第5回合不合判定テスト(2022年11月6日実施)その3
今回は、第5回合不合判定テスト(2022年11月6日実施)について取り上げます。前々回で詳しく述べておりますが、以下の3点で、あまり合否判定には向いていないテストでした。
1.平均点が低すぎる
2.作業量が多すぎる
3.読解力とは関係のないところでミスを誘発する問題もあった
出典:寺尾 沙穂の文章より
しかし、受け終わった後、いかに復習するかという点で言えば、学べることはたくさんある教材だったと言えます。今回は、大問1の随筆文について、「② 各小問の解き方(抜粋)」を取り上げます。
① 初読のときにつかんでおけたら嬉しい情報(前回に取り上げております。)
② 各小問の解き方(抜粋)
① 各小問の解き方(抜粋)
随筆は、次の2つの要素があります。
1. 筆者が過去に経験したことを (経験パート)
2. 現在の筆者の視点でふりかえる(ふりかえりパート)
各小問が、上記のどちらを問うものなのかにも触れつつ進めます。
問1の1
経験パートからの出題です。物語文として解けます。
「腹立ちまぎれに」という言葉の意味を問う問題です。直後に、「どれだけ伝記を読んだってピアノなんかうまくならないのよ」という母親の怒りが読み取れるセリフがあります。したがって、母は怒っていることになるので、「腹立ちが高じて」が正解です。
※「腹立ちが高じて」とは、「あまりに腹が立ったので=非常に怒ったので」という意味で、選択肢自体が難しいと言えます。
問1の2
経験パートからの出題です。物語文として解けます。
母が怒った理由が問われています。
①傍線直前の「そういうものに触れてほしかったのであろう」に着目
➁指示語なので、前を見る。『巌窟王』『ガルガンチュア物語』
③抽象化すると、文学
④文学全集をわざわざ実家から取り寄せてまで、「触れてほしい=読んでほしい」
⑤筆者は、作曲家の伝記本ばかり読む
※これが、「どれだけ伝記を読んだってピアノなんかうまくならないのよ」につながります。
以上をまとめます。ポイントは、上記①から⑤に行くにしたがって、徐々に傍線から離れているということです。傍線の近くから徐々に情報を集めていく姿勢が重要です。最初から文章全体が見える子は、偏差値70以上の常連の中のさらに10%程度です。
問2
ふりかえりパートからの出題です。過去の経験のどの部分をふりかえっているかを考える必要があります。
「気の進まないものは進まない」という、経験パートにおける心情をふりかえっています。「好きなものは好き、嫌いなものは嫌い」という方向性の選択肢を選べば正解です。
問3の1
経験パートからの出題です。物語文として解けます。
ハンスの人物像を問う問題です。物語文において、人物像の把握は必須です。
初読段階での線引きの有無が、解答スピードを左右します。
※「(1)22字と(2)25字」という字数制限ですが、(2)の方が(1)よりも本文では先に出てきます。ここで逆にして書いたお子様が、一定数いたようです。
問3の2
ふりかえりパートからの出題です。
ハンスが殺された理由が問われています。
①傍線部の「失う」の言いかえを探す
➁そうしたことがこの時代、命とりにつながったのだ。(43行目)
③指示内容は、問3の1の(2)で答えた人物像
④人物像が理由で殺された⇒問3の1の(1)で答えた人物像も加味する
⑤(1)から、「孤独」、(2)から、「薬草に精通」を抽出
⑥聖はたやすく俗に引きずり降ろされ、悪魔の烙印を押された(44行目)
⇒大きな偏見(39行目)
上記のいずれも含んだ選択肢を選びます。
ウは、「人々がハンスに対して偏見を抱いていた」という要素が弱いので、×です。
考慮すべき点が多い、超難問です。
「文章全体の趣旨を踏まえれば解ける」は、後出しジャンケンの類なので、私は言いたくありません。しっかり、傍線から徐々に離れて、答えの根拠を見つけることが可能です。「問3の1」を誘導として使えないと、かなり厳しい問題です。
問6
ふりかえりパートからの出題です。
「魔女狩りのはじまり」の具体的な言いかえを問う問題です。
①傍線部を含む一文の「それ」に着目
➁指示内容は、「『はっきりしないことば』で断る」
⇒ここまでは、経験パート。以下が、ふりかえり。
③傍線部の直後の、「理由もはっきり言えないまま漠然と人は集団の文化や常識のなかで、自他を比較し、バランスを取りながら生きている」
以上より、「集団の中で、理由もはっきりしないまま何となく生きている」という方向性の選択肢を選べば正解です。傍線を含む一文をヒントにしつつ、傍線の前後を見れば解ける、読解の王道の問題です。
問10
ふりかえりパートからの出題です。
設問の中の、「自分のことを省みて」が、「過去の経験をふりかえっている部分を探してね」という誘導です。「こうして振り返ってみると」(63行目)に、初読段階で気付けていたかどうか。
随筆の読み方を知らないと、全く意味が分からない問題です。良問です。
問12
本文全体における過去の経験の重ね合わせを問う問題です。
ハンス=エスベンの母=その他大勢の葬られし異端者=きよしさん(異端児)=黒人たち
と、いずれも、異端とされた人々についての経験であることが読み取れます。異端とされた人々が、暗い境遇の中で、後に続く人々の希望を残していたことを、筆者は最後に振り返っています。
初読段階での深い理解が求められる、超難問です。
いかがでしたか?
超難問を除けば、傍線の近くから徐々に離れて答えの根拠を見つけるというところは共通していました。
本文全体の把握は難しくても、傍線の近くに食らいついて解く姿勢は、日々の問題演習を通して養うことができます。入試まで3カ月を切っていますが、あきらめず、1つ1つの問題演習を丁寧に行っていきましょう!
次回記事では、大問2(説明文)の解き方をご紹介します。今しばらくお待ちくださいませ!
最後までお読みくださって、ありがとうございます。
何か知りたい情報がありましたら、下記の無料学習相談をご利用ください。
(例)「〇〇中学を志望する場合に、小4などの早い段階からできることがあれば教えてほしい」
Zoomを使った、30分程度の無料学習相談を受け付けています。
直近の模試の結果等も事前にお送りいただければ、より効果的なアドバイスを差し上げることが可能です。
お問い合わせはこちらから
※2023年1月まで、レギュラー授業の枠は埋まっておりますが、今後の受講の有無にかかわらず、お気軽にお問い合わせください。
↑クリックして、応援していただけると励みになります。よろしくお願いいたします!