含まれるミネラルが
香味に変化と幅を与えます。

実は、フィノのセカンドにもこれと同じ事が言えるのです。
そして、このウィズダム・フィノはそれに該当すると言えるでしょう。

逆を言えば、吟醸酒は古くなっても深みや幅は出ませんし、
その多くが早めに飲むことが求められています。
そしてこの吟醸酒の特徴はまたティオ・ペペに当てはまるのです。

つまり皮肉な部分ではあるのですが、
上質なフィノは瓶熟には向かず、
そのセカンドであるフィノは瓶熟にも向くのです。


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この数日、ウィズダム・フィノを飲んでいますが、
この秋という季節にあって美味しく頂いてます!

特に醤油系・ダシ系との料理との相性は
むしろ瓶熟したフィノだからこそ出せるマッチングで、
正月に向けてなら
【おせち料理】
に絶対あうと思います!


この寒い時期から、年末年始にかけて
ウィズダム・フィノお勧めです!

早速、中瀬家も家用に買うとしますかw

輸入元:岐阜オーケストラ