カッサフォルテ犬猫コラム -116ページ目

僧帽弁閉鎖不全症の治療2

前回、僧帽弁閉鎖不全症に対しては投薬による治療が一般的とお話ししました。
今日は具体的にはどんな薬を与えていくのかをお話ししてみます。

どんな治療をしていくかは、
もちろん診断された時点での進行具合により変わります。
まだ咳などの症状が出ていない初期の段階では、
ACE阻害剤という種類のお薬を1日1回投与します。
このお薬は血管を広げることによって血液を流れやすくし、
心臓の負担を軽くするお薬です。
投薬を始めたらすごく元気になった!という類のお薬ではありませんが、
投薬を続けていくことで3年後、5年後の生存率に差が出てきます。
副作用はほとんどないといってもいいぐらいの安全なお薬です。
値段も高いものではありませんが、
投薬を開始したらその後ずっと続けていく必要があります。
心臓を治しているわけではなく、
負担を軽くして心臓を助けているだけのお薬なので、
突然やめてしまうと、元通りか、
下手をすると前よりも悪化することがあります。
支えられていい調子だったのが、
突然支えがなくなったと想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

僧帽弁閉鎖不全症の治療1

僧帽弁閉鎖不全症と診断されたらどんな治療をするのでしょう?
根治させるには手術をするしかありません。
壊れてしまった弁を人工のものに取り替える手術が一般的で、
人間の場合はほとんどの例で手術をするようです。
人間の場合は病気がわかってからの余命が長いので、
その間ずっと薬を飲むよりも手術をした方がQOLが高いからでしょう。
ワンちゃんでも同様の手術がありますし、
それができる病院も県内に何軒かあります。
しかし、ワンちゃんの場合は診断された時点で既に高齢であるケースが多いこと、
人間と違って実費負担になるのでかなりの高額になること、
などからなかなかその選択はできません。
実際は心臓を助ける薬を投与することによって負担を軽くし、
いい状態で生活できる期間を長くするのが目標になります。

僧帽弁閉鎖不全症の症状

今日は一番多い僧帽弁閉鎖不全症の症状について書いてみます。

初期にはほとんど症状がなく、
何となく以前に比べて疲れやすくなったなぁとか、
あまり長い時間運動しなくなったなぁという程度です。
単に年のせいかなと考えても仕方ないレベルですね。
この時点では聴診で小さな心雑音が聞こえたり、
レントゲンで心臓が正常よりも少し大きくなっていたりという程度です。

進行してくると、
明らかに運動を嫌がったり、
運動や興奮で呼吸が荒くなったり咳が出たりします。
この時点では明らかな心雑音が認められ、
レントゲンを撮ると心臓が大きくなっているのがわかります。
肺水腫になっていることもあります。
肺水腫とは肺の中に水が貯まった状態です。
心臓に問題があると血液の流れが悪くなり、
肺のところで滞った血液から液体成分がしみ出して肺に貯まるのです。

さらに進行すると安静にしていても呼吸がつらそうで咳が出たり、
動くことを嫌がったりします。
舌の色が紫になることもあります。
胸を圧迫すると苦しいために寝転がったりできず、
肘を開いた格好で座っていたりします。

もっと進行するとお腹の中に水が貯まってお腹がふくれたり、
体がむくんだりします。

この時点では聴診器を当てなくても、
胸を触っただけで心雑音がわかる場合もあります。
レントゲンを撮ると心臓がかなり大きくなっているのがわかり、
肺水腫も起こしているのがほとんどです。
ここまで来ると、直ちに治療を始めなければ生命に関わります。