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こちらは、私がアメリカ在住時代の体験のエッセイです。20年近いアメリカ生活、めったに日本人が行かないような田舎町まで、足を延ばしたものです。そんな私のアメリカン・ライフの一コマ。どうぞお楽しみください。(アンティークショップ・キャラメルデザインのブログに、掲載したものを元にしています。)↓ 宜しかったらこちらもどうぞ。

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2013年までのブログは、アメリカ生活のものとなっています。その後、信州ライフのブログです。

 

ウッドバインのさよならカフェ

 

 

わたしの住んでいる、カンザス州、ウィチタの町から北に2時間程ドライブ、ちいさなちいさな田舎町へ観光がてらアンティーク品の仕入れに行ってきました。アメリカ大陸地図の、ちょうど真ん中あたりです。

 

 

そんな中では、仕入れの様子を画像に撮る余裕はありませんが、今回は、小旅行がてら、のんびりお昼に到着予定、カメラ持参で出発しました。お天気もよく、ウキウキ田舎道をドライブです。

 

 

仕入れも、街中の人気のあるディーラーさん主催のお屋敷開放セールだったりしますと、早朝から列が出来る程、混み合っているのがほとんどです。アンティークチェアーだけ集めている人、ルーペ持参でジュエリー専門、、、南北戦争歴史もの、みなさんお目当てが、色々あるわけです。


 

途中の田舎風景の中には、今にも大草原のちいさな家のローラが出てきそうな、古い木造の“ほったて小屋”が、あちらこちらにあります。斜めに傾いていたり、ドアが壊れていたり、今はもう使用されておらず、原っぱの中にただじっと、たたずんでいる小屋たちです。

「これ、今年の冬を越せるのかしら?」

と、突風のふきすさむカンザスの冬をふと思いながら、さらに車を走らせ、ウッドバインという、ちいさな町に入って行きます。舗装もされていないメインストリートには、まったく人気がありません。そろそろと車を走らせ、お目当てのちいさなヴィクトリアンハウスを見つけました。ブルーグレーの壁に、白枠が洒落た窓、こじんまりとしたドア。100年程前に建てられたお家です。今日は、このお宅でアンティークやその他もろもろの、お家開放セールをしているのです。

 

 

わくわくしながら、中に入ってきます。最初に目についたのが、日本のお人形、そして中国のお皿など、アジアンなものが多いお宅。わたしの頭の中のイメージとかなり違う品揃え、理解不可能なのです。街中で米軍基地があるあたりなら、米軍兵士と結婚して、外国からやって来た方はいます。でも、こんな地の果てみたいな田舎で? お家の中でセールのお手伝いしている人たちは、みな白人です。アジア人は見当たりません。

 

 

色々疑問に思いながらも、「ああ、素敵~!」と、大きなアンティーク・アーモアにうっとり。
濃い茶色、とても背の高いアンティークの戸棚です。トップにはカーブ(彫り模様)の飾りがあり、何の木を使用しているのでしょうか、とても迫力があります。こんな素敵なアーモアには、アンティークリネンをたくさん収納したい、、、と頭の中で想像が膨らみます。幅のあるこの棚には、アンティーク・リネンキャビネットのように、リネンを広げたまま、しまえそうです。(日本の着物箪笥を想像してください)とてもしっかりしたつくりでしたので、思わず自分用に買い取ろうかと思いましたが、ガマンガマン。

 

 

そんなわたしを誘惑するかのように、色々素敵なアンティークファニチャーが登場します。キャビネット、ガラスケース、セクレタリーデスク、木製の昔の冷蔵庫なるもの、、、他にもゴロゴロあります。

 

「お品は購入された方がご自分で運んでください。」

 


という張り紙に、わかっていても涙。運送業者どころか、レンタカーもない小さな町です。そしてこうこう個人宅でのセールでは、まず、自前トラックでやってきていない限り、大物の購入は無理なのです。カンザスの人はみんな、自分のトラックを持っています。

 

 

南カリフォルニアに住んでいた頃、トラックを持っているのは、大体がサーファーの人たちでした。サーフボードをぼんと後ろに乗せ、海へ向かいます。カンザスですと同じトラックの荷台には、石とか土とか、干草とかがあります。土地柄がトラックの荷台にあらわれます。

 

 

家具はあきらめ、結局、小物を数点仕入れ、セールの様子の写真を少し撮らせてもらい、そのお家にいたおば様方とおしゃべりを楽しみました。そしておなかが空いたので、ちいさなカフェを紹介してもらいました。道を尋ねている最中、みんな「大丈夫、カフェは1つしかないから、迷いようがない。」と言った感じで、自信満々に、めちゃくちゃな道順の解説!

 

 

カフェまでの道を3通りもいっぺんに教えてもらい、混乱気味のわたし。でも、これぞ田舎の親切なおば様たちなのでしょう。途中、寄り道をし、写真をとったり、昔の小学校の廃墟だという、古く立派な建物を外から眺めたり、のんびり観光していたため、カフェについたら、ランチタイムはとっくに終了、夕方のディナータイムまで開かないようです。

 

 

「ドア開いてない~、ランチは、2時までだって~!」

と一緒にいた、だんなに叫ぶわたし。

 

「横のドアから入ってらっしゃいな。」 

と中から呼ぶ声が。。。

 


きょろきょろしながら、入っていきますと、中はとてもアットホームな雰囲気。ひまわりの花、釣り竿や川の絵などが、ところ狭しとディスプレイされています。誰か釣り好きなのかな、と思わせる光景です。

 

 

「ランチ終わっちゃったから、今コーヒーとチーズケーキしかないけど、いい?」
と、カフェの女主人らしき人に聞かれ、「じゃあ、、、。」 と2人分頼みました。チェリーのジャムがのった、その一口大のチーズケーキとブラックコーヒー、予想外にとてもおいしい!

