音声記録反訳書②「集合住宅・市営住宅とペット」 | 特定非営利活動法人C.O.N

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地域猫活動、公営住宅とペット、ペット防災、多頭飼育崩壊、高齢者とペット問題など、人と猫にまつわる様々な社会課題に取り組んでいます。高齢者とペットの安心プロジェクトは5年目になりました!人と動物が共に生きる、ワンウェルフェアの実現を目指しています。

シンポジウム「集合住宅・市営住宅とペット」

第1部 講演会

  現状報告

 

【司会】

それでは講演に先立ち、C.O.N理事の桑畑千尋さんに尼崎の現状を説明いただきます。。

桑畑さんは、C.O.Nの理事であり、また迷惑をかけないペットの飼い方を推進する会の副会長としても活動されています桑畑さん、よろしくお願いいたします。(拍手)

 

【桑畑】

本日は、お忙しい中お集まりくださいまして、まことにありがとうございます。

このたび、尼崎市の市営住宅において、ペット禁止条例が制定されるとの動きがあり、この問題についてお手持ちの資料をもとにお話しさせていただきたいと思います。

まず、資料の3ページをごらんください。こちらの資料3ページには、尼崎市は今年度より中核市としてスタートし、兵庫県下4位の人口を有し、全国においても屈指の人口集中地域となっています。市営住宅についての概要は256棟、97自治会、約1万800戸の世帯があり、入居率はほぼ100%となっています。

2008年の調査によりますと、市営住宅では犬383頭、猫208頭で、計689頭のペットが飼育されています。ただし、この数字は入居者の方々の自己申告によるもののため、隠れ飼育を考慮すると実際の飼育頭数はこの2倍から3倍と考えられています。

 

次の資料4ページをごらんください。こちらの全国犬猫飼育頭数によりますと、我が国では、2006年度を境に犬猫の飼育等数が15歳未満の子供の数を上回り、2008年度ではその傾向がさらに顕著となっています。その下のグラフ、全国ペット飼育率によりますと、国民の約30%の世帯が犬か猫を飼育しており、また約40%の世帯が何らかのペットを飼育しています。

これらの調査結果からも現代社会において、もはやペットは切り離すことができない存在であるといえます。

 

 

続きまして、5ページの資料が実際のケースですのでご参照ください。このようにペットは家族の一員として認識されていますが、ペット飼育禁止条例が制定され、一律にペット飼育禁止が実行されてしまいますと大変深刻な問題が発生いたします。

1つ目は、住民がどうしてもペットを手放すことができない場合、市営住宅からの退去を命じられることとなります。しかし、市営住宅はそもそも住宅困窮者に対し、低廉な家賃で住宅を供給することを目的としているものであり、その市営住宅入居者が民間の飼育可能の住宅へ引っ越すことは経済的事由からも極めて困難であり、退去により住宅そのものを失ってしまう可能性があります。

 

 

 

また、尼崎市はペット飼育禁止条例が制定された後、ペットを手放す意思のある入居者に対し、ペット里親のホームページを立ち上げ、譲渡の協力をしていくとしていますが、インターネットでも、情報誌でも、里親を探している子犬や子猫であふれています。ましてや、これまで市営住宅で飼われていた年をとった犬猫について、里親を見つけるなどということは、ほぼ不可能といえます。残された方法は、ペットを捨てるか、あるいは保健所へ持っていくかですが、ペットを遺棄する行為は罰金50万円以下の犯罪であり、また飼い主から捨てられるペットの悲劇は、まさに動物愛護法に反するような結果を招いてしまいます。

 

 

続いて、6ページの資料4をごらんください。全国自治体に引き取られた犬と猫の頭数、譲渡数、殺処分数を示していますが、全国で収容された犬猫の約90%が殺処分されています。平成20年度の尼崎市においては、収容された828頭の犬猫のうち、譲渡されたのはたった17頭の犬と2頭の子猫だけです。これが現実であり、保健所へ連れていくということはペットの命を奪うことにほかなりません。このようにペット飼育禁止条例は、ペットの処分か市営住宅からの退去かと、これまで家族として暮らしていたペットとの別れを強制し、またペットの命を奪おうとするものです。

