天然もの持って行きます!


「天然もの持って行きます!」と嬉々とした声で後輩から電話連絡が入り、車だったこともあり「何時に来る?」とだけ伝えて確認し、急いで茅ヶ崎へと戻ったのでした。

春の季節の旬・・・しかも「天然物」といったら何になるのかと思い始めたのは、鎌倉からの海岸線の渋滞に嵌ったせいでした。

春の旬に思いを馳せるも「キャベツ・シイタケ・玉ねぎ・蕗(ふき)・筍」などの野菜が直ぐに思い浮かび、これらを天然ものとは呼ばないしなぁとなり、どう考えても魚系だよなぁ・・・から思い浮かんだのは、漢字そのままの「鰆(さわら)」と「あさり」だったのですが、あっ!と閃いたのは「桜鯛」のことで、これならお目出度い魚でもあり、嬉々として天然物が手に入ったと連絡してくるのも合点がいくぞとなっていました。

自宅の駐車場に車を入れるのと同じタイミングでやって来た後輩に「ちーす」とご機嫌な挨拶をしながらバックで駐車をして車を降りたのですが、奴はコンビニ袋を抱えているだけで、イメージしていた発砲スチロールを持った姿はどこにもありませんでした。

それでもそんなことを然して気にすることもなく、一緒に部屋に入ると「天然もののお土産っす」と手にしていたコンビニ袋をそのまま手渡たされたのですが、どう考えても持った感じは桜鯛の重みではなく「ムン?」となっていたのでした。

天然ものと養殖もの


この直後、ボクは袋の中身を開けながら・・・いや実際には、温かいその中身に「天然ものを調理済み?」と思うも、何か変だぞと思いながら包みを開くと、春霞のような白い湯気をあげた「たい焼き」が姿を現したのでした。

「たい焼き」は大好物なので手土産には嬉しくも、思わず「天然モノって?」と後輩に尋ねると「一丁焼きのたい焼きですからね」とどこか誇らし気に奴は言ったのでした。

そしてボクは、奴に「天然物」の謎を教えて貰うことになったのでした。

たい焼きは、鯛を型取りした金属製の焼き型で焼いて作られますが、この「焼き型」には、1匹ずつ丁寧に焼き上げる型(一丁焼き)と、複数匹を一度に焼き上げる型の2種類があり、たい焼き通によると「一丁焼きは、天然物」と呼ばれ、「複数匹を焼くものを養殖物」と呼ぶのだそうです。

「わし知らんがなそんなこと」と思うも、後輩はボクのことなどお構いなしに語り続け、「天然物と養殖物は焼き方が違うので、中の火の通り方で味も違ってくるし、皮の焼き上がりも違い、やっぱり天然物の高温でカリッと焼くのが美味いっすよね」と言い切ったのでした。

「確かに一丁焼きって、重そうな焼き型をひっくり返したり位置を入れ替えたりして鋳物同士がガチャガチャぶつかる音がして大変そうだよな」と呟くと、東京の下町では一丁焼きに拘っている店が多いのだと教えてくれたのでした。

重ね重ね・・・わし知らんがなそんなこと・・・





なぜ「鯛」なのか ...


正直「桜鯛を蒸して一杯やりながら食べるか、鯛めしかなぁ・・・」などと思い込んでしまっていたため、ハト豆状態でたい焼きにかぶり付いたのですが、そんなボクに奴は「あっ!」と驚きの声をあげ、たい焼き博士の称号を贈りたくなる、こんなお話しを続けて教えてくれたのでした。

たい焼きは、明治時代以降に作られたものらしいのですが、「しっぽまで餡子が入っているか・しっぽまで餡子が入っているべきか否か」について、文学者を巻き込んだ「たい焼き論争」が巻き起こったのだそうです。

元々は、直木賞受賞作家で演芸評論家の安藤鶴夫さんという方が、「たい焼きは、しっぽまで餡子が入っているのが美味しい」という趣旨の話を読売新聞に書いたところ、様々な賛否があり、あーだ・こーだの「たい焼き論争」になっていったのだそうです。

・甘い餡子を食べた最後の口直しにするため、しっぽに餡子を入れるべきではない。
・しっぽの先まで餡子が入っていないと、損をしたような気がするので入れるべき。
・しっぽまで餡子が入っていることで、値打ち感のアップなどの差別化が図れる。
・しっぽは指でつまんで食べるための持ち手であり、最後に捨ててしまうものなので餡子は無いのが正式である。

・・・と、たい焼きは、頭から食べるのが正統か、しっぽから食べるのが正統かという議論も繰り広げられたのだそうです。

そして、この時ボクは完全に無意識ながらしっぽから食べ始めたのですが、奴は頭から食べるのが正式な食べ方だと思っているらしく、ボクの姿に「あっ!」と声をあげたことが分かったのでした。

そしてボクはまたしても「わし知らんがなそんなこと・・・」と思いつつ、お茶を入れに台所に向かい、冷蔵庫のなかのお新香を一緒にお盆に乗せることになったのでした。

天然物でも養殖物でも三時のおやつにたい焼きが出て来たら「やったね!」となるのは間違いなく、「美味しかったご馳走さん」と奴に声を掛け、漬かり過ぎみの糠漬けのキュウリとカブを口に放り込み、口内の甘さを程好く消して「どっちでもいいがな」の言葉と一緒に渋茶を流し込んだのでした。

しかし・・・たい焼きは今川焼から派生したものだとは想像出来るのですが、なぜ「鯛」の形が選ばれたのでしょうか・・・










笑顔の行方を見つめて

all written by  Career wing  T.Yoshida@ponyo




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