 

 

 

 

この大柄な金髪の女主人は、ちょっとクセのある英語で気さくに話かけてきます。もう50歳くらいは行っているのでしょうか?


わたしとダンナに、

「なんでカンザスに来たの?」 と聞く彼女。

「仕事で、、、」 と答えるダンナ。

「仕事があって来るならいいわね、わたしドイツ人よ!」 

「!?」 理解に苦しむわたしのダンナ。

わたしには、すぐにわかりました。

この唐突な、「わたしドイツ人よ!」 があらわす全て。

もともと自分の国にいて、その国の言葉を苦労なく話すあなた、
少し土地が変わっても仕事があって、まだまだ、自分の努力を
充分に活かせる環境にある、ということなのです。

わたし、ドイツ人よ!の裏には、英語の勉強、外国生活になれるための苦労、全てが凝縮されているのです。そしてわたしの想像通り、このカフェの女主人は、彼女のこの26年間のアメリカ暮らしを語り始めました。たっぷりのユーモアを込めて。

 

 

26年前に、当時ドイツ駐在だった米軍兵士と恋に落ちた彼女。ドイツより彼の故郷である、このカンザスの小さな町へ結婚しやって来ます。二人でカフェを始める準備をし、もう少しでオープン、まで来た時、彼は、また突然ドイツ転任となり、彼女をアメリカに残したまま去っていきます。 

 

だから、カフェの名前がドイツ語でさよならの、AUFWIEDERSEHEN”。ヤケクソでつけた名前みたいです。当時、英語もろくに話せず、家族も友人もいなかった彼女、アメリカ大陸のド真ん中に取り残され、唯一残ったのは、田舎でほとんど価値もない開店前のカフェの土地と建物のみ。

 

普通この立場になったら、国に帰りますよね。でも、彼女は、ドイツ家庭料理を出すカフェとして頑張り、ここで見事に生き残ったのです。再婚もして子供にも恵まれ、今はお嬢さんと2人で、このカフェを切り盛りしています。お孫さんもたくさんいるそうです。

「今は、ここに根をはって、もうドイツに帰ろうとは思わない。」

と人生の半分以上をアメリカで過ごした彼女のコメントでした。

ちなみに、彼女から去ったもとのだんなさん、その後またドイツからドイツ人女性を引き連れて帰国したと、風の便りだったそうです。

「懲りない人よね~~!!」 と、笑う彼女。

そして、わたしを見て、「ほにゃららさん宅のお孫さん?」と聞いてきました。そのほにゃららさん宅とは、先ほどのセールのヴィクトリアンのお宅です。

「違いますけど、どうして?」 彼女からの、以外な質問に、とても興味がわきました。

「あのお宅のおじいさんは中国人だったのよ。奥さんはアメリカ人(白人)だけど。」と彼女は言いました。


そしてあのセールのお品は彼らの長年のコレクションだったそうです。だから、日本や中国のお品があったんだ、と今納得。(わたし日本人だけど、と心の中で思いつつ。)そして、なんでこんな田舎で、白人しかいないような町、しかも大昔の白人のお嬢様に、中国人男性が向かえ入れられたのか?謎は深まりますが、結局は、1800年代に、アメリカに敷かれた、サンタフェ・トレイルや、ユニオンパシフィック鉄道の歴史がてを語ります。

 

このアメリカ大陸を横断する鉄道を敷いたのは、その多くが中国からの当時の労働者たちでした。この町にも、1880年代からの当時からの古い鉄道路線がありました。そういった流れで中国からやって来た家族のファミリーの子孫の男性と恋に落ちたのがその女性だったようです。年齢不詳ですが、多分100歳くらい、かなりのご高齢のようです。夫であった中国人のおじいさんのほうは、もうかなり前に亡くなっているそうです。

 

この町のキャッチフレーズが、「鉄道と旧街道が交差する町」 なるほど。

 

ケーキとコーヒー代を女主人にたずねたら、あっさり、「いらない。」 と言われました。

最初から、どこか遠くから尋ねて来たであろう、わたしたちに、サービスするつもりだったんだ。ハッと、その時わかりました。ありがとうの気持ちとして、チップを数ドル、テーブルの上に置いた後、お礼を言い外に出ました。

 

 

 

 


木陰にポツンとある、カフェの手描き看板。あたりは、人も車もなく、シーンと静まり返っています。わたしは、ぼんやり思いました。町中が全員知り合いみたいな小さな町。そんな小さな町でも、みんな色々なドラマがあって、毎日頑張って生きている。今日出会ったこの町の人々は、みんな温かくて素敵な人たちでした。

最後に、あのカフェのオーナーさんから聞いた言葉にびっくり仰天しましたが。


「ああ、あのほにゃららさん、アンティークのコレクションが多すぎて、

それを収納するために、違う家をもう2軒買ったばかりなのよ!」

 

 

END


 

 

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