 

 

次に、7ページから11ページに静岡県伊東市が行った市営住宅明け渡し、生活保護打ち切り事件に対する申し入れ書では、その追い出し措置などの具体的な流れが記載されています。尼崎市では、このような悲劇的な状況は何としても避けなければいけないと考えています。他方、一部の自治体ではペット共生住宅の建設など、ペットとの共生への動きも見られています。

 

12ページの資料をごらんください。12ページの資料にありますように、平成17年大阪府では公営住宅での「動物飼育自体を禁止する法令等の根拠は存在しない」とし、住民合意などの条件つきでペット飼育への門戸を開きました。核家族や少子化、高齢化が進む中、人と動物の関係は大きく変わってきました。平成15年の内閣府による動物愛護に関する世論調査によりますと、あなたは集合住宅で犬や猫を飼うことについてどのように考えていますかという問いに対して、58%の人が一定のルールを守れば飼ってもよいと思うと回答されています。

 

私たちは、公営住宅におけるペット飼育禁止について、根本的に見直さなければならない時期に来ているのではないでしょうか。ペットと、パートナーとして暮らしていくためにはその飼育マナーが問われることは言うまでもありません。しかし、その守られるべきマナーが守られていないことがさまざまなペット問題を引き起こしているのです。

そこで、私たち迷惑をかけないペットの飼い方を推進する会では、迷惑をかけないペットの飼い方に関するガイドラインを定め、これを広く地域に普及させ、適正なペット飼育を一人一人が実践することにより、人とペットが共生できる社会を実現していきたいと考え活動を始めています。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

 

 

【司会】

どうもありがとうございました。続きまして、今、尼崎の市営住宅で起きている問題について、住民の声を代表し、迷惑をかけないペットの飼い方を推進する会会長の藤村貴代美さんよりご報告いただきます。よろしくお願いいたします。

 

 

【藤村】

失礼いたします。数ある悲痛な声が届いております。その中のお一人のお手紙を代弁させていただきます。

今、管理会社からこのまま猫を手放さない場合は、月末には退去するように言われています。動物病院9カ所、ぱど、リビング新聞、携帯サイトなどで必死で里親探しをしていますが見つかりません。愛護団体にも連絡しましたが、吹田の団体には30万円、京都の団体には150万円の費用がかかると言われました。とても無理な金額です、2人の息子を抱える母子家庭で、ペット可能に引っ越せるような余裕はありません。ここで暮らしていくしかないのです。

悩んだ挙げ句に、私は猫を公園に捨てに行きました。夜中になって、心配で心配でいても立ってもいられなくなり公園に行くと、猫はその場所にうずくまったままでした。本当に何てひどい飼い主なんだと思いました。小学生の息子は、中学に入ったら、アルバイトをしてペットを飼えるところに引っ越すから、それまでリーを捨てんといてと言います。猫の命のために自分がしっかり動かなきゃとわかっていても、今は、元気がなくて愛護センターに電話をしたら、3日には処分されるよと言われました。

どうしても処分だけはできません。お忙しい中、申しわけありませんが力をかしてください、どうかよろしくお願いします、と、お手紙が届いております。

 

その後、彼女は夜も眠れず、現在体を崩しております。彼女の飼っている猫は去勢もしており、しつけもきちっとしており、放し飼いは一切しておりません。なぜ、家族として生活しているペットを処分しないといけないのでしょうか。

どうして、迷惑をかけずに飼っている方がこんな宣告を受けなければならないのでしょうか。迷惑をかけている飼い方をしている人だけの問題ではないでしょうか。迷惑をかけずに飼っている人と、迷惑をかけて飼っている人と、一つにまとめた禁止条例はおかしいとは思いませんか。

 

お金がないので市営住宅に住んでいます。引っ越しもできないペット家族です。どうぞ迷惑をかけずに飼っている入居者の声を聞いていただけないでしょうか。ちゃんと飼っている方への条件を提示して、ペットと住める生活を考え直していただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。以上です。(拍手)

 

 

【司会】どうもありがとうございました。

 

(続く)