トラブル修理-BMW528i(F10)エンジンがかからない→下手すりゃ車両火災だったという恐怖 | フリークのブログ

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「それって幾らになるの??」にも、明確にお答えします(^^)

1月4日にヘルプの電話。

 

「エンジンはキュルキュルいうんですが、エンジンが全くかからないんで、診て欲しい!」

 

聞けば、

元々バッテリーが弱かった様で、バッテリー電圧低下の警告メッセージがメーターパネル内に表示されていたそうですが、その時は運悪く帰省中だったそうで。

「愛媛に帰ったらバッテリー交換しよう!」と思い、お正月休みも終わろうとする1月3日にフェリーで愛媛へ。

 

そしてまさかの、

フェリーから降りようとする際にエンジン始動不良。

 

ジャンプスタートしようとボンネット内からアクセス。

それでもダメだという事で、トランク内のバッテリーにも直接アクセスし試すも、クランキングするだけで初爆は一切無く、始動する気配は全く無し。

しかも途中でボンネットの内側から煙が出て、もの凄く焦げ臭かったとのこと。

 

フェリー会社にもフェリー利用のお客様にも、大迷惑をかけてしまったそうです。

 

 

結局、レッカーにはフェリー内まで入って貰い、そこで四輪浮かしてからのレッカー移動。

運ばれた先の整備工場さん?でも色々試したそうですが、結局いずれの方法を試すも始動せず。

 

 

仕方なくディーラーに電話するも電話は繋がらず。

 

比較的自宅から近くにあるという事で、フリークに搬入許可の連絡を頂きました。

 

 

 

 

フリークに運ばれて来ました。

クランキングしようにもバッテリーが既にお亡くなりの模様・・・

 

 

 

診断しようにも、バッツン、バッツン、電源落ちます。

落ちる直前にはこのメッセージ。

 

 

 

先にバッテリーの健康状態からチェック。

 

 

 

純正バッテリーですが・・・

 

 

 

2010年の38週目!?

 

えぇーーー!!!

このバッテリーって、もう10年以上も使用しているの!?

 

ただでさえ「低電圧」という事に弱い輸入車に、10年以上使用したバッテリー!?

しかも驚きなのは、このBMWは大手中古車販売で購入してからまだ半年も経っていないという事。

 

 

 

 

安定化電源を繋いで診断。

フォルトだらけ~!!

 

 

 

一先ず記録を残しておいてから一旦フォルト消去。

再度診断をして残ったフォルトがこれ。

 

 

 

ターミナル15及び30、そしてCAS辺りに原因がある模様。

 

 

 

ウェイクアップに関する所から順番に診て行きます。

 

 

 

取っ掛かりはマキシスでスタートし、

正確な診断を求めてISTAも繋ぎ、

更にKTSも接続して、ターミナル15や30に関わる箇所に付いて、何かしらヒントを提供してくれたらその全てをチェック。

そうやって進めて行く中で辿り着いたのが、

 

 

 

これ!

名称は「インテグレーテッドサプライモジュール」。

 (以下、サプライモジュールと略します)

ちなみに部品代は17,300円と消費税。

つまり、ほぼ2万円。

どう考えてもこいつが怪しい!

 

 

 

取り外してみました。

ところで、この膨らみの中には何が入っているのだ??

 

基盤と言うならこれだけの厚みは必要無いし、熱抜きの蓋があるから、何かしら特殊なリレーの様な物が入っているのなら、焼けなどでも確認出来れば少しでも確証に繋げる事が出来る・・・

 

しかし、完璧に囲まれていて中を覗き見る事も出来ない構造・・・

 

でもね、大好きな「警察24時」みたいに、「ホシ」を挙げたい訳なのですよ!

 

 

 

家宅捜索します!!

 

 

 

じゃじゃーーーん!!!

なんじゃーーーい!!!

普通のヒューズなんかーーーーい!!!!

 

 

 

「ホシ」発見です!!

 

このヒューズが飛んだせいで火花が飛ばず、初爆も起こらないという状態になっていました。

 

 

 

同型ヒューズを装着して取付。

エンジンは一発始動!!

 

あとは10年物のビンテージバッテリーを交換するだけ!

 

 

 

コーキングを打って、

 

 

 

開封を隠蔽(笑)

 

色々繋いでクランキングしまくったせいで、モジュール内部の15Aヒューズが飛んだのでしょう!

 

 

 

ってね、思っていた訳ですよ。

 

 

 

だって、

全部元に戻してから何度かエンジン掛けたけど、全く問題無く掛かる訳ですから。

 

 

 

ねえ、トラブルが発生するのって、どうして納車の当日なの??

 

 

 

またまたエンジンが掛からなくなった訳ですよ。

前日まであんなに調子良かったのに。

症状は以前と同様。

バッテリーは新品だからクランキングはとっても調子良いリズムだけど、初爆が全く無い。

 

そして、インマニの奥から煙がポワ~って。

しかも、メチャクチャ焦げ臭い!

 

 

再びサプライモジュールを取り外してコーキングを開封すると、やっぱりあの15Aヒューズが飛んでいる!

