妻の入院時から続いていた

病院入口での“モニター越し面会”が終わり、

いよいよ対面会えるようになった。

 

病院に着くと、

母親と娘と思しき3人が、

面会手続をしていた。

一度に面会できる最大限の人数が、

3人までだからかもしれない。

 

面会手続を済ませると、

二重マスク

フェイスシールドで武装。

いずれも病院に用意されているが、

持参した使い慣れたものを装着し、

妻が入院しているフロアへと向かう。

 

ナースステーションに辿り着くと、

その向こうに、

車椅子姿が見えた。

受付のナースから、

「面会15分間」と告げられた。

さあ、15分をどう使おうか……。

 

「keroぴょんだよ。

 直接会えるようになったよ」

 

テーブルを挟んで対面に座るよう、

既にアクリル板が設置されていた。

並んでは座れないらしい。

 

 

「銀杏並木の写真、絵葉書にしたよ。

 もうこんなに色づいているんだよ。

 明日から12月だからね」

 

アクリル板がなくても、

距離が離れているので、

絵葉書を手に取らせることができない。

作戦変更!

 

「音楽、聴こうか?」

 

昨日のチャリティー・コンサートを思い出し、

平原綾香の『Jupiter』をかけてみた。

ワイヤレスヘッドホンを持ってきたが、

近づけないので、

恐縮しながら音出しでスタート!

 

モニター越しだと、

眉間に縦皺が寄っていることが多いのに、

今日の妻は表情明るく感じられる。

 

よくよく見ると、

声こそ出ていないが、

歌に合わせて

妻の小さく動いている

 

「次、松田聖子にしよう!」

 

全部で3曲かけてみたが、

妻は終始リラックスしていた。

笑みさえ浮かべたようにも見えた。

 

また来週、音楽流しに来るからね……。