1歳3か月を迎えた娘。
1歳の誕生日を迎えてから少しずつひとり歩きを始め、
今では、家中を裸足で駆け回るようになりました。

先日、私の父が娘に『ファーストシューズ』をプレゼントしてくれました。

その日、私の母がこんな話を聞かせてくれました。

私の父は、産まれてすぐに戦争で父親を亡くしました。
母親の手ひとつで育てられた父は、裕福とは言えない暮らしをしていました。
着るものも食べるものも十分には与えられませんでした。
幼少の頃、周りはみんな『靴』を履いて学校に通っていましたが、
父だけが『草履』を履いていたそうです。
しかし、父は一言も母親に文句や泣き言を言ったことはないそうです。
「母ちゃん、僕が大きくなったら、母ちゃんや姉ちゃんに靴を買ってやるんだ。
だから僕は、早く働きたいんだ」
そう言っていたそうです。

父は、日本の技術を支える「ものづくり」の現場で40年働き続けました。
定年退職後すぐに、父は脳出血を患い、右半身不随になりました。
何十年も履き続けてきた靴で、杖をつきながら今でも歩く練習をしています。


娘が1歳の誕生日を迎えた時に、父は母にこう言ったそうです。
「体が不自由な私は、孫に十分なことをしてやれない。
でも、孫が歩くようになったら、『靴』を買ってやりたいんだ」と。



娘は、初めて自分の靴を手にした日の夜、
その靴を自分の枕元に置いて、幸せそうに眠っていました。
今日は、その靴を履いて、公園を駆け回っていました。

娘へ―――。

モノを大切に。
そのモノに託された「思い」を大切に。

あなたの周りに当たり前のようにあるモノには、
多くの人たちの努力や苦労、喜びがたくさんつまっているんだね。