 

度重なるクランキングが引き金になって起ったトラブルは、実は別の所に潜んでいた訳です!!

いわゆる、「黒幕」が居たのですね。

 

 

 

 

インマニ取り外し。

 

 

 

黒幕は彼です!

ブローバイガスを温めるヒーターです。

 

 

 

取り外すと強烈な焦げた臭い!!

 

 

 

 

元々熱に強い素材なので酷く溶けたりはしていませんが、一部が溶解しているのが分かります。

 

 

 

サプライモジュールの一部にちょっと細工を施し、

この回路に何A流れるのかをチェックしようとすると・・・、

 

 

 

おいおい・・・

 

 

 

おいおいおい・・・・・

 

 

 

ほんの一瞬でこんな事に!!

 

電流計は瞬く間に表示限界の30Aを超え、ブレーカーヒューズのブレーカーがポンッ!

 

 

 

更に溶けました。

そして工場内のみならず、扉で仕切っている事務所内まで物凄い異臭!!

 

パーツ自体はヒーターハウジングだからこのレベルで収まっているものの、装着されている場所はオイルの混じるブローバイガスの通り道。

15Aヒューズが飛ぶのが早いか、オイルに火が付くのが早いか。

 

もしもフェリー内で車両火災なんて出そうものなら・・・

考えただけで恐ろしい。

 

実際にこの部品が原因で車両火災が発生、そしてリコールに繋がっています。

 

リコールの届け出内容は以下の通りです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

エンジンのブローバイガス還元装置において、ブローバイガスヒーターの成形加工が不適切なため、外装樹脂にクラックが発生するものがある。そのため、クラックに水分が浸入すると、クラックが拡大し樹脂内部にある電熱線ヒーターの回路がショートして警告灯が点灯し、そのまま使用を続けると、ヒーターが異常発熱して外装が溶け、最悪の場合、火災に至るおそれがある。
不具合は14件発生、火災事故が2件起きている。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ただ、当該車両はこちらのリコール対象外であるし、そもそも部品の不良ではなく、恐らく極端なクランキングの連続が原因で内部がショートし煙が出たりヒューズが飛んだりという流れ。

 

ちなみに燃えそうになったヒーターは、

 

 

 

0.4Ω

ショートしています。

流石にここまでなったのは、最後に行ったテストがトドメを刺したのでしょうが、ここまで陥落するまでに幾つかのステップを踏みながら少しずつ完全ショートに近付いて行ったのだと思われます。

 

今回、非分解構造のサプライモジュールの頭をカットして中身のヒューズだけ交換しているからいいものの、毎回毎回サプライモジュール交換していたら恐ろしい金額になっていたでしょうし、サプライモジュール内に細工をして煙が出たから「ホシ」に辿り着いたものの、セオリー通りに作業していたら未解決案件になっていたかも知れません。

 

やはり、多少の冒険は必要という訳です。

 

 

 

新旧比較。

 

 

 

新品の抵抗は、

 

 

 

約4Ω。

 

 

 

新しいヒーターに交換し、サプライモジュールの該当ヒューズにアンペア計を取り付けて、電流の流れを見てみます。

 

写真が間に合いませんでしたが、始動直後は3Aが流れ、

少しして1.7Aまで落ちて来ました。

 

 

 

最終は0.8~0.9Aで安定です。

その後は状況を変えても電流値は安定。

試運転も問題無し。

 

手元に新品のサプライモジュールはありますが、お客様負担を減らす為新品交換はせず、再びコーキングにて蓋をし、点検の流れで取り外していた全ての物を元に戻して作業終了です。

 

 

 

それにしてもこのF10。

購入して半年も経っていないという事は既に触れましたが、

 

 

 

 

 

 

 

冷却水、漏れています。

原因はラジエータ本体かも。

車体下やアンダーカバーを見る限り、結構前から漏れている模様。

 

あと、ATの変速フィーリングも違和感あり。

 

今回の件だって、そもそも販売時点でバッテリーを交換してくれていたら起こらなかったトラブルでしょう。

 

 

「どんな風に使われていたか分からない中古車だからこそ、新車以上の安心を。」 

とは、

このF10を販売した大手中古車販売会社のホームページに記載されている言葉です。

 

しかし、

 

これに続く言葉は、

「このような想いから、〇〇〇〇では納車前に徹底的な点検、整備、クリーニングもお選びいただけます。」

となります。

つまり、選ぶ事・選ばない事が出来るという事です。

 

安心が欲しい方は「選ぶ」必要があります。

どの様な買い方をされたのかは分かりませんが、「納車整備は一切必要無い!」と言って、出来るだけ費用を掛けずに納車をして貰ったのであれば、それはまた自己責任という事になって来ます。

 

 

購入先を選ぶのも自己責任。

購入方法を選ぶのも自己責任。

何にでもそう言われる時代です。

 

でも、インターネットで何でも調べられる時代です。

 

うまい言い回し方に騙されず、知識を持ってお買い物する必要がありますね。

 


本日もたくさん学ばせて頂きました!

ご用命、ありがとうございました<(_ _)>

 


※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。

 

 

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